おてて絵本の生みの親!絵本の枠に捉われず創作するスゴい人!

生まれ持ったクリエイティブ精神

新しいコミュニケーション遊び「おてて絵本」の誕生

意表を突く曲調でむかしばなしの魅力再生を

「クリエイティブであること」とは事実何を指すのだろうか。
元来人間は他の種の生物と比較すればクリエイティブな存在であるが、その中でも抜きん出てその才能を発揮できる人を我々は「クリエイター」と呼ぶ。
本日は湧きいでる泉のような才能を持ったクリエイターが登場する。
コピーライターとして20年間活躍したのち、絵本作家に転身。
「うんこ!」(西村俊雄・絵/文溪堂)では第1回リブロ絵本大賞などを受賞した。
更に、彼の考案した「おてて絵本」はNHK教育「みいつけた!」でも長年にわたり放映され、広く親しまれている。

さあ…
クリエイター
サトシン様の登場です!


生まれ持ったクリエイティブ精神

子どもの頃から「人と違うことをしたい」と思っていました。
そして嬉しいこと、面白いことを感じたらそれを表現せずにはいられない性格でした。
3、4歳くらいからすでにそこが自分の一番いいところだと感じていました。
当時見ていたマンガやアニメ、ヒーローものの影響も大きいかもしれません。
小学校に入ってからも勉強はそこそこできる方でしたが、余ったテスト時間には空想の世界に没頭して「まだテスト中でしょ?」と注意されることもしばしばありましたね。
そんな調子だったので、友人との関係性の中でもやはりクリエイター的な立場でした。
同級生のコミュニテイの中で自分が流行り言葉を作ったり、自分のアイデアが遊びとして流行ったりすることに喜びを見出していました。

コピーライティングは“クリエイティブ”なのか?

学校を出てからはコピーライターを20年ほどやっていました。
コピーライターはよく「クリエイター」と言われる職業ですが、僕はちょっと違うと思っています。
コピーライティングはもっと商業的な意味合いの作業で、技術を使ってモノやコトを売っていくというのを目的としています。
企業のイメージアップを図るのも大事な役割です。
大きな予算で自由にやらせてもらえるやりがいはあったし、タレントは使えるし、それなりに楽しんでやってはいました。
ただ自分の中で「クリエイティブ」というのはその意味のとおり、もっと創造的であるべきで、心の奥底から湧き出る独自の表現力で人を感動させたり、笑わせたりすることだとずっと思っていて、そういう点で言うとコピーライティングという作業は自分としては「クリエイティブ」と語るのは恥ずかしいという思いがありました。
あるとき、絵本的な表現で広告を考えることがありました。
その作業を通して絵本の持つ可能性に気がついたんですね。
絵本という世界であれば、自分の思うクリエイティブな事が何でも表現できるじゃないかと。すでに46歳になっていました。
たまたま気づいた絵本の世界でしたが、その時点から人生の方向が大きく転換することになったんです。

コピーライターから絵本作家へ

やりたいことが見つかった今、広告と絵本を仕事として両立するのは難しいなと感じたので、思い切ってコピーライターをやめることにしました。
一緒に働いてきたプロデューサー、ディレクターに片っ端から電話をかけ、「これからは絵本でやっていくので、もうあんたたちと広告を一緒に作っていくヒマはない」と伝えました。
明確に宣言してしまえば、今後一切仕事は回ってこないし、収入もゼロになるわけです。
自分としては「退路を断つ」という覚悟の意味合いでやったことですが、一方で「エライこと言っちゃった」という感覚もあり、オッサンなのに宣言後3日ほどはブルーになってオイオイ泣いたりもしましたねえ。
それでもまもなく気持ちを切り替えて、絵本作家としての道を歩き始めました。
媒体としての絵本の可能性を感じ、ゼロからの挑戦を始めてみたわけです。
とはいえ、それまでまったく絵本に興味もなかったので、まずは図書館に行って片端から絵本を読みました。
そしていざ書いてみると、読んでみて面白いと思った絵本作家さんにタッチやトーンが似ているんですね。
「あれま~」と思いました。
「クリエイティブ」なことをしたくて絵本の世界に飛び込んだのに、誰かのモノ真似になっているんでは意味ないじゃないかと。
そんなことがあって、既存の絵本を見ることはやめました。
今までの読書の中で絵本のおおまかな構成、ページ数や起承転結、テーマ性や方法論などはなんとなく把握したので、あとはもう、まさにオノレの心の中から生み出そうと考え直しました。
とはいえ、自分が絵本創作に向いているかはわからない。
そこで「まずは500本物語を書く」を課題に設定しました。
500本書けば自分が本当に絵本作家に向いているのかもわかるだろうし、出版社にプレゼンするだけの材料も揃うだろうし。
そこからはひたすら家に篭って、絵本を書き続けました。
テレビも見ない、本も読まない、映画も観ない、ゲームもしない。晩酌もやめました。
500というのは単純に「いっぱい」というイメージだったんですが、書き始めてあらためて途方もなく無謀な計画だと気がつきました。
ゴール設定が考えていた以上に厳しいなと。
でもまあ、自分が決めたことですから、決めたからにはやりきろうと思い、やりきりました。男の子だもん。

