ミラノを拠点に世界で活躍し、数々の賞を受賞された日本オペラ界のスゴい人!

歌を歌えなくなったカナリア

拠点を日本に移すきっかけ

大切にして来た事

本日登場するスゴい人は同志社女子大学 学芸学部 音楽学科声楽専攻を主席で卒業。
2000年に、単身イタリアに渡りミラノ音楽学院にて研鑽を積み、多数の国内外のコンクール受賞歴を持ちさらに、ヴァルセシア市立歌劇場にてデヴューしミラノを拠点に世界の舞台を踏み、2009年に完全帰国したオペラ界注目のオペラ歌手だ!
スペインの音楽雑紙「L’OPERA」に“素晴らしい響きを持ったソプラノ、特に高音は羨むほど伸びのある柔らかい響き”と評された垣岡敦子の活躍の裏には、人が羨むような家庭環境で育ち何不自由ない生活を得たかと思った矢先に若くして味わった大きな挫折があった。そんな彼女を救い、辛い体験を乗り越えさせ、前進させたのは幼少の頃より大好きだった「歌」だった。聴く者の心を揺さぶる、彼女にしか表現できない感動のステージに至るまでの舞台裏とは。

さあ…
オペラ歌手 垣岡 敦子様の登場です!

子供の頃から歌が好き

母が私や姉に絵本を読んでも最後まで母の隣にいるのはいつも姉で、私はおもちゃのマイクを持って庭で1人で歌を歌っていたそうです。小学校に入ると、学校がない日曜日にお寝坊するからとお転婆な私を見かねた母は教会に通わせるようにしました。そこには少年少女合唱団があり光栄にもソロも歌わせて頂きました。私は合唱の魅力に感動し毎週の日曜学校を楽しみにしていたのですが、教会に行くことばかり考えていた私に対し、母は娘への影響を考えこれ以上通わせてはならないと日曜学校禁止令を出したため合唱団にも参加できなくなってしまいましたが、母が幼少期に見せてくれた映画「サウンド・オブ・ミュージック」は、幼い私にとっては衝撃的な感動で、改めて音楽の素晴らしさを幼いながらも感じていました。

歌を歌えなくなったカナリア

20代前半、若くして財閥系の家とお見合い結婚。
週刊誌に「関西の期待の新人オペラ歌手との結婚」と派手な見出しが載る程、盛大な門出でした。順風満帆に見えた新生活も、ほどなくして自分の意に反して舞台に立ち歌う事を望まなかった婚家に束縛された生活が待ち受けていました。あまりに厳しい自由のない結婚生活に傷ついた結果、1年で離婚。
離婚で大きく傷つき、世間から完全に心を閉ざし歌さえ歌えなくなって約4年が経過した頃、私の日本の恩師から「貴方は歌うべき人です!これは歌う為の離婚です!」と1枚の葉書が届き強く背中を押してくれたのです。そこから少しずつ感性を磨きながら心を浄化し、歌う意味、喜びを見出し音楽の世界へ戻って行きました。

人生を大きく変える出会い=プロになる決心!単身イタリア・ミラノへ

ある、著名なコンクールで審査員長の目に止まりマテリアル(素材)が素晴らしいと入賞者コンサートの出演依頼が来て、そこで将来のマエストロ(G・ロールミ)と出会い共演させて頂きました。
スカラ座やメトロポリタンの世界最高峰の舞台で歌ってきたマエストロが「貴女のその声をイタリアに来てもっと磨きなさい!」と引っ張ってくれたのです。
それまで一人暮らしさえしたこともない箱入り娘でしたが、両親を説得しスーツケース1つ持ちイタリアに渡りました。
イタリア語は日本で約1年間イタリア人に習ってはいたものの、現地に行くと言葉の壁とイタリア人との環境の違いに戸惑い苦労する点は色々ありました。
当初、レッスンは全て録音し自宅に帰ってからその録音を何度も繰り返し聴き、マエストロが仰っている意味が分からない単語は辞書で調べました。1時間のレッスンでもそれを理解する為には、何倍もの時間が掛かりました。何度練習しても上手く歌えずミラノの自宅でピアノに顔を伏せ、悔しくて何度も泣いていた事を思い出します。
 イタリア生活も落ち着き1年経ったころマエストロから国際コンクールへの挑戦の許可を頂けました。会場に行くと、世界各国の歌手たちの同世代に見えない身体つきと既に出来上がっている声に歌う前から圧倒され、1次予選で見事に落選!!その時世界のレベルの高さを実感しました。
 そこからがまた新たな戦いでした。自分に何が足りないのか?イタリア人や他の欧米人との骨格の違いや声の響きの違いなども研究しました。発声以外でも指揮者の先生にもつきオペラの音楽作りや表現方法をも勉強しました。そして、ようやく国際コンクールでも賞を頂けるようになりオペラの出演依頼も頂けるようになりました。
 コンクールの入賞コンサートでは大ソプラノのレナータ・テバルディ、コンサートでは同じく大メゾソプラノのジュリエッタ・シミオナートの前で歌わせて頂けたのも良い思い出です。東洋人が世界で歌っていく事は、文化や国籍の違いなどの壁があり本当に大変で難しい事だと身に染みています。

