43歳にしてキックボクシングの世界チャンピオンになったスゴい人!

きっかけは初代タイガーマスクに会いたい!

23歳、プロデビュー直前に

格闘技歴25年…ついに!

本日登場するスゴい人は、初代タイガーマスク佐山聡氏に憧れ、「会ってみたい」という軽い動機でタイガージムに入会。
ところが、憧れの佐山氏からキックを褒められ、もっと褒められたいという気持ちから格闘技にのめりこみ、そしてキックボクシングの世界チャンピオンにまでのぼりつめた。
しかし、チャンピオンになるまでには実に25年の年月がかかった。
一体どんな道のりだったのか?

さあ…
UKFキックボクシング2階級世界チャンピオン
黒田 英雄様の登場です!

強いものがかっこいい

幼少期から、強いものがかっこいいと思っていました。
仮面ライダーやウルトラマンなどの特撮ものが大好きでしたね。
中学生になるとプロレス。
華やかでスピーディな女子プロレス、ジャッキー佐藤さんとマキ上田さんの伝説の女子プロレスタッグ『ビューティ・ペア』を観て衝撃を受けました。

自分に向いているものとは

実は高校生の時はスポーツはやっていなくて、バスケットボール部に1日だけ入部したくらいでした。
先輩後輩のいわゆる上下関係も面倒で仕方がありませんでした。
また、例えば団体競技だと自分がエラーをして負けたらどうしようとか、メンバーに怒られるとか、そんな余計なプレッシャーで萎縮してしまうので向いていないと思いました。
身体能力にはもともと自信があったので、やるなら個人競技だなと思い、行き着いたのは格闘技です。
試合の勝敗を左右するのは自分。
勝つのも負けるのも自分の責任です。
それでも実際にやってみると、格闘技もコーチがいてセコンドがいてのチームプレイなのだとわかりました。

きっかけは初代タイガーマスクに会いたい!

私が大学受験か就職かと考えていた頃、大ファンだった初代タイガーマスク佐山聡氏が引退しジムを設立されました。
「タイガーマスクに会ってみたい、握手してもらって写真も撮ってもらいたい」そんなミーハーな気持ちで私はタイガージムへ入会しました。
結局、就職すると忙しくてジムに通えなくなってしまいそうなので、大学に進学することに決めました。

格闘技に目覚める

大学生活を送りながら、ジムに通う日々。
もともとの「タイガーマスクに会ってみたい」という目標は簡単に達成することができました。
ジムに行けば佐山聡氏が先生として教えてくれますから。
ジムには何百人と生徒がおり、1クラス50人ほどのクラスに分かれていました。
ある日の練習中、佐山先生が「きみ、いい蹴りしているねぇ」と。
私は憧れの佐山先生に褒められ、もう嬉しくて嬉しくて天にも昇る気持ちになりました。
そしてもっと褒められたいと思い、夜中の公園で自主練習に励み、どんどん格闘技にのめり込んでいくのです。

初めての大会は準優勝

佐山先生が初めて開催した、第一回プリシューティング大会にて62kgの階級で準優勝することができました。
嬉しい気持ちもありましたが、やっぱり優勝したかった。
優勝と準優勝では扱いが全く違います。
それから、当時仲良くしていたキックボクシングのコーチとキックボクシングのジムを始めました。
最初はお金もないし区民センターでやろうと計画しておりましたが、なんとキックボクシングだというとどこも貸してくれません。
空手や柔道なら貸してくれるのに。
仕方なく高速道路の高架下やそばの公園にサンドバッグを吊るし、SVGというジムを始めたところ、マスコミにも取り上げられ有名選手も輩出し、大成功でした。

23歳 プロデビュー直前に

プロデビューが決まっていた23歳の頃、このままキックボクサーになっても有名になれるわけでもない、お金持ちになれるわけでもない、将来の保証があるわけでもない…そう考え、逃げるように就職してしまいました。
急に怖くなったのです。
そしてアパレル会社に勤め、仕事でも生活でも何一つ困ることなく過ごしていました。
不自由なことはないけれど刺激もない…でもまぁいいかなって。
29歳になり、ふと30歳になるまでに何かやり残したことはないかと考えていたら、やっぱりキックボクシングを続けておけばよかったな、と。
当時の仲間の試合の応援に行くと、みんなチャンピオンになっていたりメインイベンターになっていました。

