礎となった祖母からの教え
1番にしか見えないもの
ターニングポイントになった試練
本日のスゴい人は、国内最大の転職エージェント組織でもある「現リクルートキャリア」に入社。
1年目にして営業成績1位、全社MVPを受賞。
在籍24年間で受賞歴は30回超えの スーパー営業ウーマン。
今年3月には、自身の会社株式会社morich を設立し、10月にはいよいよ独立の道を。
7枚の名刺を持ちながら社外役員やNPO理事、アドバイザーなど。
なぜ大手転職エージェントで入社1年目からトップ成績をとれたのか?
24年間、常に高い業績を挙げ続けた秘訣と信念をお聞きしよう。
さあ…
株式会社morich
代表取締役 森本 千賀子様の登場です!
礎となった祖母からの教え
小学校の全校生徒が50人程度の琵琶湖に囲まれた自然豊かな田舎で育ちました。
一つ年下の弟が2歳の時に難病指定の腎臓の病気「ネフローゼ」を発症し、地元の病院では手に負えず京都の日赤病院で中学まで入退院を繰り返していました。
両親・祖父母の愛情は弟に向いていて、私はいい子でいなきゃいけないと思っていました。
本当に手がかからない子どもでした。
だから何でも自分で考え決めてきました。
大好きな祖母からたくさんのことを学びました。
それは
「他人と比較しない。幸せの物差しは自分の中に持ちなさい」
「小さなことに幸せを実感できる人でありなさい」
「迷ったらススメ。やらないで後悔するよりやった経験の方が何より大事」
「自信も信念も裏付けは必要ない」
この祖母のメッセージが今でも私の礎になっています。
中学校は自転車通学でしたが、すごい坂道を下って行くため帰りはさすがに登れず、回り道コースで毎日45分かけて帰っていました。
今持っている「気合い・根性」は、この頃についたのだと思います。
部活動のマネージャー経験から転職エージェントに
大学時代には、高校から決めていたラグビー部のマネージャーとして人を支える立場にやりがいを見出しました。
それが今の転職エージェントのミッションにも繋がっていると思います。
就職活動を目前に図書館で『スカウト』という本と出会いました。
当時の日本はまだ、終身雇用、年功序列制度が当たり前でしたが、その本によればアメリカでは自分のバリューをあげていくために転職し、居場所を変えていく。
それをサポートするのが「転職エージェント」「就職斡旋ビジネス」…。
日本でも存在するに違いないと、いろいろ調べても4~5社くらいしか出てこなかったのです。
リクルートとその子会社であるリクルート人材センター(現リクルートキャリア)の両方の内定を獲得していましたが、周囲の反対をよそに子会社に入社を決めました。
大好きな父が中小企業を経営し「ヒト・モノ・カネ」の中で「ヒト」にもっとも苦しんでいたので、そこにフォーカスした仕事をしたいと思っての選択です。
そう決めたら色々な会社を知っておこう、名刺も集めておこう…と、100社を超える企業の新卒セミナーに足を運びました。
1番にしか見えないもの
1993年4月、転職がまだマイナーな時代で200名足らずのリクルートの子会社での入社式。
最も目立つ真黄色のスーツに身を包み、代表メッセージを読み上げました。
「今年、必ず全社員の中でMVPを獲る」と宣言。
生意気な新入社員でしたが、宣言通りに入社1年目で全社員の中でMVPを獲りました。
入社してからは、新入社員でもできる貢献はないかと、一番早く出社してみんなの机の上を感謝の気持ちを込めて拭こう!と毎朝始発の電車に乗って出社しました。
それから数年は一番のりで会社の鍵を開けていました。
母から「1番になりなさい。1番でないと見えない世界がある。2番との差、金メダルと銀メダルには大きな差がある」
私は、腎臓病を患っていた弟がかわいそうで、とにかく家族には心配をかけちゃいけない。
でも1番をとったら少しは褒めてもらえるかもしれない。
そうやっていつも1番を目指しました。
学びを習慣化し、血肉にした20代
入社して間もなく、新規開拓の営業ミッションが始まりました。
そこで出会ったのが某流通業界のオーナーカンパニー、3代目の社長。
とてもかわいがってもらい、ビジネス・商売のイロハを学びました。
7月に迎えた誕生日に、大きなダンボール箱一杯の本とお手紙「このままいくとすぐに賞味期限を迎えるよ。ガラスの天井にぶち当たるよ。ダントツ一番になろうと思ったら、まずはしっかり「経営」を学びなさい」と。
その週末に、中小企業診断士資格取得のスクールへ申し込みました。
1年間、土曜日は投資の日と決め「経営学」「企業経営」「財務」「人事組織」「マーケティング」を学びました。
良いと思えばセミナーや研修、講演会など自己研鑽への時間やエネルギーの投資は惜しみませんでした。
そんな学びを習慣に変えた20代は血肉となり、今の私に繋がっています。
母から今でいう“印象管理”のアプローチでもある「見た目と中身の健全なギャップが大事」と教えられ、原色のスーツを着た私は見た目には、「チャラチャラした営業女子」に見えたはず。
でも話し始めると経営のことが議論できる。
「あれ、この子ちゃんと営業のことがわかっているかも?」と信頼につながる。
創業背景から始まり、将来ビジョン、コンフィデンシャルな経営戦略の話まで及ぶことも。
過去-現在-未来を共有し、強く共鳴する…そうすると、本質的な課題が見えてくる。
経営課題から議論できる。
人材ニーズをヒアリングするのではなく、「潜在ニーズを掘り起こして提案する」スタイルを確立しました。
楽しくて無我夢中で走った20代。
気がついたら同僚社員の2倍近い業務量をこなしていました。
でも全くストレスはなかった。
むしろ最も成長できた時期でもありました。
そしてMVP(一番)の常連になり、いつの間にか「もりちに任せておけば大丈夫」「もりちは面白い案件を持っている」と認めてもらえるようになりました。
