異業異質本質交流会SSAを立ち上げたスゴい人!

怪物からの教え

完全なる敗北

どん底から使命に気づく

「世界は一家 人類みな兄弟姉妹」という言葉をご存知だろうか。
そう!日本船舶振興会のCMで笹川良一会長が発していた言葉である。
日本船舶振興会は現在「日本財団」と名称を変更し、総資産額は3000億円近くある日本最大規模の財団である。
本日登場するスゴい人は、その笹川良一氏を大叔父に持ち、2008年にSSAという会員制の経営者勉強会を立ち上げた人物。
SSAは男として魅力も器量もない経営者はお断りだという。
会合も90回近く続き、官僚などを招いて情報交換を行うSSA。
笹川家ではどんな教育を受けてきたのだろうか?
社会人になってからの苦労は果たしてあるのだろうか?
今、日本の経営者に求めることとは?

さあ…
笹川 能孝様の登場です!

笹川家

私は良一の実弟、春二の孫にあたります。
良一とは冠婚葬祭などファミリーが集まるときに顔を合わせるぐらいでした。
ただ、良一はいつも上座に厳しい顔で座り、血族に対して関心を見せず、「世界は一家、人類みな兄弟姉妹」なのだから血のつながりなど関係ないと本気で思っているような佇まいでした。
巨万の富を噂されていましたが、親族には一切遺産を遺しませんでした。
一族を見回すと「笹川家の教え」といったものが歴然とあるのを感じます。
「小学4年まで男の子は丸坊主」「本物を見る。本物を知る」とういう教えのもと、10代の頃から「本物の男」たちと出会い刺激を受けていました。
本物の男たちは肩書きなどではなく、佇まいや品性、生き様により何者か知らずとも圧倒的なオーラを放っています。
私も本物の人間力を生涯かけて手にするため「本業はなんですか?」と尋ねられると
「人間“笹川能孝”をやっています」と答えています。

父からの教育

父は他人には優しかったものの、身内には非常に厳しい人でした。
罵声を浴びせたりはしませんでしたが、意に反したら灰皿や湯呑みが飛んできました。
小学校に入る前、父に呼ばれ書斎に入ると「大きくなった時、今の友だちの何人かはお金を借りに来るだろう。その時、決してお金を貸してはならない。100万円貸して欲しいと言われたら、返さなくていいからと10万円渡して縁を切りなさい」と言われました。
当時は意味がわかりませんでしたが、20年程経って実際にそういう友人が現れ、一人一人友人を失っていったのです。
やり切れませんでしたが、父も祖父もそのような経験をしたのかと理解しました。
友だちが持っているおもちゃも「皆がやっているからやる。そんな人間には決してなるな」と。
その時から既存の価値観に疑問を持つ癖がつき、自分なりの価値観も出来上がっていきました。

理不尽さの大切さ

高校時代はアメリカンフットボールでチームワークの大切さも学びました。
アメフトでは理不尽な命令も沢山ありましたが、父のお陰で自分より上の立場にある人間は「理不尽な事を言うもの」と刷り込まれていたから平静でいられました。
今の親は「物分りのいい親」であろうとしてしまうので、家庭内で理不尽に対する耐性が作られない。
社会にある全ての理不尽から子どもを守ることはできないからこそ、家庭内で理不尽さを教えることは重要かもしれません。

母からの教え

母は呉服店の一人娘で、美しいものに囲まれ大事に育てられました。
小学校に上る前から、母に連れられ歌舞伎やクラシックや美術展を楽しみ「人間は一生勉強なので、本を沢山読み、沢山の人と交わり、自分が知らない世界が沢山ある事を知りなさい」「人の話はしっかり聞き、他人の誹謗中傷は聞かないこと」「下品な事をされても同じ土俵には乗らないこと」という事を教わり、「どんな情況になっても他人に奪われないものは教養と品格」が母の持論でした。
私の人格形成は母ありきです。

