世の中に「すてき」を生み出しているスゴい人!DAY2▶鈴木基博様

昨日に引き続きご紹介するのは、株式会社すてきカンパニー代表取締役 鈴木基博様。 株式会社サンリオでのキャラクタービジネスの経験を基に、自由で新しい「すてきな仕掛け」で社会を面白くしているプロデューサーです。安定した企業を定年退職して、独立起業したその経緯と、これからの世の中をもっと「すてき」にしていく熱い想いを2日間にわたり伺いました。

 ◆見どころ

ー念願のアメリカ転勤

ーサンリオ肝いりの施設の初代館長へ

ー「すてき」を生み出していく力

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大好きなアメリカへ転勤、店舗拡大、運営を経験

入社2年目にアメリカ転勤の機会をいただきました。子どもの頃からの憧れだったアメリカですから嬉しかったですね。私のミッションは全米各地にサンリオのショップを展開すること。サンフランシスコに拠点があったのでそこで研修を受けながら、ドイツの百貨店に出店するプロジェクトでドイツにも1か月滞在しました。それが終わると今度はNYで売り場作りを担当しました。ニュージャージー州にサンリオの直営店のギフトゲートがありましたのでそこにスーパーバイザーとして勤務もしました。38カ月の駐在期間にチェリーヒル・バーリントン・ワシントンDC・ボストン・シカゴ・ミルウォーキー店の立ち上げに携わりました。

ある日39度の発熱があり自宅で寝込んでいたところ、NYの支社長から自宅に来なさいと連絡がありました。発熱していてしんどいし、本音のところは寝ていたいわけです、私は。でも支社長の命令は絶対です。すぐにご自宅に伺いました。そうしたら支社長の奥様が豪華な食事を用意してくださっていました。支社長は、「体調悪いんだろ、たくさん食べなさい」と。一人暮らしでしたからこれは本当にありがたかったですね。仕事は大変でしたけれどとても充実していましたし、上司や同僚の愛情や優しさに随分と助けられていました。

 米国スーパーバイザー時代、直営店の社員と記念撮影

日本中で話題となった「サンリオファンタ―ジェン」初代館長に

日本に帰国してからは古巣の直販部に戻り、日本国内の新規出店に携わりました。中でも千葉県船橋市のららぽーとにサンリオファンタ―ジェンという屋内テーマパーク施設のプロジェクトを担当したのは大きな仕事でした。施工会社やデザイン会社など多くの関係者をまとめながら、開館後はその施設の初代館長として18店舗運営のとても責任ある立場を2年間務めました。アメリカを中心とした世界での出店経験から得た知見や経験が大いに自分を助けてくれました。館内は古いヨーロッパの街並みを再現したようなノスタルジックなファンタジーな世界観を創りました。またここでは着ぐるみを使ったショーイベントなども開催していたのですが、ファンタ―ジェンオリジナルキャラクターのピーター・ボン・キャットを生み出したり、それを実現するまでに劇団の方に音響や照明を教わったり、着ぐるみの演出家さんにお力添えいただいたりと別ジャンルの方と協業で多くの試行錯誤をしました。そしてこのノウハウがその後のサンリオピューロランドの運営の一部になっていると思われます。実際にその時のスタッフが沢山ピューロランドで働き、今でも働いていらっしゃいます。サンリオにとっても非常に意義の大きなプロジェクトだったと思います。

ヨーロッパの街並みを再現した屋内型施設

心機一転、コンビニビジネスの担当に

その後、サンリオ子会社のサンリオファーイーストに2年間出向し、サンリオキャラクター以外のセールスもしました。そして2008年にサンリオ本体に戻りました。サンリオでの配属先初日にオーナーの辻信太郎社長がこれからはコンビニエンスストアー(CVS)の時代だから、鈴木はCVSをやりなさいと突然の配属変更辞令が出て、ローソンさんの担当になりました。この突然の異動には驚かされました()。最初は右も左もわからないCVSのビジネススキームを学ぶところからです。すでに50歳になっていましたが一セールスマンとしての再スタートでクライアントさんへご挨拶にいくことから始めました。

