日本で唯一、紛争地ソマリアに特化した支援団体を立ち上げたスゴい人!

いじめっ子から、いじめられる人を守る人に

ギャングだって自分たちと同世代のユースだ!

人間としてやるべきことを

本日登場するスゴい人は、紛争地ソマリアで支援活動を行う日本で唯一の団体を立ち上げたスゴい人!
同団体はソマリアの中でも特にギャングに注力し、対話からギャングの脱過激化を実現してきた。
2011年に任意団体として活動を開始し、2017年4月にはNPO法人化。
代表である彼自らソマリアの前線に出向き、問題を解決しようと日々奔走している。
彼はなぜ、誰も取り組まなかった問題の解決に乗り出したのだろうか?

さあ…
特定非営利活動法人アクセプト・インターナショナル
代表理事 永井 陽右様の登場です!


いじめっ子から、いじめられる人を守る人に

子どもの頃は、「いじめる側」の人間でした。
子どもって運動をできる奴がえらいような空気があると思うんですけど、それが顕著な地域で。
僕は身長が高くて、足も結構速かったし、バスケも得意だったので、騒いで目立って、弱いやつを殴っているような感じでした。
勉強はしなくて、体育以外は成績も悪かったですね。
高校2年の時ネットサーフィンしていて、偶然「ツバルが沈む」というニュースを見ました。
その瞬間、「これはやばい!俺がなんとかしなきゃ!」と思い始めて、結局ツバルに対しては何もできなかったんですが、その頃からぼんやりと他者をイメージし始めたんです。
それまでは自分が主人公で、他の人はRPGのキャラみたいな感覚しかなかったのが、他の人も自分で考えて動いているというのに気づいたんですよ。
それまでどんな人間だったのかと思いますけど(笑)
それから、いじめていたことを反省し始めました。
最初はいじめの罪滅ぼしみたいな感じで、いじめられている人の立場に立とうと思って。
僕が子どもの頃にいじめていた人に謝ることはどうしても出来なくて、その代わりに、一番いじめられている人を助けようと考え始めました。

「比類なき人類の悲劇」と形容されたソマリア

大学1年生の夏休みにルワンダを訪ねましたが、ルワンダの虐殺はその時点で十数年前にもう終わっていて、その帰りにトランジットで偶然ケニアに降りた事が転機になりました。
ソマリアの難民の集合場所を見たのです。
調べてみると、ソマリアで飢饉が起きていること、政府が20年無いこと、そして「比類なき人類の悲劇」と形容されるほどひどい状態であることを知りました。
当時活動していたNGOは「ソマリアは危険すぎるので何もできない」と撤退せざるを得ない状況にあり、「だったら僕がやる!」とソマリア支援を決意しました。
皆が問題を認知しているのに、やらないのが気に入らなかったんです。
2011年9月から日本ソマリア青年機構として活動を始めました。

姿勢は熱いのに、大したことができなかった

僕は紛争を止めたい、飢饉を止めたいと思っていましたが、英語も話せず知識ゼロからのスタートで、何をできるか全くわかりませんでした。
そこで、あしなが育英会さんと相談して、ソマリア人の留学生を連れてきたり、サッカーが人気なのでサッカーに必要なスポーツ用品を提供する活動をしていました。
でもそれは所詮、留学のあっせんとスポーツ用品の寄付に過ぎなかったんです。
姿勢だけはものすごく熱いけれど、やっていることは大したことではないと、他でもない僕が思っていました。
その間にも紛争や飢饉や飢餓が起きていて、言っている自分もできていない、救えていないと言うのを感じていました。

ギャングなんて無理!と思っていたけれど…

もっとインパクトがあることをしなきゃと考え始めた大学2年の終わり頃、ソマリアの隣国・ケニアにあるソマリア人の難民エリアにギャングがたくさんいるという話を聞きました。
最初はギャングなんて無理、大人が出来る事は大人に任せて、俺たちは学生に出来る事をやろうと思っていました。
しかし調べ始めたら、ギャングと呼ばれる彼らは皆20歳くらいで僕たちと同年代だとわかり、それなら行けるんじゃないかと考え始めました。
ギャング集団をつぶすことは、ソマリアの紛争解決にかなりインパクトを与えることができるのではないかと思ったのです。

ギャングだって自分たちと同世代のユースだ!