そうして貴重な情報が集まり、チャンスも度々訪れる。
一番になることは目的ではなく手段だったんだと、ようやくわかりました。
ターニングポイントになった試練
ある時、父からの1本の電話。
父の経営する中小企業の経営危機でした。
すぐに地元に帰り弁護士を探し、会社倒産の準備、猶予は1週間。
従業員にはわずかな退職金を渡して、抵当に入った我が家を全て手放す覚悟で、徹夜で作業しました。
寂しく、いたたまれない気持ちでしたが、叔父が父の債務の保証人になっていたため「叔父には迷惑はかけられない」と、その分を私が全額肩代わりしました。
何千万円という借金を31歳にして負うことになり、途方にくれました。
リクルートの先輩に相談したら「会社の株だけは、決して手放すな!」と言ってお金を立て替えてくださいました。
そのこともあり、がむしゃらに働き、返済を続けること、その恩人とのご縁を紡いでくれたリクルートに感謝する意味でも卒業の時期が今になったのかもしれません。
奇跡が起こりました。2014年リクルート東証1部上場により、完済できたのです。
神様に感謝しましたし、株を手放すなと忠告くださった恩人にも感謝で一杯でした。
「お金は天下の回りもの」…つくづく実感させられました。
お金の為に仕事をするんじゃない、必ずあとからついてくる。
そのことを学びました。
私に残っている財産は何か。
人との信頼関係、人とのつながり、ご縁だと、その時に気づかされました。
心の変化
世の中は、「働き方改革」の波が押し寄せています。
これまで提唱してきた「パラレルキャリア」という考え方がシンクロして、発信者として呼ばれることが増えてきました。
発信するからには自分で体現すべきだと思い、2017年3月3日の次男のバースデーに株式会社morichを創業しました。
私が目指す「困った時のもりち」の究極の形を突き詰めていきたい。
期待に応えるだけでなく、期待を超え、感動や感謝の域に辿り着くことが真のソリューション。
より良い社会の実現に向けて人生をささげ、子どもたちが安心してチャレンジできる未来、そんな社会を作るのがミッションです。
取材を終えて
入社1年目にして全社MPVを獲る。
それもあのリクルートの転職会社で!!
どんな方なんだろうとワクワクしてお目にかかりました。
森本さんは「出会いやご縁で良い仕事に恵まれたんです」とおっしゃっていましたが、幼少期から自分の立場をわきまえ、環境に左右されず、全ての状況に覚悟決めて取り組んでいらっしゃる人生でした。
今はご結婚されて家庭でなるべくお子様と過ごす為に、毎朝3時に起きてお仕事をなさっているそうです。
睡眠時間は約3時間くらいだそうで…私には絶対に無理!凄すぎます。
取材が終わる頃には私も「もりちに頼めば大丈夫」と大ファンになってしまいました。
プロフィール
森本 千賀子(もりもと・ちかこ)
株式会社morich 代表取締役 兼 All Rounder Agent
1970年生まれ。
獨協大学外国語学部英語学科卒業。
1993年リクルート人材センター(現リクルートキャリア)入社。
入社1年目に営業成績1位。全社MVP受賞。受賞歴30回超え。
2012年、2013年、2015年NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀」に出演。
大手からベンチャーまで幅広い企業に対する人材戦略コンサルティング、採用支援、転職支援を手がける。
2017年3月株式会社morich設立。
転職エージェントとして、経営幹部、管理職を対象とした採用支援、キャリア支援をメインミッションに、NPO理事や数社の社外役員やアドバイザリーなど『All Rounder Agent』としての多方面の活動にも取り組みさらなる活動領域を広める。
◆株式会社morich http://www.morich.jp/
◆著書
『カリスマヘッドハンターが教える のぼりつめる男課長どまりの男』サンマーク出版
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『カリスマ転職コンサルタントが40代、50代で希望の転職を実現するノウハウを公開 35歳からの「人生を変える」転職』秀和システム
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『後悔しない社会人1年目の働き方』西東社
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『本気の転職パーフェクトガイド』新星出版
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『1000人の経営者に信頼される人の仕事の習慣』日本実業出版社
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『メンターBOOKS 女性管理職のFAQ』朝日新聞出版
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『HONKI SWITCH ON 本気になれば人生が変わる!』Nanaブックス
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『No.1営業ウーマンの「朝3時起き」でトリプルハッピーに生きる本』幻冬舎
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『リクルートエージェントNO.1営業ウーマンが教える 社長が欲しい「人財」!』大和書房
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