「焼酎スタイリスト」として、本格焼酎&泡盛の新しい楽しみ方を紹介するスゴい人!

今日ご紹介するのは「焼酎スタイリスト」であるyukiko(ゆきこ)氏。カラーコーディネートの知識やファッションスタイリストの経験を生かして、本格焼酎&泡盛の新しい飲み方を模索し、紹介されています。明るく朗らかな彼女が真摯に向き合う焼酎について伺いました。

「一杯の価値」おいしいコーディネートを楽しむ!                        YouTube

・鹿児島の母から伝わる味                                        

・ファッションスタイリストがお酒に出会う

・美味しい「1杯」を伝えていく

 

鹿児島に触れることが多かった子供時代

母が鹿児島県出身でして子供の頃によく帰省しておりました。その時に薩摩切子を見てとても感動したのを覚えています。何て美しいんだろうと。宝石のようにきらきらと輝くその美しさが人の手で作られているという事実に、幼心にとても心動かされました。それがおそらく色に興味を持つことになった原体験だと思います。

 

母が作る料理の味付けも当然鹿児島の郷土の味で、甘めの味付けでした。親戚から送られてくるものも鹿児島の食材が多かったですね。おやつがサツマイモや大学芋だったり、黒糖の蒸しパンとか、薩摩揚げとかを小さい頃から食べて育ちました。

 

多読により深めた見聞

高校卒業後は短大で国文科に進みました。大学時代にはそれが専攻だったこともあって本当にたくさんの本や文献を読みました。仏教系でいえば、お釈迦様の本も読みましたし、江戸時代の好色本でさえも興味深く読みました(笑)本や文学を通して日本の人間風俗史のようなものを垣間見ることができたのがとても有意義で、今の私につながる多くの経験を積みました。

何よりも「これ、面白い!」と自分が本能的に感じた瞬間の、なんというか、世界というか視野のようなものが開く瞬間があると知った貴重な経験ですね。それは今、江戸時代から続く酒造の文化から成り立つ焼酎やお酒の仕事に携わる様になってからも同様です。江戸時代の人々も飲んでいただろう日本酒や焼酎の歴史に触れるにつれ、知的な好奇心がいつも刺激される心地よさというものを感じています。

 

お酒との出会い

お酒を始めて飲んだのはもちろん成人してからですが、まさかその後自分が本格焼酎や泡盛の世界に入るなんて全く思ってもいませんでした。お酒というものに対してのイメージは子供のころから毎年見ていた、親族の集まりで正月や盆の集まりにみんなが楽しく飲んでいるお酒。でしたので。

焼酎を飲み始めたのも最初は、特に意識もしていなくて。焼酎を飲むとしてもカクテルベースとしてだったり、本当に普通の飲み方でした。鹿児島だからとかの特別な思いというのも実はその時はもっていませんでした。ただお酒を飲んでみなが楽しく過ごす時間というのは子供時代の肌感覚で強くありましたから、お酒に対してのイメージは非常にポジティブでした。お酒は人の時間を楽しくしてくれるもの。という感じでした。

Yukikoさん厳選の本格焼酎

ファッションスタイリストを目指した日々

短大卒業後は㈱永谷園に入社したのですが、OLをしながらファッションスタイリストの学校に入りました。そこでファッションの勉強をしていたのですがある日突然、膝が曲がらなくなったんです。原因は全く不明で、膝を壊したのか、何かわからないのですが全く動かなくなりました。スタイリストとしては順調に経験を積んでいた矢先のことで、VOGUEELLEなどのハイファッションの雑誌撮影の仕事も入るようになった頃でした。専属でといううれしいお話もありながら全く動かない膝を抱える身としては現場に行けないわけですから、無責任に受けることはできなくて。この時にスタイリストとしての道は断念したんです。普通のOLに戻りました。これが20代半ばくらいでした。

 