通常、ギャングたちは駆逐の対象であり、逮捕するか銃殺するかという対応をされます。
ギャングのいる難民エリアは危険地なので、入れないエリアとされていましたが、僕らは入っていくことができました。
「大人ができないなら、俺たちがやる意味がある」
そう考え、ツテをたどってギャングに会いに行きました。
最初はお前ら警察の回しもんだろって警戒しちゃって信じてくれなかったですし、喧嘩もしましたよ。
武装しているし、ドラッグもみんな吸っているし、人を殺しているやつもいるけれど、会う機会を増やしていくと徐々に悪い奴じゃないと思ってくれて、話すとただの若者なんです。
ちょうどその頃、世界でエライ人たちが「ユース!若者の時代!」と言っていて、ユースって何だろうと調べると定義は15歳から24歳もしくは29歳までの若者のことでした。
この世界にいるユースは有名大学の学生だけではない。だったら彼らをユースとして認めればいいじゃないか!
そう考え、ギャングというレッテルを張らずに、「HEY!同年代のユース!ブラザー!」という姿勢で接したことで、心を開いてくれました。

大切なのはアイデンティティ

2013年からギャングに対する活動を始めて、あと15~20名新規で受け入れれば、1つのギャングチームが崩壊します。
だけど、僕らは一度もギャングを辞めろと言ったことはありません。
ギャングであっても人を殺すな、ギャングであってもユースリーダーであることを忘れるな、とだけ伝えています。
彼らに何がしたいのかと聞いたら、世界の転覆でも人殺しでもなくて、サッカーをしたいと言ったのです。
だからサッカーユニフォームや道具を提供して、今彼らは「ライジングサン」というサッカーチームになっています。
この前も練習試合に勝ったと嬉しそうに報告がありました。
肝はアイデンティティなんです。
彼らにとってはギャング組織の一員というのが一つのアイデンティティなので、そこを上手くユースリーダーとしての使命感や、アイデンティティに変えていくのが大事なんです。

人間としてやるべきことを

ソマリアの前線に行くときは常に恐怖との戦いです。
平均すると2日に1回自爆テロも起きているし、銃撃音も聞こえてくるし、寝ている時も銃をリロードする「カチャっ」という音が聞こえて起きたり。
活動の裏でずっと考えているのは、どう死の恐怖を克服するかという事。
哲学を学び始めて、明るいニヒリズムに至りました。
そうしないと紛争地に行くことも、武装勢力と闘うこともできません。
僕たちの活動は、紛争地なので助成金も出ませんし、ギャングや武装勢力にいたような子たちを救おうという活動では共感されにくいです。
でも、テロや紛争がなくならない限り、子どもの問題も、難民の問題も解決しません。
NPOの教科書を見ると、組織を運営するのにおいて、すべてが適切でないものに立ち向かっていくような状態です。
だけど、たくさんある問題に優先順位をつけて、ニーズがあるにもかかわらず誰もやっていない問題を解決するべきで、それは自分が好きか、できそうかで選ぶべきではないと思うんです。
だから僕は、ニーズは極めて高いにも関わらず誰もやれないことを、人間として、ひたむきにやっていきます。
そしてこの姿勢こそが、国際協力という分野で最も必要なことだと信じています。

取材を終えて・・・

子どもの頃は「いじめる側」だったと聞いて、最初はどんな方なんだろう…と思っていたのですが、お話を聞いている間に印象がガラリと変わりました。
紛争地に足を運んで活動をするというだけでも危険なことだと想像できますが、そのうえ、紛争地でギャングやテロリストを脱過激化させるという事は、過激派集団の戦力を奪うということ。脅迫を受けることもあるとおっしゃっていました。
「人間としてやるべきこと」だからと、ご自分の身を危険にさらしてまで、恐怖を克服するために哲学を学んでまで、この活動を続ける姿に感銘を受けました。
多くの方の応援や支援が集まり、より活動が拡大していくことを願っています。


プロフィール

永井陽右(ながい・ようすけ)
特定非営利活動法人アクセプト・インターナショナル 代表理事
2011年、早稲田大学教育学部複合文化学科入学。
国連が発表したソマリアの大飢饉を機に、多くの難民やソマリア人NGOと交渉を重ねて氏族間対立を乗り越え、日本で唯一紛争地ソマリアに特化した団体である日本ソマリア青年機構を創設。
2013年、潜在的自爆テロリストであるソマリア人若者ギャングの社会復帰プロジェクト「Movement with Gangsters」を開始。
2017年4月、日本ソマリア青年機構をNPO法人化し、NPO法人アクセプト・インターナショナル代表理事に就任。
現在ソマリア、ケニア、ナイジェリア、中国(ウイグル)、日本で活動を行っている。

〔受賞歴〕
2014年  第28回人間力大賞(青年版国民栄誉賞)。外務大臣奨励賞受賞。大学生 OF THE YEAR 2015 総合グランプリ受賞。
2015年 小野梓記念賞特別賞。早稲田大学校友会稲魂賞受賞。
2016年 Gilbert Murray UN Study Awards 2016受賞。

◆NPO法人アクセプト・インターナショナルホームページ
https://www.accept-international.org/info
◆著書『僕らはソマリアギャングと夢を語る――「テロリストではない未来」をつくる挑戦』
http://amzn.to/2qYM0Jb

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