試合が怖い

あいつがチャンピオンになれるなら俺もなれるんじゃないか。
試合を観に行ってそんなことを考えました。
そしてまたジムに入り直しました。
もちろん仕事は続けながらです。
32歳でついにプロデビューが決まり、デビュー戦の相手は19歳。
極真空手のジュニアチャンピオン。
しかし判定負け、それから3連敗です。
正直自分のことを天才だと思っていました。
タイガーマスクのようにリングを飛び回り、華麗な技でKO、そしてガッツポーズ。
そんなイメージでプロデビューしたのに、いざ試合になるとめちゃくちゃ怖かったのです。
応援に来てくれるたくさんのファンの皆様にも申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

格闘技歴25年…ついに!

1回くらい、勝つところを応援に来てくれる方に見せたい。
どうせ負けるなら死んでもいい。
そんな気持ちで試合に臨み、そこから5連勝。
そして36歳になり、チャンピオンを目指すため会社も退職しました。
すぐにタイトルマッチが決まりましたが、そこからまた4連敗。
負ける理由がわかっているから1つずつ克服していきます。
普通はタイトルマッチのチャンスは4回ももらえません。
43歳、またしてもタイトルマッチに挑戦。
相手は前年ボコボコにされたタイの選手で、リベンジマッチでもありました。
3分5ラウンドドローで延長戦へ。
スタミナも切れてしまっています。
でも、あと3分頑張れば報われる。
次負けたらまたいつチャンスが来るかわからないし、来ないかもしれない。
不思議と体は動きました。
そして勝利。
43歳にして、念願のUKFインターナショナルスーパーライト級王座を奪取。
さらに翌年、UKF世界スーパーウェルター級王座をかけた試合でもKO勝利し、2階級制覇を成し遂げました。

キックボクシング2階級制覇!そして・・

今現在試合はしていません。
今は初代タイガーマスク佐山先生が新しい武道を立ち上げられ、そちらの大会に出場したいです。
始まりも佐山先生から、最後も佐山先生のところにしたいと思っています。
連敗している時は、年齢の限界を感じ、何度もやめようと思っていました。
才能もないし強くもないし、もう試合で死んでもいいやとさえ。
負けが続いても、いつも応援に来てくださったファンのみなさんには一生懸命なところが伝わったのだと思います。
私の経験から、「諦めずに努力を続けていけば夢は掴める」ということが伝わっていけば嬉しいです。

取材を終えて

実は、黒田さんとは何度も後楽園ホールでお会いしたことがある。
いつも気さくで周りにはたくさんの仲間がいるのだ。
友人に「キックの世界チャンピオンの黒田英雄さん」と紹介され一瞬緊張したが、柔らかい物腰で挨拶してくださりとても優しい方だなと思った。
今回は取材をさせてもらい、今までの立ち話とはまるで違う格闘家としての黒田さんを知ることができた。
アパレル会社に勤務されていただけあってかっこよくレザーのライダースジャケットを着こなす彼は、幼い頃からタイガーマスクに憧れ、その憧れのスターの弟子となる。
きっとお茶の間からスターに憧れる“だけ”の人はたくさんいるだろう。
しかし黒田さんは実際に行動に移しタイガージムに入門し弟子となり、何度心が折れても立ち上がりそして43歳にして世界チャンピオンまで昇りつめる。
お話を聞いているとまるで映画を観ているような感覚に陥った。
私にとって黒田さんはムービースターのようだ。今後も彼から目が離せない。

プロフィール

黒田英雄(くろだ・ひでお)
キックボクサー、格闘家
キックボクシングUKF 2階級世界チャンピオン

タイガーマスクに憧れ、初代タイガーマスク 佐山聡氏が創設した格闘技ジムへ入門し弟子となる。
20歳で第一回プリシューティング62kg級で準優勝。
プロデビュー目前に将来への不安からアパレル会社に就職。
しかし30歳までにやり残したことはないかと思い直し、29歳の時に再びトレーニングを始め、ついに32歳でプロデビューを果たす。
43歳にして念願のUKFインターナショナルスーパーライト級王座を奪取。
さらに翌年UKF世界スーパーウェルター級王座をもKO勝利し、2階級制覇を成し遂げる。

◆獲得タイトル
UKFキックボクシング インターナショナルスーパーライト級王座
UKFキックボクシング 世界スーパーウェルター級王座

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