米国最大のカーレース・ナスカーに日本人初フル参戦したスゴい人!

小学生で働き200万円弱貯める!

ドライビングテクニックが無いことに気づいた瞬間に思考を切り替えた!

多額の出資をしたくれたスポンサーとの出会い

アメリカ最大のカーレース・ナスカー。
アメリカンスタイルの楕円形をした1周約0.8kmから3kmまでの様々なオーバルコースを高速で約200周以上走るレースである。
40台の車が狭い中を300km近い猛スピードで走るためクラッシュも多く、危険なレースである。
ゴールするまで2~3時間かかり、精神的にも肉体的にも過酷なレースとして有名だ。
アメリカの各地で開催され、西と東の代表が出場する全米オールスター戦も開催され非常に人気のレースである。
このナスカーGrand National Divisionに日本人で初フル参戦したスゴい人が本日登場する。
彼はいかにして子どもの頃からの夢を手にしたのだろうか!

さあ…
NASCARドライバー
古賀 琢麻様の登場です!

レースにしか興味がなかった子ども時代

幼稚園の頃から砂場に鈴鹿サーキットの形を作り、「このコースはこの角度から入ったらいい」などと常にレースの事を考えていました。
母子家庭で裕福ではなかったのですが、12歳で「レーシングカートに乗る!お金は自分で稼ぐ!」と決めました。
友達の家が新聞配達屋だったので、10歳の時に「カートでお金が必要だから働かせてくれ」と頼みに行きました。
学校の許可を得たら良いと言われ、先生に許可を貰いに行くと勿論反対。
日常的に悪いことをする子の多い学校でしたので、「まともに働きこの学校からスーパースターが誕生する可能性を貴方が摘むのか!?」と説得しました。
配達の自転車に乗りながら、「雨の日はシフトダウンを急いでするとリアがロックするから気をつけよう」と、常にレースをイメージしていました。
合唱コンクールの練習が夕方にあると配達に間に合わないので、1人で昼休みに練習しました。
サボれば良いと思うかもしれませんが、本当に欲しいものは絶対に正面から手に入れる性格でした。

鈴鹿サーキットに潜り込む

小学2年生の頃から、片道2時間半かけて鈴鹿サーキットに通っていました。
レース当日はお金がかかるので、サーキットに電話をしてテスト走行日を聞き、子どもだから止められることもなく潜り込んで、大ファンの中嶋悟さんの走りを見ていました。
終わった後に選手に駆け寄り「今日はギアが違いましたね。何で変えたんですか?」と聞くような子どもでした。

ドライビングテクニックが無いことに気づいた瞬間に思考を切り替えた!

12歳でライセンスを取得し、カートを購入。
しかし、乗って5秒で気づいてしまったのです。自分にはドライバーの才能がないって。
普通の子どもなら、そのうち上手くなると思うのでしょうが、最初からレーシングドライバーが夢だった僕は想像していた姿とかけ離れている現実にショックを受けました。
ここで諦める子もいるかもしれませんが、自分で決めた事だから自分の得意な所を探そうと思考を切り替えました。
すると、努力をすれば開発ドライバーにならなれるのではと気づきました。
いや、むしろそこに頼らない限りレースの世界では生きていけないと思ったのです。
開発の知識もあるドライバーなら、チームはドライバーと開発者を2人雇うのではなく、自分だけを雇うだろうとも考えました。
バイトをしながら整備の専門学校に通っていたのですが、レーシングカート時代に溜めてしまった多額の未払金がありました。
本当に素晴らしいレーシングカートチームに恵まれ、お金に余裕のない僕にもレースを続けさせてくれた恩人には、先ずはお金を支払うことが何よりも先決だと思い、時給の良い会社で働き始めました。

初めてのアメリカへ

バイトの帰りに短パンとTシャツ姿で、時給1800円の会社の面接に行きました。
PCは出来るか?と聞かれれば出来ないのに出来ると答え、面接中にレースのスポンサーの企画書を見せて逆にプレゼンをしていました。
人の3倍働くから給料は1.5倍欲しいと伝え、がむしゃらに働いた結果、初月給は80万円でした。
子どもの頃から働くことに慣れていたので楽勝でした。
1年後には実際にその会社にスポンサードしてもらいました。
借金も1年かからず返済し、大好きなアメ車のカマロを買ったのですが面白いと思えない。
その頃久しぶりにカート場へ行くと、当時の仲間がまだ頑張って走っている姿を見て、「俺ってダサい!」と思い、スイッチが入りました。
「アメリカでナスカーレーサーを目指そう!」と思い立ち、レース雑誌関係者からナスカーのシートが空いていると聞きすぐに飛ぶことを決めました。
パスポートも持っていなかったので、発行機関に直接行きあの手この手で説得し、その日に発行してもらい、その足でアメリカに飛び立ちました。

