心の中にいる、子どもの心で作詞するスゴい人!▶新沢としひこ様 DAY2

幼稚園・保育園・小学校でよく歌われる「世界中のこどもたちが」「ともだちになるために」「にじ」 「さよならぼくたちのようちえん」などの名曲を生み出したシンガーソングライター。「心の中にいる子ども」と対話して曲を作るという新沢さん。その手法とは一体どういったものなのか?子ども時代にまで遡ってお聞きしました。

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ラブソングを作っていた小学生

編:小学校の頃はどんなお子さんだったんですか?

新:僕小学校の時にラブソングとかもいっぱい作ってるんですよ。歌謡曲とかも好きだったので。小学校 6年生の冬休みにクラスメイトとスケートに行くという約束があって、友達の家に迎えにいったのね。で、しばらく友達待ってる間に、パッとメロディーが浮かんできて。『何も言わないでね。涙が止まらないわ。決して見つめないで。未練が残るわ〜』っていう歌。

編:小学6年生が作る曲じゃないですね。笑

新:「あんまり待たせるもんだから、一曲できちゃったよ。遅いよ~」とか言って当時、本当にそういう大人っぽいものを書いてました。で、そこから始まってずっと高校2年生ぐらいまでは、酒場で飲んだくれる女の歌とか。いっぱい書いてた。(笑)

自分ごとになると途端に書けない

新:で、その後、クラスの女の子のことを好きになって、それを曲にしようと思ったら、全然書けない訳よ。笑

編:なんでですか。笑

新:それまではもうファンタジーだったわけよ。お酒なんて飲んだこともないのにガンガン、ファンタジーで書いてたんだけど、本当の気持ちを書こうと思ったら、急になんか「君の夢を見ました。」みたいなかしこまった感じで、急に書けないの。笑そこからすごい苦労しました。自分の気持ちを表現するということ。でも、曲を作る技術、スキルはその時点であるから、後から素直な気持ちを言葉にする方法を学ぶ。そんな感じだったんですよ。普通は素直な気持ちがあって、スキルが追いつかなくて、だんだん技術上手くなっていくんだけど、僕は逆なんです。すごく大人びた子供だったから、それが、仕事で子供の歌を作るようになって、だんだん子供に戻っていくっていう感じなんです。

 

編:新沢さんと話してると、新沢さんの話し方とか、ちょっと子どもっぽい仕草とか、ピュア感じが伝わってくるから、小さい時からずっとピュアのまま大人になったのかと思ったら、昔の方がずっと大人だったってことなんですね。今の方が子どもっていうか笑

新:そう!普通は逆だよね。普通はだんだん大人になっていくんだけど、僕はずっと色々考えちゃう大人っぽい子供だったから、逆に今子供に戻ってる。笑

 

編:なんかベンジャミンバトンみたいな人生ですね笑

新:たしかにそうだね!笑大人になってくると、子供のピュアなところってこんなに大事だったのかって事がわかってくるわけ。でも、僕がよかったのは、先に、曲作りの技術を学んで、後から純粋な心を取り戻すような順番だったんです。

作品をつくるには

編:その技術を習得するまで、いろんな曲を聴いて研究したりしてましたか?

新:研究しました。でもね、コツは結局たくさん書くことなんです。例えば 1 曲、子供の歌を書きました。「あれ?これっていいんじゃないの?」って思うかもしれません。でもこの歌が本当にいい歌どうか?それは 1 個しか作ってないんじゃわかんない。100 個作った時に見えてくるんです。この部分はいいんじゃないとか、ここがダメなんだ。とか。何が自分は得意で、何が不得意か。とか自己検証能力がついてくるの。これが一番プロにとって大事なわけなんですよ。

 

編:なるほど。なんか今、天才の作り方の秘密を聞いたって感じがしました。天才って多作の人多いですよね。秋元康さんとか、久石譲さんとか。他の人と比べるんじゃなくて、自分にあるものを全部並べて、棚卸して、整理していくやり方なんですね。

 