新しいコミュニケーション遊び「おてて絵本」の誕生

妻の産休明け仕事復帰と同時に会社を辞め、専業主夫をしていた時期がありまして、なし崩しに育児をしながらフリーのコピーライターになった経緯があります。
当時、自宅で仕事をしていたら、2歳前の娘がやってきて読み聞かせをせがむことがありました。
仕事中で読み聞かせはできないので、逆に「読んでくれれば聴いてるよ」と言ったところ、自らの手のひらを絵本に見立てて物語を見事に創作し僕に読み聞かせてくれまして、それがすごく面白く、わが家定番の遊びになりました。
手のひらを絵本に見立ててお話づくりを楽しむ「おてて絵本」はサトシン発案、とよく言われますが、実際にやり始めたのは当時2歳前だったうちの娘なのでした。
「おてて絵本」はNHK Eテレの「みいつけた!」で「おててえほん」として放送されるようにもなり、認知度も格段に広がり、全国各地から講演オファーもたくさんいただくようになりました。

意表を突く曲調でむかしばなしの魅力再生を

活字離れ、本離れと言われて久しい昨今。
むかしばなしを知らないお父さん、お母さん、こどもたちも増え、このままでは文化断裂の危機感さえ感じるという声を園や学校の現場でよく耳にします。
「このままではイカ~ン!」という思いでつくったのが、最近リリースしたCD「サトシン訳 1曲でわかる!日本むかしばなし」。
童謡ではなく、大人もこどもも楽しめるゴリゴリのJ-POPの意表を突く曲調で、聞いて歌ってむかしばなしに触れてもらおうと。
歌のチカラでおはなしの魅力の再生を。
絵本じゃないけど、絵本以上に、これまでの表現の集大成のつもりで制作に臨んでみました。
ボーナストラック「おとなからきみへ」では、「大人になりたくない」というこどもたちに向けて「大人って面白い」という思いを込めました。
46歳を過ぎてから絵本作家を目指し、いろいろ経験してみてあらためて思うのが、「大人って面白い、大人だからこそ面白い、大人こそ面白い」ということ。
これからも大人を愉しみつつ、大人の面白さを表現や行動を通してこどもたちに伝えていければと思っています。

取材を終えて・・・

とにかくエネルギーの塊のような方でした。ドアを開けて入ってきたら頭の上には派手な王冠、そして不思議にぐにゃぐにゃ立体的なネクタイ。怒涛のような会話が次々と起こり、何度も笑いがおきます。こんなにもオープンに、自らの活動を明るく話せることに驚きつつ、サトシンさんにとっては全てがクリエイトの原動力でありエネルギーの源なのだと気がつきました。


プロフィール

1962年、新潟県生まれ。広告制作プロダクション勤務、専業主夫、フリーのコピーライターを経て絵本作家に。作家活動の傍ら、コミュニケーション遊び「おてて絵本」を発案、普及活動に力を入れている。
絵本の主な作品
「うんこ!」(西村俊雄・絵/文溪堂)
第1回リブロ絵本大賞、第3回MOE絵本やさん大賞など多数受賞
「とこやにいったライオン」(おくはらゆめ・絵/教育画劇)
「でんせつのきょだいあんまんをはこべ」(よしながこうたく・絵 講談社)等 多数。
大垣女子短期大学客員教授。

◆サトシンHP
http://www.ne.jp/asahi/satoshin/s/
◆『サトシン訳 1曲でわかる!日本むかしばなし』
歌:サトシン&河野玄太
【発売日】2017 年4月26日【価格】1,900円+税
【品番】KICG-529
http://amzn.to/2svkc0g

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