いじめによって大学受験も就職も諦めた
自分の力を試すために
自分だからこそできることを
本日登場するスゴい人は、テレビや雑誌などメディアでも活躍する、弁護士のスゴい人。
彼女が弁護士を目指したのは、大学を卒業し、結婚、出産を経てからのことだった。
彼女はなぜ、司法試験受験を決意したのだろうか。
合格率約1%の難関である司法試験に合格できた秘訣とは?
さあ…
渋谷リヒト法律事務所
弁護士 菅野 朋子様の登場です!
いじめによって大学受験も就職も諦めた
中学の終わりから高校時代にかけてひどいいじめに遭って、外に出られなくなり、起きられなくなり、学校に行けなくなってしまいました。
人間つらすぎることは忘れるようで、この頃の記憶は途切れとぎれです。
高校2年生で転校し、転校先では友達もでき、自分が悪かったからいじめられていたわけではないと気づけたことはすごく嬉しかったです。
でも、いじめがなくなったからと言って、すぐに学校に行けるようになるわけではありませんでした。
それまで長期間精神的ダメージを受け続けていたため、ひどい摂食障害とうつになっていました。
本当にギリギリで、何とか出席日数を満たして卒業しましたが、勉強に身が入らず大学受験をできる状態ではなく、諦めました。
幸い成績は良かったので、大学には指定校推薦で入学しました。
自分の力を試すために
結婚、出産を経て子育てが少し落ち着いた頃、自分の力を試したいという思いから、どうせ受けるなら一番難しいものをと考え、司法試験受験を決意しました。
学生時代、行きたい大学があったのに受験することすらできず、就職もできず、自分の力を試すことができないまま大人になってしまったことがずっと胸に引っかかっていたのです。
今振り返れば、学生時代には弁護士になりたいと思ったことは無かったので、こうした経験がなければ弁護士にはなっていなかったでしょう。
勉強は大変でしたが、最初の1~2年は、人生で初めて自分の決めたことにチャレンジしていることが楽しかったです。
私が受けていた旧司法試験は、択一試験、論文試験、口述試験の3段階で、私はずっと択一試験には合格するものの、論文試験に苦戦していました。
最初は楽しかったですが、先が見えず不安な時期は本当につらかったですね。
5度目の挑戦、限界まで自分を追い込んだ
私が受験生の頃にはすでに新試験も始まっており、一度はロースクールに入って新試験で受験しようとも考えました。
しかし自分の中でどうしても、より難しい旧試験に挑戦して受かりたいという思いがありました。
そして旧司法試験最後の年、私は旧試験を受けると周りに公言して自分を追い込みました。
それまで数年間、司法試験に受かれば自分の人生にリベンジできるという事が、私にとっての目標であり、拠りどころとなっていたので、これでダメだったら自分の存在価値は無いという気持ちになり、大きなプレッシャーを感じていました。
受からなかったら戻る場所は無いと思い、その年が一番勉強していましたね。
論文試験の3日前、緊張で食事もとらずに勉強し続けていたために倒れ、病院に連れていかれて点滴を打ったほどでした。
5回目の挑戦でずっと苦戦していた論文試験に合格し、喜んだのもつかの間、すぐに次の口述試験の心配に襲われました。
3日間死ぬ思いで口述試験を受け、合格発表は当時小学校3年生だった息子と一緒に見に行きました。
「どうしよう、怖くて見られない」というと、息子が結果を確認してきてくれました。
合格を知った瞬間は、手放しで喜ぶというよりも、ほっとした気持ちの方が大きかったですね。
今もう一度やっても、あの時ほどはできないと思えるほど追い込んだから、受かったのだと思います。
自分だからこそできることを
司法修習生の間、検察官になりたいという思いもあり、悩んだ時期がありました。
私のおじが強盗殺人の被害者になり、唯一被害者の味方になってくれる検察官に救われた経験からでした。
しかし、年齢的な問題と転勤があるため子どもがいる私には難しく、弁護士への道を進みました。
今でも魅力的な仕事だと思いますし、やってみたかったという気持ちもありますが、今は弁護士も犯罪被害者につくことができるようになったので、弁護士として犯罪被害者の味方をできると思っています。
弁護士になってからも、20代後半の女性の就職は厳しく、人生にはやり直しはきかないという事を改めて痛感しました。
新しく何かを始めることはできますが、過去に戻ることはできません。
どんなに頑張って良い成績を出しても、年齢が壁になることがありました。
いくつになってもできるけれど、同じ土俵に乗ることはできないのです。
ですが、私にはその分経験があるのだと自分に言い聞かせ、自分の年齢だからこそ重宝される分野に進みました。
依頼者一人ひとりと向き合って
一番やりがいを感じるのは、依頼者の方から「本当に助かりました」などの感謝の言葉を頂けるときです。
もちろん仕事ですからうまく行かないことの方が多いですし、大変なことはたくさんありますが、それがあるからこそ続けていけます。
私は勝つことや依頼者の方にとって有利に進めることだけでなく、依頼者の方が望むような解決方法で問題を解決するようにしています。
依頼者の方が望む解決方法でなければ勝っても意味が無いので、お一人お一人と向き合うことを大切にしています。
特に離婚問題では、話を聞いてほしい方も多いので、法的なことがメインにはなりますが、お話を聞き、その方の望む解決方法を導き出します。
また私自身離婚を経験していますので、その点では経験のある私ならではの解決をできると思っています。
飛び込んでみる
試験に合格するためには、絶対に受かると決めて、自分を追い込むこと。
そこまでしないと高い山は乗り越えられません。
受かったらいいなと思っている間はできないのです。
また、仕事の幅をひろげるときには、恐れずに飛び込むこと。
私自身、テレビ出演のお話をいただいたのは、偶然参加した会合で声をかけていただいたことがきっかけでした。
参加する前は知人が誰もいなくて不安な気持ちもありましたが、飛び込んでみて素敵なご縁をいただいたので、やらないで後悔するよりは、やって後悔するほうがいいと思っています。
私も40代後半になり、昨年父が突然他界したこともあり、「やっておけば良かった」と思うことの無いように過ごしたいと考えるようになりました。
今を我慢して楽しみを後に残すのではなく、今も大事にしていきたいと思っています。
取材を終えて・・・
学生時代のつらい経験を乗り越え、難関を突破し、現在は弁護士として活躍されている菅野さん。
写真で拝見していましたが、実際にお会いしたらやはり、とても美しい方でした。
成績優秀だったにもかかわらず、学生時代に受けたいじめによって、大学受験にも就職にも挑戦することすらできなかった悔しさは計り知れません。
合格された5回目の受験では、試験直前に倒れるほどご自分を追い込んでいたと聞き、難関を突破するためにはそれほどの決意が必要なのだと驚きました。
リフレッシュするためには、寝ること。寝ることに対して罪悪感をもたないことだと教えていただきました。
そして、毎日必ずランニングをすることで、気分が沈むのを防いでいるそうです。
梅雨時は気分も沈みがちですので、皆さんも試してみてはいかがでしょうか。
プロフィール
菅野朋子(かんの・ともこ)
略歴
1994立教大学社会学部社会学科卒
2006東京大学法科大学院入学
2007旧司法試験合格
2008東京大学法科大学院修了
2009旧62期司法研修所終了
2009第一東京弁護士会所属 富士通株式会社入社 法務部所属
2010横浜弁護士会所属 弁護士法人リーガルエイド法律事務所入所
2011東京弁護士会所属 かんの総合法律事務所開設
2014遠藤浩一弁護士とともに渋谷リヒト法律事務所開設
◆渋谷リヒト法律事務所
http://sbyl.jp/