奈良で300年続く麻織物「奈良晒」の老舗“中川政七商店”
同社を受け継ぐ13代目の経営者であり、日本の工芸の再生を請け負うコンサルタントでもあるスゴい人が本日登場する。
彼が入社した当時、会社の経営は安定していたものの麻部門は赤字に陥っていた。
しかし、改革を推し進め、現在ではKITTEや東京ミッドタウンなど都市部の商業施設に33店舗を展開するまでの成長を果たした。
更に、同じように赤字に悩む老舗の中小企業の再生支援を行い、これまでに10年以上赤字続きだった会社を黒字転換させ、8社の再生に成功している。
彼はなぜ、自社だけでなく他社の再生支援までも行うのだろうか?
さあ・・・株式会社中川政七商店 代表取締役社長 十三代 中川淳様の登場です!
「日本の工芸を元気にする!」
大学を卒業後、2年間メーカーに勤めましたが、「やったらやった分だけポジションがほしい」という考えの私には大企業のスピード感は合わず、“小さくて成長している会社”への転職を考えるようになりました。
父からは家を継げと言われた事もなく、それまでは自分の家が何をしているのかもはっきりとは把握していませんでしたが、「うちは小さい会社だし、成長もしているのではないか」と思い、入社する事を決めました。
奈良晒は茶巾としての需要もあったことから、父の代からは、麻だけでなく茶道具全般を扱っていました。
しかし私が入社した当時は茶道具部門の売上が経営を支えており、伝統の麻部門は赤字を出している状態でした。
また、仕入れ問屋が倒産すると製造者までも連鎖倒産してしまうという日本の伝統工芸が置かれている状況を知り、たとえ倒れる時でも自分の責任で倒れたいと思い、経営の改革をしようと決意しました。
しかし、当時の麻部門では、定時になるとタイムカードを押して帰る人がほとんどです。
突然改革をしようとしてもハードな仕事に耐えられず、次々に社員が辞めていってしまいました。
社員のほとんどが入れ替わり、経験の無い人間ばかりになって不安に思ったこともありましたが、アパレルや和菓子業界の経営を参考に改革を続けた結果、徐々に麻部門の売上が上がるようになりました。
コンサルティングを始めたのは、関係会社さんも当社と同じ状況にあることを知り、彼らがなくなってしまっては困ると思ったことと、自分たちのノウハウは扱うものが変わっても通用すると思ったのがきっかけでした。
これまでに8社の再生を行いましたが、多くの会社において必要な改革は、私が入社以来12年間経験してきた事とほとんど同じものでした。
現在、工芸に関わる会社の中には、利益が上がらないため後継ぎがおらず一人でやっている方もたくさんいらっしゃいます。
継ぐ人間がいなければ、伝統はその代で途絶えてしまいます。
一度なくなってしまったものは、二度と戻す事ができません。
ですから、これから20~30年の間で今残っているものをいかに存続させるかが、日本の工芸再生の正念場だと考えています。
私の目標は「日本の工芸を元気にする」事です。
工芸にかかわる人々を経済的に豊かにし、もの作りの誇りを取り戻す。
二つの意味での「元気」の実現のため、これからも全力を尽くします。
◆中川政七商店公式通販サイト
http://www.nakagawa-masashichi.jp/
◆株式会社中川政七商店
http://www.yu-nakagawa.co.jp/top/
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