毎日ローソンさんの売上をどの様にアップするかを考えているときに、売上シェアの一番高いCVSでのくじ(サンリオの場合は当りくじが名称です)を増やす事が近道だと思いました。この当りくじは、レジでお客様が500円を支払いくじ紙を購入するものです。このくじの導入を増やすために思いついたのは、トレンドを追求すること。当時は、キャラクター主体のくじが主流でしたがこれをトレンド追及のくじに変えました。一番最初に企画したのはビューティ&ヘルスがテーマ。景品は体組成計とか、ヨガマットやバランスボール。くじの景品としては今までにない、高価で斬新なものでした。コンビニのバイヤーさんにプレゼンしましたら、即!やりましょう!となり、実現しました。その他にもアウトドアをテーマにしたくじなんてというのもやりました。その時に一緒に開発をしてくれた仲間には今でも感謝しております。結果、会社の売り上げに大きく貢献出来ました。その次はCVSでのセールスプロモーション(SP)企画。会社の中にSP専門の課が設立され、ハローキティのシールを集めて景品をもらえるという様なキャンペーンも企画しました。その後、CVSこそ日本の文化だと思い、サンリオ以外のアニメやアイドルのIPを手掛けることになったんです。

柔らかな物腰で年齢を問わず多くの人に慕われる

 独立して自らの挑戦を形にしたいと思い始める

その頃に、自分のこれからの人生について、このまま60歳の定年まで働くのではない形も良いなと思うようになったんです。丁度そのころ、担当役員の人事異動に伴い社の方針が変わり、沢山の他社の方々とのミーティングや会食が推進されました。そのような方針の中で自ら積極的に人と出会う機会を作りました。CVSでは、沢山の他業種の方々がおり、そこで出会う人達は今までの人脈とは違う、別ジャンルの専門家です。一例を上げますと、ゲームやアニメや漫画などのIPビジネスの業界の方から多くの勉強をさせていただいたんです。

サンリオのキャラクタービジネスから始まったCVSのくじ企画ですが、アニメとアイドルの企画なども実現しました。AKBや乃木坂グッズが景品となるくじ企画も立ち上げ、それは、今でも店頭で展開されていますね。50歳を過ぎてから挑戦した全く新しいジャンルの仕事ではありましたが、一から学ぶ覚悟をして一生懸命取り組むことで成果を出すことができましたし、挑戦したからこそ得られた経験と知識と人脈が私の人生にとってかけがえのない財産となりました。

 

今後の人生で叶えていく「すてき」計画

サンリオにはシニア社員制度があり、65歳まで勤められるのですが、60歳の一般定年の時にシニア社員ではなく、独立を決めました。自分の人生を80歳までと仮定したらあと20年。この20年を何に使うかどう生きるかと考えました。やっぱり素敵な人生にしたいと思い、会社名を「株式会社すてきカンパニー」としました。「すてきな事を素敵な方々(会社)のためにすてきな方法ですてきなチームですてきを創造する総合エンターテインメント企業」になる事をコンセプトにしました。

最近ではアーティストのカナヘイさんのキャラクターのPISUK&USAGIと森永製菓さんとのコラボでグッズを企画製作をしたり、販路拡大などの企画を手掛けたりしています。お客様が「わあ、可愛い!」と言って購入してくださるのはこの上ない喜びです。また、これから売れていくであろうアイドルを目指す若者のメジャー化を後押しするような企画をもっともっと仕掛けていこうと思っています。

鈴木さんが仕掛けて実現したコラボグッズ

コロナで今まで通りのやり方では難しい時代となりました。今までにない新しいやり方で世の中を「すてき」にする発想がもっと必要とされていると思います。これから仕掛けていこうと思っているのはIPビジネスとファッションがコラボする新業態。世の中にもっともっと新しい「すてき」を仕掛けていく事が目標です。そして70歳で一息つけたら、ずっと世話になってきた妻を沢山旅行にでも連れて行けるような老後を送れたらいいなと思っています。

ライター/MAHO 取材・校正/NORIKO 映像/グランツ株式会社

 

 ◆鈴木基博氏プロフィール

 東京都出身

株式会社すてきカンパニー代表取締役

1980年 日本大学経済学部卒業

同年 株式会社サンリオ入社

2018年 株式会社すてきカンパニー設立(至現在)

 

 

 

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