数々のテレビドラマをヒットさせ映画監督もこなす敏腕プロデューサーのスゴい人!

現場ロケは夢とは程遠い

1本の電話が人生を変えるきっかけに

初の映画は借金2000万円!

本日登場するスゴい人は、あの有名な「ひとつ屋根の下」にてアシスタントプロデューサーを経験。
その仕事ぶりを評価され「将太の寿司」「天体観測」などを手がけ、独立後も「33分探偵」「深夜食堂」「コドモ警察」「しあわせのパン」などドラマや映画を多数プロデュースされている。
そして今年、「母への100の質問状」という書籍を出版され話題を呼んでいる。
母として、1人の女性として生きてきた母との手紙を通じたやり取りは、これまでにない書籍のスタイルである。
常に新しい事をプロデュースし続ける秘訣を教えてもらおう。

さあ…
株式会社アットムービー
代表取締役 森谷雄様の登場です!

奨学金制度を利用して大学へ

幼いころに両親は離婚し、僕は父との思い出はほとんどなく、母は結婚離婚を繰り返し、決して裕福な家庭ではありませんでした。
母は昼も夜も働きに出ていて、僕は弟とテレビを観ていることが多く、映画の主人公の生き方から色々と教えてもらった気がして映画作りに興味を持っていました。
英語は話せなかったけれど、アメリカのUCLAで映画を学びたいと漠然と思っていました。たまたま本屋で目に入ってきたのが「日本大学芸術学部」という赤本。
手にとって見ると映画学科があったのです。
日本にも映画の大学があることを知り、受験しました。
放送学科の方が就職に有利と聞いていたのですが、映画学科を選択。
学費は年間120万円と高額でしたので母には頼れない。
新聞奨学生で上京し、その後、授業以外は飲食店でアルバイトをして国からの奨学金を借り、一部どうしても足りない時は母親に頼りました。
奨学金は社会人になり12年かけて返済しました。
周りの友達は裕福な家庭が多く、飲み会や遊びの誘いもあったのですが、全て断り学費と生活費のためにバイト尽くしでした。
移動は全て自転車でした。

現場ロケは夢とは程遠い

実は学生時代に憧れの監督に出会い、助監督の誘いを頂いたのですが、自分の我儘を受け入れてくれた母の思いを考え、大学は絶対に卒業しようとお断りしました。
卒業後、映画は斜陽だったのでテレビドラマの道へ進みました。
最初の現場はTVの連続ドラマ『教師びんびん物語』の助監督。
思い描いていた世界とは違っていましたね。
次は夏の炎天下のロケでした。
先輩に「お前なんかやめろ!」とめちゃくちゃ怒鳴られた時、大変な思いをして育ててくれ、卒業させてくれた母に対する感謝が湧くと同時に、自分には映像の世界しか無いのだから辞めるわけにはいかないと覚悟が決まりました。

24歳で監督をさせてもらう

自分の企画を当時の制作会社の社長に出すと「お前がやってみるか?」と24歳で深夜ドラマの監督をさせて頂きました。
大学卒業制作以来の、自分で映像を撮る30分ドラマです。
良い経験をさせて頂き今でも感謝しています。
入社した制作会社は『GTO』などヒットドラマを沢山手がけていたのですが、急に仕事が増え薄利多売な仕事が増えていきました。
今なら僕も制作会社を経営しているからわかりますが、当時は折角良いのものを作っていたのに何故?と思い、方向性が違う気がすると退職しフリーの助監督になりました。
フリーでもお陰様で仕事を沢山頂き、昼ドラを短期間で撮影したり、恐ろしい業務量で睡
眠がほとんど取れない生活をしていました。
1年ぐらい経った頃、1本の電話が掛かってきました。

1本の電話が人生を変えるきっかけに

電話の相手は『冷静と情熱のあいだ』などを手掛けた中江功氏。
「一緒にフジテレビでやろうぜ!」と言われ『東京ラブストーリー』などを手掛けた憧れの大多亮氏に会ってみないかと誘われたのです。
後日、大多氏に会い「フジに来てもやりたい事が出来るかわからないよ」と言われ、「仕事はやりたい仕事ばかりではない。自分が甘かった」とハッと気付かされたのです。
面白い人だと思い、26歳の時にフジテレビと契約をしました。
1本目の作品が『ひとつ屋根の下』でした。
もちろんこれまでのように助監督で行くと思ったら大多さんから「俺のアシスタントプロデューサーをやってくれ。物語も好きで企画を考えるのも好き、音楽も好きで映画の知識もあり役者も沢山知っている。お前はそっちのほうが向いていると思うんだ」と言われたのです。
とにかく頑張りました。
スケジュールも考え、現場にも行き、編集にも立ち会い、キャスティングもする。
本当に全部やりました。全部です。
死ぬ気でやったら視聴率が38.7%という成績が出て嬉しかったです。
その仕事ぶりを評価され、フジテレビの社員ではないのに27歳でフジテレビの連ドラプロデューサーに抜擢されました。

初の映画は借金2000万円!

