インターネットやFC展開でそろばん業界を復活させたスゴい人!

子どもの成長が垣間見える瞬間

そろばん業界初の挑戦

FC展開で世界に広がるそろばん

本日のスゴい人は衰退の一途を辿っていたそろばん教室をe-ラーニング導入やフランチャイズ(FC)展開によって復活させたスゴい人!
業界初のインターネットそろばん教室の立ち上げに責任者として携わり、先進的なそろばん塾となった。
更にスモールステップや個別対応によって、計算だけでなくそろばんから子どもを成長させるいしど式は評判を呼びFC展開へ。
現在直営とFCは合わせて211教室あり、そのうち5つはグアテマラを始め海外にある。
しかし、ここまでそろばんを広めるには数々の苦悩があった。
それをどう乗り越え、現在のいしど式システムを確立したのだろうか?

さあ…
株式会社イシド 石戸珠算学園
代表取締役社長 沼田 紀代美様の登場です!

原点は貧乏体験

生まれは北海道で、私の原点は小学校に上がる直前に親が離婚をした幼少期の貧乏体験ですね。
それまでは北海道の田舎ではありますが、わりと裕福な家庭でわがまま放題の毎日が一転。
網走・北見・紋別地方という流氷が流れるマイナス30度の地域で貧乏に育ったので、人に甘えない根性がつきました。
今となっては母親には貧乏させてくれてありがとうと伝えたいです。

子どもを教育する魅力

20代で教育の面白さに気づきました。
当時の短大は保育・福祉・幼児教育が同じ学部でした。
資格取得のための実習を通して気づいたのは子どもが持つ成長の可能性。
その姿に感動し、未来の塊だと思ったんです。
未来へ貢献する仕事は大変魅力的だと思いました。
そして障がい児教育や幼稚園教諭として働き、27歳で結婚。
退職後に千葉県に来ました。

引きこもった専業主婦生活

新婚3か月くらいまで専業主婦生活が楽しかったのですが、次第に図書館で本を借りるくらいしかやることがなくなり、習い事の料理教室は目標がなくつまらないと感じて。
半年ほど引きこもりになり、八百屋に買い物へ行くのも緊張するようになったので、これはまずいとバイトを始めました。
けれど、単純作業のバイトは責任もない代わりに、誰でもできる仕事。
何のために自分は生きているんだろうと思うようになりました。
本ばかり読むと哲学的な考えになるんですかね(笑)

そろばん教室との出会い

ある日ポストに入っていたチラシに「そろばんで能力開発」の文字が。
自分が高校生の頃そろばんで脳が活性化する感覚があったことを思い出し、教育の価値を感じました。
この時も先生を募集していましたが応募せず、半年後に同じチラシが入っていたので、印西にある会社へ面接に行きました。
面接で今の会長が座って第一声、放った言葉は「専業主婦で子どもなし、こういう人ってすぐやめるよね」
昭和の時代を生きてきた会長だから悪気はないのですが、カチンときて「正社員として応募をしてきたからには些細なことでやめません」と言って帰ってきました。
採用通知が来たときは驚きましたね。
朝の6時からポスティング、授業後も補講があり、帰宅は夜の11時過ぎ。
思っていた仕事と違ってきつい、今日こそやめようと思っていると社員が「社長に向かって啖呵を切る人初めて見たよ」と言うから辞めるに辞められなくなりました(笑)
仕事は確かに大変でしたが、やりがいがありました。

子どもの成長が垣間見える瞬間

そろばん教室は電卓、コンピューターの影響もあり昭和60年代をピークにどんどん減っていました。
そんな時代に閉鎖的なそろばん業界は下降の一途をたどるばかりでした。
脳科学が発展し、そろばんは脳の発達に効果的だと科学的に証明されると、教育熱心な母親たちは子どもに習わせたいと来るようになりました。
中には3歳の生徒もいます。
最初の一年は大変ですが、基本の動きを覚えると右脳が活発な時期なので6桁くらいの計算ができる子も出てきます。
そして「どうせ無理」と諦める子どもが多い時代だからこそ、私たちはスモールステップと個別対応で自己肯定感を高めることを大切にしています。
そして一定のラインまでいくと次は級というものがあります。
どんなに努力をしても1問合格点に届かなければアウト。
今の子どもの世界には珍しい、厳しい世界です。
何度も泣きながら挑戦する子どもたちは精神的に大人になるので、人間の成長は学年でなく経験だと実感しています。

