結婚式にサプライズを取り入れたウェディングプランナーのスゴい人!

「創る」ことを目指して、何も知らないままウェディングの世界へ

初めてのサプライズは、担当外の結婚式だった

ウェディングプランナーは初心者マークをつけ続ける仕事

本日登場するスゴい人は、ウェディングプランナーのカリスマ的存在。
結婚式におけるサプライズ、オリジナルウェディングなど、今では一般的になったサービスを先駆けて始めた人物。
彼女の挑戦は、型にはまった結婚式が一般的だった時代に、大きな変化をもたらした。
今日まで18年間ウェディングプランナーとして活躍を続け、数多くの芸能人、アーティスト、スポーツ選手からも指名を受け、結婚式を手掛けてきた。
彼女の生み出した「サプライズ」の真の目的とは…?

さあ…
株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ
Wedding Advisor 有賀 明美様の登場です!

「創る」ことを目指して、何も知らないままウェディングの世界へ

私は就職活動をする時に、なりたい職種も入りたい会社もなく、大学4年になってから自分探しを始めました。
小学1年生からの通信簿を全部並べて、ノートに「褒められたこと」「怒られたこと」「楽しかったこと」「嫌だったこと」を書いていったんです。
キーワードにマルをつけると、「創」が自分の大きなテーマになりました。
ただ、色々やってもしっくりこないまま、大学4年の3月まで学年で私一人だけ、就職が決まりませんでした。
その3月にたまたま開いたアルバイト雑誌で、小さな求人記事が目に飛び込んできました。
「結婚式を創りませんか」
そのキャッチコピーを見て「結婚式って創れるんだ」と思ったのが出会い。
試験を受け、何とか卒業直前に内定をもらい、入社しました。

ウェディングプランナーに求められるものが自分にはなかった

私は人見知りで、あまり人に感情移入しないタイプです。
プランナーになって、自分と真逆の性格の方が来た時にコミュニケーションが成り立たず、担当者を変えてほしいと言われたこともありました。
私の性格と、プランナーに求められるものが真逆だったんです。
人とコミュニケーションをとって、ホスピタリティが求められる中、私にはそれが無かった。それが最初の壁でした。

「人って面白い」と思えるように

相手を知るため、2つのことをしました。
1つは人間観察です。
休日にカフェで行き交う人をひたすら観察して、街中の人に興味を持つ練習をしました。
2つ目は話しかけること。
忙しくてタクシーで帰ることもあったため、運転手さんとどれだけ会話を弾ませて、親しみを持てるような情報や関係を生み出せるかやってみました。
最初はすぐに会話が終わっていましたが、そのうち運転手さんの年齢や持ち物から情報を探すことができるようになりました。
質問し、返ってきて、何でもいいから打ち返すという練習をして、キャッチボールができるようになり、すごく深い話までできるようになって。
人って面白いなって、やっと思い始めたんですね。
ご新郎ご新婦にも色々聞けるようになると、二人の心の扉が開く瞬間があり、奥に閉ざしていたことを話してくださって。
扉を開けてもらうにはこちらから踏み込まないといけないと知りました。

初めてのサプライズは、担当外の結婚式だった

サプライズのきっかけは、私の担当ではない、ある結婚式でした。
ご新婦のお父様がケーキ屋さんなのでウェディングケーキは持ち込みだと聞き、私はケーキを見てみたくてパーティー中盤にバックヤードの冷蔵庫を覗きに行きました。
そうしたら、モーニングを着たご新婦のお父様が冷蔵庫の中でクリームを塗り直していて、少し会話をしたんです。
ケーキ入刀の時に会場に行くと、ご新婦のお母様の話が聞こえました。
「ずっと経営が苦しかったけれど、娘のウェディングケーキを作るまでは絶対に辞めないと頑張ってきた。きっと今日で終わりだけれど、娘にはまだ伝えられていないのよ」と。
「これがお父様の作る最後のケーキになるんだ」と思った時に、頭よりも先に体が動き、司会者に「ご新婦からお父様へケーキを食べさせる時間を作ってください。責任は私が取るので」とお願いしていました。
突然、司会に促されてご新婦もお父様も驚いていましたが、娘から差し出されたケーキを食べると、お父様はかみしめるように天を仰いで拍手し、少し涙を流されたのです。
会場は感動に包まれていて「今ならいける!」と思い「もしお父さんから娘さんへ何か一言あれば」とマイクを渡してもらいました。
お父様が「このケーキを最後に、お店を閉めようと思います。こんな幸せなことはない、何の悔いもない、ありがとう」と言うと、ご新婦はお父様へ抱きつき涙を流されました。
そんな父娘の姿に80名くらいのゲストが一つになり、大きな拍手が生まれました。
それは、私がそれまで一度も見たことのない一体感と温かい空気で、鳥肌が立つくらい感動し、涙があふれました。