大多さんが制作から編成になり、共同テレビに知っているプロデューサーがいないから行ってくれと言われその後、色んな人が共同テレビに入れさせようと口説きに来ました。
それならばと心を決めて入社したのが29歳。
怒られながらも沢山のドラマを手がけさせてもらいました。
36歳の時に『天体観測』というドラマを手掛けた時に、やっと自分がやりたい事をここまで作り上げられたというやり切った感が芽生え、今度は映画を作りたいと思ったのです。
最初に手掛けた映画はまだ共同テレビの社員でしたが自分の法人を作っていたので自分がそこに出向する形で制作しました。
契約は完成保証だったのですが一緒に手掛けたプロデューサーは逃げてしまい、共同テレビの社員でありながら2000万円の借金を被ることになったのです。
なんとか次の作品でこの借金は返済することが出来ましたが、これまでテレビドラマは予算も観客も全ての環境が整った状態で撮影していた事を知りました。
映画は誰もいない土手に1人で「これを作りたい!」って叫んでいる所からスタートする
のです。
そこから興味がある人が1人現れ2人現れ撮影がスタートするまで、数年かかります。
色々な先輩に森谷の企画は3年早いから映画向きだと言われた意味がわかりました。
映画『サムライフ』は7年かかりました。
ということは僕が7年早かったという解釈が出来るのです。

母への100の質問状を通じて

自分の中で黄金率があるわけでもなく、何事にも興味の矛先を持ちアンテナを立てています。
不安な心だとなかなか感性の感度が上がらないので、常にオープンマインドで全方位に視点を広げています。
そして、自分は今どんな状態の中にいるのか、別のカメラから見るようにしています。
この客観視力がプロデューサーとしては大切になります。
思いっきり入り込んだら、客観視する。
作品に入り込みすぎるとお客様に伝わりません。
『母への100の質問状』も息子ではなくプロデューサーとして書き上げました。
このタイトルなら人に興味を持ってもらえるのではないだろうか、誰もが書ける本の形式が作れないかと質問形式にしました。
実際に母親からの返答にはびっくりする内容もあったのですが、翻弄されず冷静に質問を投げ続けました。
そうする事で母の心情が浮き彫りになるのです。
最後に「あなたは今、幸せですか?」と質問し、僕の予想した答えは「いいえ」でしたが「息子へ。はい。幸せです。」と帰ってきたのは予想外でしたが嬉しかったです。
この本を通じ母親はすごいと思うと共に、自分の妻や子どもに向き合う姿勢が変わり、仕事ばかりではなく共に過ごす時間を大切にできるようになりました。

取材を終えて

森谷さんの取材は流石!プロデューサー!と思えるほど質問には端的に答えて頂きながら何よりも会話のリズムが心地よくずっと話をしていたいと思える人だった。
幼いころ、親の離婚が繰り返され、父親が4人いたという。
50歳になり自分の知らなかった母、知りたかった母の心を聞きだした。
自分は母親に対してこのような質問をできるだろうか?と考えたが、母親という姿だけで十分であり、女性としての姿を見る必要はあるのだろうか?と思ってしまった。
当たり前だが全ての母親は母でありながら1人の女性として人生を生きている。
母に質問する勇気、受け取る勇気、身内である母の人生を世に出す勇気。
全てをクリアーされないと完成されなかった本である。
この様な形で母親へ質問し、自分と両親との繋がりを確認する流れは一般化するかもしれないと思った。
実は、この本にはもう1つストーリーを立体的にさせる仕組みが隠されている。
是非、手にとって読んでもらいたい本である。

プロフィール

森谷雄(もりや・たけし)

1966年2月24日愛知県生まれ。
日本大学芸術学部映画学科卒業後、テレビドラマの世界へ。
プロデューサーとして、「天体観測」(’02/フジテレビ)、「ザ・クイズショウ」シリーズ(’08・’09/日本テレビ)、「33分探偵」シリーズ(’08・’09/フジテレビ)、「深夜食堂」(’09/毎日放送・TBS)、「コドモ警察」(’12/毎日放送)、「みんな!エスパーだよ!」(’13/テレビ東京)、「限界集落株式会社」(’15/NHK)などのドラマを手掛ける。映画の主なプロデュース作品は『ロッカーズ ROCKERS』(’03/陣内孝則監督)を皮切りに、『シムソンズ』(’06/佐藤祐市監督)、『Little DJ〜小さな恋の物語』(’07/永田琴監督)、『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』(’08/塚本連平監督)、『シャッフル』(’11/及川拓郎監督)『しあわせのパン』(’12/三島有紀子監督)、『ぶどうのなみだ』(’14/三島有紀子監督)、『曇天に笑う』(‘18/本広克行監督)。監督作品には『サムライフ』(’15)、『アニバーサリー』(‘16)がある。

◆著書「母への100の質問状」 http://amzn.to/2wD99Dx

◆株式会社アットムービー http://atmovie.tv/

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