志半ばで諦めることになった夢でしたから、狭き門であるハイファッション界でのスタイリストの夢を目前で逃すことになった現実が悔しくて、でもどうにもできなくて。ファッションやカラーのことなど見たくも考えたくもないという期間が1年半くらいありました。その後にやはりあきらめきれなくて、何よりも色が好きだし、色彩の世界に戻りたい。このままただのOLで過ごしていくのは嫌だと、改めて再チャレンジしたいと強く思ったんです。ところがそう思ったところで一旦は決別した色やファッションの世界でしたから、リスタートは本当にゼロベースからの再出発でした。

OLとしての仕事は退職して、スタイリストであり、カラーコンサルタントとしてきちんとやっていこうと決めてから45年は本当に大変でした。一度諦めた夢の続きを紡ぐのは手探りであり、模索の連続でした。ちょうどその時期に染色家の人間国宝であり、芸術家でもいらっしゃる志村ふくみさんという方の写真集を見る機会があって、その本を見たときに私は色彩が心から好きなのだと気が付いたんです。帰るべき場所に帰ってきたのだと感じました。このまま色を追求していこうと決めました。

 

本格焼酎との運命的な出会い

ある日ファッションスタイリストとしてファッションの展示会に行く機会があったのですが、私は本当にひどい方向音痴で、本来行こうとしているファッションの展示会の場所とは真反対の方向へ迷ってしまったことがありました。それも最終日の終わり時間30分前でもう今日は無理だ、たどり着けないや。と途方に暮れていた私の目の前に現れたブースに書いてあったのが、「薩摩・本格焼酎」だったんです(笑)

あの日あの時迷子になっていなかったら、実は私焼酎スタイリストにはなってないでしょうね。まさに運命的な出会いでした(笑)2013年くらいだったかな。そこは鹿児島の蔵元さんが出されている場所でした。私、母が鹿児島出身なんです、という感じでお話を伺うことになってみたら、蔵元さん達は本当に一生懸命、人生をかけて焼酎造りをされているのがわかって感動しました。ところがなかなか東京などでこのお酒を飲んでもらえる機会が無いんだというようなお話を伺って、これは私が何かスタイリストとしてお役に立てるのではないかと思いました。後日その蔵元さんから温かいお手紙をいただきまして、当日のお礼が直筆で書いてあったんです。直感的にこの方は信頼できる方だなと思いまして、この方と周りの方々を信じて一緒に何かをやってみようと思いました。これが焼酎スタイリストとなる最初の大きなきっかけですね。

 

私自身はスタイリストという経験もありまして、現場主義の人間ですので文献からの学びももちろん大切にしますが、何よりもやはり蔵元さんを訪問させていただいて、現場でしっかり学ばせていただくということを信条としています。色彩の勉強をしていたことが幸いして、ラベルのカラーやデザインを拝見すると、そこから作り手さんの雰囲気のようなものが読み取れます。どういう思いでこのお酒を造っているのかがラベルの色やデザインに反映されていますから。色彩の勉強もスタイリストとしての経験もすべてが今私を助けてくれていると感じています。色が本当にたくさんのことを教えてくれます。

美味しい1品との相性

今後もこの國酒の業界において私だからできることをどんどん形にしたいと思っています。

酒造りというのは日本の伝統文化ではありますが、今の時代、時流を酒蔵さんそれぞれが持つ個性ともいえるその商品に乗せて、一つのブランドとして成立できるようなマーケティングだったり、製品開発だったりというサポートをしていきたいと思っています。

 

 

Profile

Yukiko(ゆきこ)

神奈川県出身。カラーやファッションのスタイリストとしてセミナーや学校などでの始動経験多数。

 

【取材を終えて】

明るいイエローのワンピースでさっそうと現れ、焼酎と食事との相性の見極め方などをきめ細かい視点で披露してくれました。「焼酎」は俳句では夏の季語なんだとか。身近でいつも口にしているのに意外に知らないたくさんの事実を楽しく教えていただきました。

 

 

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