サプライズ=付加価値

お開き後、ご新郎ご新婦とご両親に謝ると、お父様がバックヤードで会ったプランナーだと気付いてくださいました。そして、名前を聞かれ「有賀さん、ありがとう」と手を強く握ってくださったのです。
「私たち親子にとって今日の結婚式であの時間が一番嬉しかった。感動しました。」と。
これまで何組も担当してきて、名前を呼んでありがとうと言われたのは初めてでした。
きっと「この人じゃなきゃ」と思ってくれたのだと感じました。
今までとの違いを考えると、頭じゃなく心で創ったシーンだったのです。
この時間を創ることが絶対に幸せだ、未来につながるという確信をもって創っていました。
相手のことを知り、想いが強ければ、時にはご新郎ご新婦の知らない演出も入れてもいい仕事なんだと、その日のことを社内報に書きました。
それを見た社長の野尻が、サプライズは日本の結婚式を大きく変えるきっかけになるかもしれないと言い、会社の目標になりました。
「サプライズ」を目指すとチープになりますが、お客様の期待以上のサービスを提供する、付加価値を目指そうという想いでした。

ウェディングプランナーは初心者マークを着け続ける仕事

人には人との関係に何かしらほころびやわだかまり、小さなトラウマがあります。
それに気づいて結婚式の中に少しきっかけを作ることで、未来が変わったり、絆を結び直せたりします。
ご新郎ご新婦の望む結婚式を創りながら、少しでも未来に幸せを増やしたいと思っています。
ご新郎ご新婦に出会い、考えて悩み抜いて、結婚式当日もまだできることがあるかもしれないと考えています。
ただ、人が相手ですから、次の方に会えばまた0からのスタートです。
だから私は、ウェディングプランナーは初心者マークをつけ続ける仕事だと思っています。
5分のシーンで、未来を変えることができる、やらなければ何も生まれない。
究極に試されている仕事です。
それが苦しくもあり、やりがいでもあります。

18年の経験から伝えたいこと

最近は他業種の方向けのセミナーも始めました。
ウェディングは相手の心の温度を読み取り、人生を変えるくらいの踏み込み方をするサービス業です。
私が培った人との接し方や、人の心の温度の読み方、それを形にする方法は、他の業種の方にもお伝えできることが多いと思っています。
また、18年この仕事をしてきて、大切な人に大切な言葉を伝えることが日本人はできていないと思うことがあり「ありがとう」「ごめんなさい」「愛している」をもっと伝えることができたら、世の中が変わるだろうと感じています。
伝えるきっかけづくりをしたいと思い、その一つの形が、結婚式の10年、20年後のタイミングで誓い(バウ)を改める「バウリニューアル」です。
夫婦が向き合い、10年分の感謝の気持ちとこれからの思いを言葉で交わし合います。
「バウリニューアル」を、日本でも広めていきたいと思っています。

取材を終えて

18年にわたりウェディングプランナーとして活躍を続け、著名人からも指名を受ける有賀さん。
しかしお話を伺うと、かつてはなりたい職種がなく、人とのコミュニケーションが苦手で、人前で話すこともできず、ネガティブだったなど、今の有賀さんからは想像もできない側面を持っていたことがわかりました。
今のご活躍があるのは、その一つ一つに向き合い、ご自身で変えてこられたから。
「全部ポジティブに受け取るようにすると、だんだんポジティブになる。誰でもできますよ。」
今ではネガティブだったことが想像できないほど、明るい笑顔の有賀さんにそう言われると、ものすごく説得力がありました。
華やかなウェディングのお仕事は、ご新郎ご新婦とご家族の未来を想い、考え、準備を積み重ねてできているのだと知り、更に尊敬しました。
ありがとうございました。

プロフィール

有賀 明美(ありが・あけみ)
株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ Wedding Advisor
明星大学 経営学部 客員教授

◆オフィシャルウェブサイト http://akemi-ariga.com/
◆オフィシャルブログ https://ameblo.jp/a-ariga/
◆テイクアンドギヴ・ニーズ https://www.tgn.co.jp/

1977年生まれ。フェリス女学院大学卒業後、ハウスウェディングのパイオニアである株式会社テイクアンドギヴ・ニーズに入社。型にはまった結婚式が一般的だった中、「結婚式にサプライズ」という新しい概念をつくりだした「オリジナルウェディング」の先駆者で業界のカリスマ的存在。2000年から現在まで1000組以上の国内外のウェディングを監修・担当してきた。そのクリエイティビティーは高く評価され、業界外でも秋元康氏やおちまさと氏とのコラボレーションによる商品開発にも携わる。

◆取材・撮影会場 表参道TERRACE
https://www.tgn.co.jp//hall/omotesando/ot/

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