拠点を日本に移すきっかけ

オペラ歌手は2000~3000名近く収容する劇場をマイク無しでどの音域の声も隅々まで響かせ、均等に届けるのです。更に、楽譜に細かく書かれた感情表現をも解釈して効果的に且つ忠実に体全体で演じ表現する、まさに総合芸術になります。
 当初、1年の留学と約束させられていたのですが、我武者羅に走って来たら約10年経過していました。幸い私は、ミラノを拠点にヨーロッパでも歌わせて頂き、ウィーン楽友協会で第九のソロも歌わせて頂き、歌手として色々な経験もさせて頂けました。音楽家の生活は、空港→ホテル→劇場→ホテル→空港と送られ観光をする余裕がありませんし、ミラノに帰ったら直ぐに次の舞台の準備が始まります。当時、充実感は有りますが、精神的にはくたくたでした。
 そんな時、後援会の方が「一人だと精神的にも潰れてしまうので、しっかり支えてくれる人と一緒になった方が良い」とお見合いで出逢ったのが今の主人でした。
主人とは価値観も合い私の活動を理解してくれる人でしたので、拠点を日本に移すきっかけにもなりました。今日に至るまで主人のサポートがなければ今の私の歌人生はないと心から感謝しています。

大切にして来た事

オペラとは、人間のあらゆる感情の全てを声と身体で表現し演じなければなりません。
まさに総合芸術です。だからこそ、これらを実際に体験しそれを乗り越えられた者にしか表現できないと思っています。今振り返ると、今まで歩んできた人生で経験してきた事は、良いことも悪いことも全てオペラの世界で生かされています。むしろ普通の人生ではオペラ歌手として成立しません。
 だから敢えて私は普通の人生を歩もうとは思っていません。その方が人生楽しい!!
20代前半で若くして経験した辛い出来事、10年間のイタリア生活で経験したあらゆる事は、全て神様がその時その時、私の人生に必要でまた、乗り越えられると与えられた試練だったと思います。そしてどんな事も乗り越える事で強くもなりプラスに変えてしまう自分に成長出来ているのだと思います。思えば、私にとって離婚はイタリアに行くきっかけとプロになろうと決意出来た原点ともいえます。
 常に、前向きに一流のものに触れ、心を美しく育て、感性を磨き、どんな逆境にも耐え抜く強さを持ち、神様から与えられたこの声とスカラ座のマエストロ達が私に言って下さったこの天性の音楽性を武器に自分を信じて奢るのではなく音楽に常に謙虚な姿勢で向き合い、この声が続く限りそして感動して下さる方がいる限り歌い続けたい!と強く思います!

取材を終えて

先日、7年前から毎年実施されている「父の日コンサート」を観させて頂いたが、あらゆる声の出し方に驚き、アベマリアはその世界観に自然と引き込まれる瞑想状態に近い感じになった。通常のコンサートやオペラ公演以外にも小児がんのチャリティーコンサーにも精力的に参加されている垣岡さんは更に自分を磨くために現在も著名なマエストラにレッスンを受けているそうだ。日本のオペラ界の現状は良くわからないが、何か新しい風穴を開ける人は必ず外から客観視出来ている人だけである。日本のオペラ界にきっと垣岡さんらしい、心地よい風を吹かせてくれるのだろうと思った。是非、皆様も垣岡さんの素晴らしい歌声を聞いてみて下さい。

プロフィール

垣岡敦子(ソプラノ)
同志社女子大学学芸学部音楽楽科声楽専攻を首席で卒業。
同大学特別専修生修了後渡伊、ミラノ音楽院で更に研鑽を積んだ。
イタリア・ヴァルセジアの歌劇場で「ラ・ボエーム」ムゼッタ役でデビューを果たした後、イタリア・ミラノを拠点にスペインの歌劇場やウィーン楽友協会などで数々のオペラやコンサートに出演。
スペインの音楽雑紙「OPERA」に“素晴らしい響きを持ったソプラノ特に高音は羨む伸びのある柔らかい響き”と掲載された他、大阪・いずみホールで開催された「垣岡敦子ソロリサイタル」に対して大阪文化祭賞奨励賞受賞“その声は、透明感に溢れる美しい声と独特の華がある舞台”と好評を得た。
読売新聞主催「日韓オペラコンサート」に日本代表に選出され好評を博した。
2009年にイタリアより完全帰国し、日本初演オペラの主役に次々に抜擢され日本人離れした声の響きとその容姿は、新聞各方面から絶賛され、今後更なる活躍が期待されている。
日本クラシック音楽コンクール最高位をはじめ、コルテミッリア国際コンクール2位、大阪文化祭賞奨励賞他多数受賞。ファーストアルバム「CUORE(制作/東芝EMI)」をリリース、続けてセカンドアルバム「Amore」絶賛発売中。

オフィシャルHP
http://www.atsukokakioka.com/

■ファースト・アルバム「Cuore〜心の響〜」
■セカンド・アルバム「AMORE〜愛の歌〜」
CD購入サイト
http://www.samonpromotion.com/jp/shop/index.php

Amazon
https://amzn.to/2Kj0ilx

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