怪物からの教え

20代になると政財界の怪物たちと交流を持つようになりました。
怪物とは最上級の敬愛を込めての呼称です。
ある怪物の著書に感動して手紙を書き、お会いすることができたのですが、そこで大失敗をしてしまうのです。
待ち合わせ場所である帝国ホテルのラウンジに10分前に到着し、5分ほどするとその方が現れました。
「何分前に来たのですか?」と聞かれ「10分ほど前です」と誇らしげに答えると、「相手のことを全く考えていないね。10分も前に来たら、相手は遅刻をしているわけでもないのに待たせてしまった気分になってしまいます」と。
そして「席はどこにしましょう、お任せします。飲み物もお任せします」と言われたので、席を決めコーヒーを注文すると「このラウンジで一番良い席はあちらです。そして、帝国ホテルで僕がコーヒーを飲まないことを知らない人はいません」と言われてしまったのです。
確かにスタッフに聞けば全てわかる事でした。
この時から私は大事な相手と初めて会う時は、その相手のことをできる限りリサーチするようになりました。
若い時期に「どう逆立ちしてもかなわない人」に時間を作ってもらったことは何よりの財産です。

完全なる敗北

私が30歳で社長に就任すると、父は会長にもならず引退しました。
一から作り上げた会社を惜しげもなく譲る父、それまでの理不尽な行動は全て、私を一人前の経営者にするための深い愛情だったと理解できました。
公営ギャンブルの会社の資金は透明性が重要。
その為、冒険や挑戦は必要とされず、次に引き継ぐことが大切でした。
ただ維持するだけの状態に甘んじてしまいそうな自分を打破しようと、周囲の声に耳を貸すこと無く、私は独断で新しい事業に打って出たのです。
そして、2年で会社のお金と自己資金、合わせて6千万円を失いました。
父に土下座し、事業の失敗と辞任を報告すると、最後まで父は叱責すること無く一言「わかった」とだけ答えました。
経営者として男として、人間として圧倒的な敗北です。
それから、どんな成功を収めても心は満たされなくなりました。
私たち2世、3世が求めているのは父からの「よくやったな」の一言であり、もはや私には永遠に与えられる事は無いと知っているからです。

どん底から使命に気づく

社長を退き、日中は生活用品メーカーの営業サポート。
夜は飲食店の店員として深夜までバイトをし、先輩である大学生に何度も注意されました。
半年ほど過ぎた頃、大先輩の女性経営者から連絡があり、新事業を手伝う形で彼女のもとで2年ほど働きました。
その間、「新事業の相談に乗って欲しい」「経営の相談に乗って欲しい」と依頼が舞い込み、新たに自分の会社を立ち上げることに。
それを機に沢山の経営者に会いましたが、頭も切れ弁は立つが理念も見識も器量もない人が多い。
金儲けがうまいことが良い経営者だと勘違いしているような言動が目立つのです。
しかし、彼らは本物の経営者とはどんなものか知らないだけなのでしょう。
彼らに必要なのはビジネスモデルではなく、経営者としての人間力をいかに磨くか。
私は経営者たちが自らを磨き「本物の男」に近づける場を作ろうと思い、11年前にSSAという団体を発足したのです。
現役官僚なども招き、意見交換の機会も設けています。
怪物たちが私にくれた100分の1でも、彼らに伝えていければと思っています。
是非、我こそはという人は私のFacebookでも構わないので繋がってきて欲しい。
人類みな兄弟姉妹であるのだから、共に「本物の大人」に成長して行こうではないか!

取材を終えて

笹川様の全身で相手を受け止め凛と包み込む様な佇まいの理由は、取材をさせて頂き深く理解できた。
独特な家庭教育を受け、社会に出てから多くの経験を背負ってきた背景はもう一度、日本人が見つめ直さなければならない大切な誇りを伝えるためなのではないだろうかと思う。
今、日本ではカジノ問題が話題に上がっているが、笹川様はカジノではなくモナコやイタリアにある上質な大人の遊び場である“カッシーノ”を日本の地方に誘致する活動をされている。
単純にお金を持っているのではなく、教養と見識を兼ね備えた大人が優雅に遊ぶカッシーノ。
外国の方も多く足を運ぶ空間において、日本の文化や歴史を語れないと非常に恥ずかしい思いもする。
笹川様は色々な角度から「本物の男」を教育している。
今日の記事を読んで笹川様と接点を持ちたいと思った方は是非、勇気を持ってアプローチして欲しい。
そして著書『笹川流』も読んで欲しい。

プロフィール

笹川 能孝(ささかわ・よしたか)
株式会社日本創生研究所 代表取締役 
http://nipponsk.jp/

◆笹川能孝 http://s-cf.co.jp/soec/

◆著書「笹川流」 http://amzn.to/2oroDZv

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