そろばん業界初の挑戦

いしど式システム確立の始まりは、子ども達が能力を伸ばしながら楽しめるそろばんを広く知ってもらおうという会長の想いが原点。
ここの塾がいいねと思ってもらう為には、行けば成果が出る、子どもが楽しく通える、この2つが必要です。
私の入社後2、3年は厳しい時期でしたが、ちょうどゆとり教育の変動の2000年代から会社の業績も良くなりました。
2000年、各社がホームページを持ち始めた時にいち早くドメインをとり、インターネットそろばん学校を開校しました。
ここまでの道のりは大変でした。
開校のための融資を受けスタートの計画を立てた瞬間、銀行から資金の貸し渋り。
更にパソコンに詳しい社員が会社を辞めて、当時パソコンが家にない人がほとんどの中、メールならできると言った私が担当者になってしまいました。
プレッシャーもありましたが必死でやりつつ知識を得て、動画で学習ができるeラーニングを突破口に先進的なそろばん塾というブランドができました。
当時ネットでは顧客を3、4歳と想定しましたが、実際に習っているのは大人が多く3割ほどを占めていました。
完成後は出版社や雑誌へアプローチをしたり、ネット広告を出しました。

FC展開で世界に広がるそろばん

FC展開の始まりは12年ほど前、とある学習塾の先生が弊社をネット検索で見つけてノウハウを聞いてきたことからです。
先方と導入の打ち合わせを重ね、弊社のノウハウで立ち上げるとオープン日には一日中電話が鳴る大盛況ぶりでした。
この話が評判となり、最初はボランタリーにやっていたのがFC展開で広げることにしましたね。
FCは211教室のうち5つが海外にあります。
そのうちの1つ、グアテマラは国民の半数以上がマヤ民族で、自給自足で暮らす国で、そろばん塾の1ヶ月の月謝は年収に相当するほどの値段。
その為、若者は親戚中からお金を集めて来るんです。
しかし数百人も入塾を待っている状況。
努力をした者は生徒でなくアシスタントに昇格させ先生となるのですが、ここからがラテン民族らしくて、初めて手にする給料があまりにも大金過ぎて、そのまま遊びに行ってしまい戻ってこないんです。
もちろん借りた親戚にも返さず。
だから未だに先生不足(笑)
事業としてお金を稼ぐことで貧困国の人の雇用に役立てられる、これは世界貢献だと思います。
弊社は、営業はほとんどしていません。
お問い合わせが来ると事業説明会をし、共感できる人に参入してもらう形です。

仕事をする理由、今後の目標

仕事は労働とお金を換える嫌なものと思われがちですが、私にとっては労働が自分の存在
価値へと繋がりました。
それにお金のためではなく自身や人のために働けていることも30代で感じました。
強制でやるのではない、ゲームにハマった時の感覚ですね。
子どもの成長に驚くことで親子関係も良好に変化する自分の仕事に、誇りをもっています。
だからイシド式を体験する人を世界にもっと増やしていきたいです。

取材を終えて

自分も子どもの頃にそろばん塾に通っていたが、そろばんが右脳に良いとはこれまで全く知らなかった。
確かに、当時は会話をしながら頭のなかにそろばんが出てきて、暗算もスラスラできていた。
更に、努力しそれが成果(級を上げる事)に繋がり、自己肯定感は確かに高まっていた。
これまでのそろばん教室は九九ができてからの入塾だったが、3歳を折って数を数えられ、数字が書ければいしど式では受け入れるそうだ。
小学生でなかなか上手にできず泣いている子に対して、幼稚園の子が「努力すれば必ずできるようになるよ」と励ますそうだ。
なんだかスゴく夢のある事業だと感じた。
興味のある方は一度、訪れてみてはどうだろうか。

プロフィール

沼田 紀代美(ぬまた・きよみ)
いしど式のルーツは1973年、創業者の石戸謙一氏が開校したそろばん教室にある。
当時から、能力開発やしつけなど、そろばんをただの計算道具ではなく、教育ツールとしての側面を重視していた。
そろばん事業を単体で運営する中、その教育的価値を追求し、独自のカリキュラムとして現在の「いしど式」に至る。
「そろばん教育を通じて社会に貢献し、世界に羽ばたく人材を育てる」事を目的にそろばん教室「いしど式」を展開。
FC加盟社は、教育関連の企業の他、異業種からの参入も多いのが特徴。
FCの開業金は128万円~。入会金30万円のほか、開校1年間の研修費用が含まれる。

◆いしど式そろばん公式サイト http://www.ishido-soroban.com/

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