ひまわりを通じて福島復興支援活動を続けているスゴい人!

広島生まれが復興に役立つ

辞めたかったけど辞められなかった

ひまわりを通じて見えてきた事

2011年3月11日に発生した東日本大震災から6年が経過した今、活動を継続しているボランティア団体は減少している。
今日はひまわりを育てる事で復興支援となる「福島ひまわり里親プロジェクト」を行う団体の理事長が登場する。
1.震災で仕事が減少した福島の障がい者の作業所で種をパックに詰め、全国へ販売。
2.全国の里親さんが種を購入し学校や企業などで栽培。採れた種を福島へ送付。
3.全国から届いた種は、福島の学校や観光地、駅、自治体や企業などへ無料配布。復興のシンボルとして開花。
4.福島で採れた種は搾油後、バスのエネルギーとして使用。搾油は2箇所の福祉作業所の仕事になる。
この活動は今では全国20万人、小中高校など1,000の教育団体も参加するプロジェクトとなった。
最初は放射能を吸収するかもしれないという、微かな可能性に期待を込めて活動を始めたが、今では福島に観光に来ていただくきっかけとして、多くの絆を通じて色々な可能性が見えてきたという。

さあ…
NPO法人チームふくしま
理事長 半田 真仁様の登場です!

福島とのご縁

専門商社に就職したのですが怪我で腰を痛めてしまい、一時は車椅子生活の可能性もあると言われました。
その後、3回の手術を経て仙台支社の人事へと配属されました。
プレイヤーからマネージメントの視点への移行は、大変勉強になりました。
その後、JDCA認証キャリアカウンセラーと精神保健福祉士という2つの資格を取得していたご縁で福島県庁雇用対策グループ相談員として1,000人以上の若年層の面談を経験し、独立。経営支援事業を主軸とする「採用と教育研究所」を設立しました。
震災が起きた時は、福島駅近くの携帯ショップにいました。
たまたま知人と電話で話していて、電話口の知人の「うわわわー地震!でかいよ!」の叫び声と共に通話が切れて数秒後、地鳴りとともに地震が襲ってきました。
映画のワンシーンのように大人が冷静に子どもたちを守る姿。
その一体感はすごかったです。
人の為になることで人は不思議な力を発揮します。

広島生まれが復興に役立つ

広島出身の私は幼い頃から原爆や平和の話をよく聞いていて、外気の入る家の隙間は全て塞ぎ、外に出て帰ったら服は全て捨てる、車の空調も全て塞ぐなどの知識はありました。
炊き出しをしている友人の手伝いに行こうとすると、「半田さんにしか出来ないことがあるからこちらには来なくて良いです」と断られました。
「放射能を測定したい」という声が上がってきたので、大阪まで測定器を買いに行きました。
個人への販売は出来ないと断られましたが、目的と事情を詳しく説明し、販売してもらいました。
次の日から自衛隊、消防署などがどんどん購入され売り切れたそうです。
チームふくしまのメンバーと共に、各地を測定しホームページに掲載。暫くしたら行政機関が測定を初めたので、定期測定は2012年4月に終わりにしました。

一時帰省

震災から約1か月後の4月8日に初めて無事を知らせに広島の実家に戻るやいなや、両親と人生で一番の大喧嘩。
父は顔を見たとたん僕をぶん殴り、母は泣きじゃくる。
福島にいるとは、私の両親にとっては心配で辛い事なのだと気づきました。
一泊し、早朝こっそり家を抜け出し新幹線に乗りました。
やるせない気分なので朝からビールを飲みながらお好み焼きを食べていました。
もう少しで出発という瞬間、窓の外に母が立っていたのです。何両もある新幹線の中から、どうやって私を見つけたのか。母親ってすごいな、とそのとき感じました。
母はニコニコして、口の動きで「いってらっしゃい」と言った気がしました。
「わかってくれた。」そう思って、手を振ると、
母は目を真っ赤にして手を振っていました。その姿を見て、自分は親不孝者だと思いました。

まさかの抜擢

ある日「なぁ半田!ひまわりやろうぜ!」と1本の電話がかかってきました。
尊敬する先輩である香取貴信さんでした。
当時7つの仕事を抱えていた私は「無理です」と電話を切ると、また掛かってくる。
これを3回繰り返しました。
ある日、出張から戻ると「チームふくしま」のメンバー数名に取り囲まれ、一気にプロジェクトの説明をされ「半田さんが理事長に決まったから」と言われ、反射的に「はい!」と返事したものの気が乗りませんでした。
しかし、農業をスタート出来ず、農家の仲間や農業関係の仕事に関わる仲間も困っていたこと、福祉事業所もこれまであった野菜の栽培やお土産用のお菓子箱を折る仕事が無くなって困っていたことを思い出しました。
この時、福祉作業所の皆さんを応援できるとやる気スイッチが入りました。

