今週のスゴい人、は、
『FINAL FANTASY』シリーズをはじめ、多数の名曲を生み出してきたスゴい人!株式会社DOG EAR RECORDS 植松伸夫様です。
令和リニューアル記念4日連続インタビュー
DAY4
編集部:作品を作り上げたとき、この曲!これだ!という、手応えを掴んだ瞬間というのはありますか?
植松氏:作ったものを聞き返したりしないんで、あんまり覚えてないんですけど、『FF7』の『メインテーマ』の譜面に、「これはいける!」って書いてあるんですよ(笑)。あれは多分、出来上がった瞬間に「これはいい」って思ったんでしょうね。出来上がった瞬間に、そういう事を書き付けたってのは、それくらいしか無いかな。
編集部:いわゆる「神が降りてきた」という、自動筆記のように作り上げてしまうような事はあるものなのでしょうか。
植松氏:例えば『FF』のメインテーマを作んなきゃなんないとして。考えて捻り出すタイプじゃないんで、一気に作っちゃうんですよ。断片的なモチーフしか出てこない時もあるけど、アイデアは何十個も出す。
で、それを完成形に持っていくとき、ものすごい悩んだあとにスパッと出来上がることがある。あの瞬間なのかなぁ。悩んで悩んでって時間は、やっぱ、必要なんですかね。風呂に入ったり油断しているときに出てくることもあるし…それがコントロールできたら、この仕事、楽ですよね(笑)。
今は朝イチで作ることにしてるんですよ。まだボーッとしていて、「考えて」ないから良いんでしょうね。
僕ね、なんて言えばいいんだろうな…物作ってる人って、大概おんなじ感覚かと思うんですけど。例えばモーツァルトって、自分の頭と、その上にある、こう、天上みたいなものと繋がっていて、求めるものがすぐ手に入るんですよ。物作る人って、そこと繋がりたいんですよね。
でも、繋がるパイプが細かったり、霧に隠れていたり。掻き分け掻き分け繋げにいく。ボーッとしている時は、それがクリアなんです。寝てる時ってのは、そこと繋がってるんだと思う。目が覚めると、そこのパイプの流れが悪くなっちゃうんですよね。寝てるときが本当なのかな、って気もします。
編集部:インスピレーションというヤツですね。インスピレーションを得るために何かしている事とかってありますか?
植松氏:音楽にフィードバックするって意味で? そういう意識でしている事は特になくて。自由な時間があったら、映画観るか本読むか酒呑むか…音楽作るか(笑)、格闘技も見ますね。
最近ではサウンドヒーリングの勉強もしてて、初級の試験、セラピストの試験も受かったんですよ。それを仕事にするとかじゃないけど。
それは正直、フィードバックさせようと思った。音楽の体や心への作用を意識したことが無かったんで。振動が血流に作用する、みたいなこともあるでしょう。例えば低い帯域、低周波が身体に影響を与えるとかってのも面白かった。
初級30時間、セラピスト70時間、筆記も実技もあり。それは久々にあざとくやりましたね。
編集部:今後の作品にも影響を与えそうですね。
植松氏:小さい頃に音楽を聴いて、感動した、癒やされた、と感じて。人を癒やしたくて音楽家になったって、サウンドヒーリングに出会って、何十年ぶりかで思い出したって感じかな。
前回もお話しした、ドッグイヤー・レコーズのスタッフに絵をつけてもらった絵本、これをスクリーンに映して、朗読して、僕が生演奏して、っていう公演。ファンクラブで一応の完成形をやって、すごく手応えはあったんだけど、改良点も見えているので、動かしていきたいですね。
編集部:そちらの活動も非常に楽しみです!今日はありがとうございました。
植松氏:ありがとうございました。
インタビュー:アレス ライター:Wahsy
<完>
◆取材後記
◆プロフィール:
植松 伸夫(うえまつ のぶお) 作曲家
有限会社スマイルプリーズ代表
株式会社ドッグイヤー・レコーズ代表取締役会長
「ファイナルファンタジー」シリーズをはじめ、数多くのゲーム音楽を手がける。
「ファイナルファンタジー VIII」のテーマ曲「Eyes On Me」は1999年度 第14回日本ゴールドディスク大賞でゲーム音楽としては初の快挙となる「ソング・オブ・ザ・イヤー(洋楽部門)」を受賞。海外での評判も高く、「Time」誌の"Time 100: The Next Wave - Music"や「Newsweek」誌"世界が尊敬する日本人100人"の一人に選出される。
近年では日本国内をはじめ世界各国でオーケストラコンサートや自身のバンド"EARTHBOUND PAPAS"によるライブイベントを開催。
◆植松伸夫公式ファンクラブ「中位のおっさん」
◆株式会社DOG EAR RECORDS