多額の出資をしたくれたスポンサーとの出会い

ヘルメットとレーシングスーツだけ持って、英語も良くわからないまま何とかレースに出場。
アメリカのレース出場費は勝手に安いと思い混んでいたので、チームとの契約書にサインをして帰国したのですが、為替の計算もした事が無かったので一桁間違えていて自分ではとてもで賄えない金額のレース出場費の契約をしておりました。
11戦~20戦に走るドライバーの権利だったのです。勿論、そんなお金はありません。
BARのマスターとスポンサーの話をしていると、それを聞いていた他のお客さんが何故スポンサーを探しているのかと話しかけてくれたので、自分の現状と想いを語ると、その人は「明日13時丁度にここに来い!」と住所をくれました。
何で“丁度”と言ったのだろう?と気になったので、時報を聞き13時丁度にチャイムを押しました。
そうしたら「お前は信用できる!」と、会って2回目の21歳の若造に、多額のレース出場資金を満額現金で渡してくれたのです。おかげでレースに出られるようになりました。
しかし2年目にネットバブル崩壊の影響で経済状況が悪化し、3年目には自分のチームは3人だけでタイヤ交換さえ出来ず、帰らないといけない状況になりました。
次のレースが最後だとミーティングの時に伝えると、他チームから一人ずつ応援を出してくれ
更にエンジン、ミッション(変速機器)、ボディまでも提供してくれたのです。
これはチャンスだと思い「ナスカーにもイチロー選手みたいな日本人がいるから取材したほうが良い」とテレビ局や新聞社に片っ端から電話やメールをしました。
そのレースは最後までトップ争いをして、注目と評価が上がりました。

ナスカーを離れ再復帰

2005年、全米オールスターに出場し、2008年に仕事もあり退きました。
スポンサーを集めるのも苦しく生活は二の次でしたので、自分の生活費ぐらいは稼ごうと、車販売とホイール販売の会社を設立したのです。
なんとか仕事も軌道に乗ってきたタイミングで、自動車メーカーさんからあるヨーロッパレースの話が持ち上がったのですが、やはり死ぬ気で勝負するならアメリカだと思い自動車メーカーに伝えると、なんとNASCAR復帰の道筋をお膳立てしてくれたのです。
そして、今年からフル参戦することになりました。
日本人は皆お金持ちだと思われていますが、僕みたいにとても裕福とは言えない人間がナスカーとアメリカが大好きというだけで戦い続けている姿を、現地のチーム関係者やファンが理解し支えてくれたことに感謝しています。
様々な人の支えがあり、自分の夢を現実にしている過程です。
これからはこの経験を活かし、VR開発を通じて社会貢献もしていきます。

取材を終えて・・・

子どもの頃から真っ直ぐに行動し続けている古賀選手。
10歳で自ら稼ぎ、絶対に夢を掴み取ると決めた彼のエネルギーは、大人になっても全く衰えることがない。
古賀選手のエピソードは、まるで漫画を読んでいるような奇想天外のストーリー。
ただ一貫していることは、常に真っ直ぐ本気で行動し、素直に続けている事。
また、世界で活躍している古賀選手は、誰よりも早くVRの可能性に目をつけて、ドライバーの体感をコンピュータ上に表現し、日本において今後大きな課題となる高齢ドライバーの問題解決に迫るという。
VRマシンを通じて運転技術を高めたり、ペーパーテストではわかりづらい実技の模擬テストを実施出来るという。
子どもの頃から車にしか興味の無い彼は、今後も更に車を通じてチャレンジを続けるだろう。

プロフィール

古賀琢麻(こが・たくま)
株式会社アイロック 代表取締役
レース歴
1992~1998 : レーシングカート
2000 : NASCAR WEEKLY RACING SERIES (ハードチャージャーアワード受賞)
2001 : NASCAR RAYBESTOS NORTHWEST SERIES
2002 : Winston west
2003 : Winston west
2004 : Grand National Division
2005 : Grand National Division 全米オールスター戦出場
2006 : Grand National Division
2007 : WEST COAST PRO TRUCKS 年間シリーズランキング3位
2008 : WEST COAST PRO TRUCKS 年間シリーズランキング3位
2009~: NASCARタイヤ開発テストドライバー
2016 : NASCAR K&N PRO SERIES
2017 : NASCAR K&N PRO SERIESフル参戦
◆株式会社アイロック http://www.iroc.co.jp/

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