世間からの批判と本業への影響で辞めたい気持ちが芽生える

活動を始めると、「ひまわりが生態系を壊す」など有る事無い事をネットに書かれました。
毎日のように電話も鳴りました。
本業の仕事で叩かれるなら我慢出来ますが、ボランティア活動で叩かれると何の為にやっているかわからなくなりました。
風評被害は本業にも影響してしまうので、経営者として一生懸命働いている社員を守れなくなること、チームふくしまのメンバーに迷惑をかけてしまうことは避けたかったのです。

辞めたいけど辞められなかった4つの理由

もう限界!年内分の作業料をお支払いして終わりにしようと福祉作業所を訪れたのですが、玄関を入るなり、利用者さんに90度以上の角度でお辞儀をされて「有難うございます!お給料より働く喜びをいただけて本当に感謝しています」と先に言われてしまい、辞めるとは言えなくなりました。
2つ目は末期がんの患者さんから届いた辞世の句です。
「丹精を込めて育てし向日葵に 子らの明日に幸あれと託す」
3つ目はシリアの方から「政権が変わり殺される側になった。放射能は降っているかも知れないが、まだ鉄砲玉は降っていない。鉄砲玉が降っていないならやれる事はまだある!」と言われたことです。
この3つが立て続きに起き、4つ目の理由となるプロジェクトの理念『For You For JAPAN~あなたのためにすることが、日本のためになる~』に立ち返って、続けていこうと決心しました。

ひまわりを通じて見えてきた事

この活動を通じて沢山の絆が生まれています。
他県と福島の学校の交流や、子どもたちが町内会の人と交流を深め、人間的な成長をされたり、ひまわりを共に育てることでお互いの良さを発見して、結婚された人もいます。
ただ、なかなか福島で反応が感じられない。
そして、参加者も全てプロジェクト本部と直接繋がっているため、地方での横の繋がりが無い。
それならば!と地方大会を経て、全国の里親が福島に集い、花を咲かせるまでの想いや、素敵なエピソードを発表してもらう交流イベント『ひまわり甲子園』をスタートしました。
防災で一番大切なのは地元での横の繋がりです。
この交流イベントは各地域の防災教育にも繋がっていきます。
そして福島に来てもらい福島を楽しんで帰ってもらいます。

実現させるべきこと、そして最終目標

このプロジェクトがあるということは、残念ながらまだ震災から立ち直ったとは言えません。
最終目標はプロジェクトを消滅させることです。
それまでに幾つか目標はありますが、震災や自然災害が多い日本において伝承は何よりも大切。
子どもの頃、僕が聞いた広島の話もユーモアを交えて面白く話されるのですが、最後の最後にリアルな情景と共にさらりと命の大切さを教えられ、その瞬間にズドン!と心に刻まれました。
人に興味・関心を持ってもらう為に、入り口は楽しくすることが大切だと思っているのでこのプロジェクトもそうです。
各地域の企業がタネを購入され、地域の小学校へ配布頂き、地域教育・災害教育の場が広がっています。
タネを育てて福島に送り、自分達の送ったひまわりを修学旅行で福島に見にくる学校もあります。
実際に足を踏み入れ、話を聞くことで子どもたちの目は変化します。
このプロジェクトに参加された企業だからと、就職してくる若者も出てきています。
小さくも確実に想いの輪が広がっています。
あなたがくだらないと思った今日は、昨日亡くなった子どもたちの、どうしても生きたかった今日なのです。

取材を終えて・・・

半田さんは終始「僕は前に出てはいけないのです」と言い続けていた。
半田さんが師匠とするのは平等院鳳凰堂の池だという。
10円玉には刻まれていないが名脇役な池。
「私の色が出たら絶対に負けなのです」とも言われていた。
ホームページに理事長として名前も掲載せず、書籍も「著」ではなく「文」と表記。
このプロジェクトを実行したい学校の先生がいても、学校の説得が難しいため、色々と賞は受賞してきたが、今は先生達のために『ぼうさい甲子園』で受賞したいという。
『ひまわりが咲くたびに“ふくしま”が輝いた!』(著書)のお婆ちゃんとの豚汁のシーンを読んで涙が溢れて来た。
こんなにも強く逞しく愛のある人たちがいるのだと。
是非、読んで欲しい。

プロフィール

半田真仁(はんだ・しんじ)
◆NPO法人チームふくしま『福島ひまわり里親プロジェクト』HP
http://www.sunflower-fukushima.com/
500円から参加出来ます

◆動画で見る 福島ひまわり里親プロジェクト
http://www.sunflower-fukushima.com/photosp/movielist.html

◆書籍紹介ホームページ
『ひまわりが咲くたびに“ふくしま”が輝いた!』
https://sunflower-fukushima-book.jimdo.com/

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