駅伝誕生100年目に海外でタスキをつないだスゴい人!

辛い体験こそ、ランナーの素質

海外で行なわれた世界初の1000km駅伝

ビットコインと図書券のクリスマスプレゼント

本日登場するスゴい人は、世界300万部のベストセラー『BORN TO RUN』の題材となった伝説のランナー、スコット・ジュレクを破り、ウルトラマラソンの国際競技・24時間走で世界タイトルを獲得。
その後、台湾島一周1100kmと、台湾島横断246kmの2つの国際大会を公言優勝し、自伝を出版。
印税収入の全額をクリスマスプレゼントにあてることを目的にタスキをつなぐ、壮大な駅伝を海外で初めて実現させたスゴい人である。
その常識を打ち破る行動の根底にある力は何だったのか教えてもらおう。

さあ…
ウルトラマラソン元世界チャンピオン
井上 真悟様の登場です!

目的達成力はリスクからの逆算

42kmよりも長い距離を走るウルトラマラソンでは、普段の練習で起こらないようなさまざまなトラブルが起こります。
勝負を制するために必要なことは、あらかじめリスクを想定しておき、綿密な事前準備を行なうこと。
私がこの分野で初めて世界チャンピオンになったのは、29歳の時でしたが、今回おこなった台湾島での大掛かりな駅伝挑戦を実現できたことも、競技で得たこの考えグセを社会活動のなかで活かし、達成の妨げとなるリスクから必要な課題を落とし込んで、一つ一つクリアしていったからだと思っています。

辛い体験こそ、ランナーの素質

過酷なウルトラマラソンを続けてこられた強みは、幼少期に父親から受けた暴力や、社会に出てから勤めた最初の会社が今でいうブラック企業であり、何度も自殺を考えるような辛い鬱を経験したことでした。
「あの頃の辛さに比べれば、自分で選んだ苦しさなんて」
長距離のランニングには、自分のなかのネガティヴな感情を発散して、チカラに換えられる要素があります。
世界タイトルを獲得した2010年以降は、自分が学んできたことを活かして、よりたくさんの人たちに想いを伝えるためには何ができるかをひたすら考えていました。

海外で行なわれた世界初の1000km駅伝

ウルトラマラソンは個人競技ですので、基本的に力を合わせて何かに挑むということはありません。
ただ、これまでに競いあってきた世界的なライバル選手たちも各々が辛い体験を糧にしていたことを知りました。
なら、全員が協力しあえれば、昔の自分たちのような人たちに世界規模で勇気を与えられるのではないか?
そう考え、1917年に誕生した日本独自文化の「駅伝」を手段に、駅伝誕生の100年後となる2017年に海外の人たちへメッセージを発信する。
それが、今回私たちが挑んだ台湾一周1000km駅伝です。

つないだタスキの意味

11月18日に台北からスタートし、国際大会でも活躍する6人の選手とタスキをつなぎ走った台湾一周1000km駅伝。
この旅のなかで、私たちは各都市の児童養護施設へ訪れ、さまざまな事情を抱える子どもたちとの交流を深めました。
駅伝の本質とは、目的の共有です。
今回の挑戦では、
「さまざまな事情を抱える子どもたちみんなに幸せになってほしい」
という私たちの想いにたくさんの方が賛同してくださり、活動期間中に販売することのできた、自伝の印税収入全額を使って子どもたち全員へのクリスマスプレゼントを贈ることができました。

ビットコインと図書券のクリスマスプレゼント

過酷なウルトラマラソンの競技に挑む私たち自身が、辛い過去から脱却するために必要な方法を模索しつづけたように、虐待などで辛い体験をした子どもたちが自分の幸せな未来をおくるために、なにを必要とするのか?
それは、他人には見つけられないものだと思っています。
自分の人生を切り拓くことは、自分にしかできません。
ただし、その為のヒントを見つけるために本を読むことはとても役に立ちます。
そこで、まず台湾で出逢えた施設児童へひとり一冊分ずつの図書カードを贈りました。
また、個人の信用経済化が進んでゆくこれからの時代のなかで、VALUというビットコインを使ったフィンテックサービスはお金の在り方を考えていく上で、とても面白いんじゃないかと考え、自分のVAを発行してその一部に該当する台湾元を各施設さんへの寄付金とするお約束を交わしました。
各施設さんへ寄付金を届けに行くのは、2年後のクリスマスの予定ですが、それまでにより多くの人たちに勇気を与え、支援されるアスリート活動ができるように、これからも競技を盛り上げていこうと思います。

取材を終えて

相当過酷な家庭環境から逃げずに、逆境をバネにして世界チャンピオンになった井上選手から、純粋な子どもたちは多くの刺激を受けていると思う。
アメリカ横断の企画に関しても井上選手だからこそできるし、可能だと感じる。
2020年、テレビでアメリカ横断のシーンを皆さんが目にした時、再度井上選手に心から祝福を送ってほしい。

プロフィール

井上 真悟(いのうえしんご)
https://valu.is/shin5inoue

父の他界をきっかけに”世界一過酷” と言われていたサハラ砂漠230kmマラソンへ挑み2年連続で日本人1位の実績を残す。

その後、アスリートとして日本全国で計26ヶ所の児童養護施設へ走って訪れ、施設児童にサハラ砂漠の体験談を伝える「地球のカケラを世界へ届けに」を実施。
・北海道縦断往復1088km(2007)
・東京-鹿児島1500km(2007)
・東京-青森800km(2008)

出逢った子供たちみんなを喜ばせたいと思い、当時20代で挑戦するランナーの少なかった「24時間走競技」に焦点を絞った競技活動を展開。

29歳時、“伝説のランナー”スコット・ジュレクを破り、24時間走史上最年少記録にて世界タイトルを獲得。ロードアジア新記録樹立。

児童養護施設就学支援「カナエールコンテスト」アンバサダーに就任(2011~2017)

サロマ湖/四万十川ウルトラマラソン大会公式企画講師を担当(2015~)

台湾一周1100kmウルトラマラソン優勝(2013)
台湾横断246kmウルトラマラソン優勝(2016,2017)
台湾国内にて著書 『大陸を走って横断する僕の話(木馬出版社)』出版(2016)

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