新:そう。あまり他と比べると他に影響されちゃったりするじゃないですか。でも自分の中から出してくるんだったら、自分を研ぎ澄ましていく作業になるでしょ。なるべく人と違ったものを書かなくちゃ。それがオリジナル・個性だからって思ってどんどん奇をてらったものとか、人がやってないものを目指したりすると、どんどん自分を見失っちゃって、そもそもの自分らしさがなくなったり。だからオリジナル自分の個性を磨こうと思ったら、他人とじゃなく、自分と向き合う。自分を掘っていくことが大事だと思うんですよね。それが結局、自分の子供時代に戻っていくってことなんです。自分の余計な物を剥がしていくと、自分の子供時代に戻るじゃないですか。だから僕は幼稚園の初日に柱の陰でみんなをドキドキしながら見てたって感覚とかを忘れちゃいけないってすごく思うんです。

曲が書けない日々

編:でもその作業って大変なことですよね。

新:もう大変よー。ほんとつらかった。24歳位の時に雑誌の連載が決まって、毎月、子どもの詩を書いてたんだけど、一年目はいいのね。題材が色々あるし、のびのび書いたわけ。そしたらすごくいいって言われて、来年もって言われて、2年目は 1年目に書いたもののストックを主に出していったりとかして。何とか絞り出して書いて。で、 3 年目ぐらいから、もうないわけ。題材も、技術も、パターンも。ストックも。その辺から、大人の考えだけじゃなくて、子供の世界をちゃんと掘り下げる。子供の気持ちをちゃんと書きつつ、でも大人もちゃんと発揮してっていうのを意識するようになったの。そこから本当にスキルを磨いた感じになったの。プロとしてやっていくための大事な時期でしたね。でも、すごくつらかった。

 

編:多作と簡単に言うけど、そこを乗り越えて今の形があるんですね。自然に書けてたものを、出し切って、もう一度、どう自分は自然に書けてたのかを考え直してメソッドにしていったってそんな感じなんですね。

新:そう。普通に書けてたのに、色々試して、一周してまた元の場所に戻ってきたって感じ。でも遠回りをした分、今いる場所がはっきりとわかって、ぶれなくなりましたね。

夢をかなえるには

編:最後に、新沢さんは幼稚園の頃から思っていた「子どもに関わる仕事がしたい」という夢を叶えたわけですが、「将来何をすればいいのか?」「今している仕事が正しいのか?」悩んでいる人が大半だと思うんですね。そういう人達に何かアドバイスがあれば教えていただけますか?

 

新:それはね、さっきの話に通じるけど、自分の基にある子供の気持ちに蓋をしないで欲しいと思うんです。それが本当の自分なんです。人間ってね、生きようとしてるんです。細胞全部で。大人はね、なんか違うストレスっていうか、もっとこう思われなきゃだとか。上司とか周りがこう言うからこうしなくちゃとか。結婚相手はこういう人じゃなくちゃだとか、やっぱり大学行くならこうじゃなくちゃとか、そういうことでどんどん振り回されちゃうけど、元々生きていきたいって思っているということが実はすごく大事で。例えばお腹が空いたから食べる。みたいなのと同じで、人は育とうとしている。生きようとしている。そっちに素直になって、そこが一番生き生きする生き方を考えましょうって思います。そうすると自ずと答えが出てくると思う。「そうか、僕は田舎で芋を作りたかったんだ!」とか意外な答えがあるかもしれない。笑  ぜひ皆さんも、「心の中にいる子供」と対話して欲しいと思います。

 

 インタビュー・ライター鈴木貞春

編集後記:

お会いすると、動きが若々しくて、おしゃべりで、言葉遣いが柔らかく、ほんとにピュアな感じが伝わってくる新沢さん。今回は「心の中に子どもがいる」ということを掘り下げて、子ども時代まで遡ってインタビューさせて頂きました。ずっとピュアのまま大人になったのかなと思っていたら、子ども時代は意外と大人。逆に大人になってから子どもになっていったと言います。そんなベンジャミンバトンのような、数奇な人生を色々聞かせていただき、とっても楽しいインタビューでした。そんな素敵な新沢としひこさんの歌をぜひ一度聞いてみてください。

 

新沢としひこ氏 プロフィール:

シンガーソングライター。東京都出身

 

アスク・ミュージック

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公式YouTubeチャンネル

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