ギネス世界記録保持者であり、日本初のプロスイムコーチのスゴい人!

「スイマーの前田」を捨て、目指すは営業トップ

引退しても、人生は死ぬまで続く

ひとりひとりの「生き方」にあった水泳指導

本日登場するのは、マスターズ水泳ギネス認定世界記録保持者で、プロスイムコーチも務めるスゴい人。
3歳から双子の兄と始めた水泳で、「前田ツインズ」として名を馳せ、28歳になった現在は、現役選手、さらには指導者として活躍している。
「こんな指導は受けたことがない」と受講者に言わせる、彼の唯一無二の指導を生み出したのは、一度「スイマーの前田」を捨てて得られた、経験や出会いの数々だった…!

さあ…
競泳選手・指導者
前田 康輔様の登場です!

双子の兄と始めた水泳

3歳の時、双子の兄と一緒に水泳を習い始めました。
未熟児で生まれて身体が弱かったので、体力をつけるために親がスイミングスクールに入れてくれたんです。
はじめは選手になりたいという気持ちはなく、周りの子達と同じように練習をしていたのですが、選手コースに入った頃から自然と練習量が増え、試合に出るようになり、小学5年で全国3位をとった頃から意識が変わっていきました。
全国で戦えるのだということを知り、また、全国大会でしか会えない友達に出会い、「次はもっと強くなって再会しよう」という思いが湧いて、日本代表になりたい、オリンピック選手になりたい、という目標を少しずつ抱くようになっていきました。

競技生活で狭くなる視野

大学時代は、水泳部に所属していました。
競技だけをやっていると、視野が狭くなるんです。
僕のいた水泳部は真面目だったので、飲み会にも行かなければ、クラブに遊びに行ったりということもしない。
知っている世界が、他の人と違うんです。
競技結果のことで「すごいね」と言われるけれど、「俺、知らないことたくさんあるよ」と思うことが多くて。
大学を卒業して、まずはできるところまで自力で水泳をやってみようとフリーランスコーチとして活動したのですが、視野の狭さを感じていたことから、社会に出てビジネススキルを学びたいと考えるようになり、「スイマーの前田」を捨てて、就職してみようと思ったんです。

「スイマーの前田」を捨てて、目指すは営業トップ

水泳ではない、違う畑で一番になってみたいと思いました。
「体育会で育った人間は営業に向いている」とよく聞かされていたので、営業でトップを取ることに決めました。
仕事が半人前なのに水泳をやるのは違う気がして、営業トップを取るまでは水泳の試合には出ませんでした。
試合には出ないものの水泳は続けていたかったので、無駄に残業をしたりせず、早く終わらせて練習時間を作ります。
そのためにタイムマネジメントをして、限られた時間で全力を尽くすことを日々意識し、努力した結果、営業トップになっていました。
水泳で大きな大会に出るときに行うスケジュール管理と変わらなかったんです。
子どもの頃から培っていたタイムマネジメントの仕方が活かされて、それほど難しいことはありませんでした。
頑張るフィールドが違うだけで、頑張り方は変わらないんです。

営業職は、人に会いに行く感覚

営業職は、会いにいった取引先のかたと話す時間がとても楽しかったです。
頼られているとわかると、人は自己開示をしてくれるのではないでしょうか。
だから僕が信頼すると、その人のルーツや、考え方、色々な話をしてくれました。
営業というか、人に会いに行っていたという感覚の方が強かったです。
何をしていても、その瞬間、その瞬間、ひとつひとつに意味付けをすることが大切だと思うんです。
今、自分が何を、どう感じているか、理解しながら過ごします。

引退しても人生は死ぬまで続く

アスリートのセカンドキャリアというのは多くの選手が悩むもので、オリンピックに出たからといってお金持ちになれるわけではありません。
大学を卒業してすぐフリーランスになったとき「このままずっとフリーランスでやっていくべきなのか」と不安に思うこともありましたが、挫折という挫折はこれまでないと思います。
できないことを挫折というなら、全部挫折だと思うのですが、僕は何にしても「やったことがそのまま結果に出る」だけだと思っているので、変に自分に期待をしないんです。
次に何をやるか、考えるだけです。
それは営業をやっていたときもそうで、ミスや、マイナスなこと、落ち込むこともあるけれど、仕方ないし、同じ間違いをしないようにするしかないと思うんです。
それを全部受け止める勇気さえあれば良いのではないでしょうか。
できなくて「悔しい」と思うことに感情を無駄遣いするより、やるべきことは常にいっぱいあるので、着実にやっていくしかないです。
僕の尊敬している方が「人生においてプレッシャーはない、ゲームだから楽しんだ方が良い」と言っていました。
挫折をしても、自分の人生だから、自分で立ち上がるしかないと思うんです。
競技生活を引退したって、そこで人生が終わるわけじゃない。
競技を通して培った経験は、形を変えて様々な場面で活きてくれます。
どんな経験も人生の糧になると思って、楽しむことを心がけています。

競技生活から離れて得た客観的な視点

仕事ってなんだろう、と考えた時、「人のために何かをする」ということだなと僕は思ったんです。
競技者としてのみ活動していた時は、自分を軸に、自分のために活動している感覚だったのですが、そうした思考を経て主軸が変わりました。
自分を客観的に見られるようにもなり、視点が変わったのだと思います。
体育会の狭い世界にいる間は気がつけなかったことが社会に出てわかり、自分が水泳を続けてきたことが財産になると気づけました。
当たり前だと思っていることが当たり前ではないと、外に出てやっとわかるものです。

泳ぎで人を覚える

僕はもともと、泳ぎのフォームを見て人を覚えるんです。
顔を見たらその人の泳ぎを思い出す。
自分には当たり前だったことが、人にはできないと気づいて、これは仕事になると思いました。
僕の指導は「自我がない」とよく言われます。
指導の際に、自分の型や理想を押し付けないからだと思います。
僕は、泳ぎにはそれぞれ個性があると思っています。
手足の長さや身体の柔軟性など個々のフィジカルの特性があり、指導するときの伝え方にも相性がある。
だから対話をして、個人の生き方、例えば仕事の仕方、考え方などを知った上で指導していきます。
一人一人にカスタマイズしたアドバイスをもらった方が、指導を受ける側も嬉しい。
そうして泳ぎが綺麗になっていき、自分自身の身体が上手く使えるようになっていくのを見ると、僕も嬉しいです。

「マーマンメソッド」を提唱したい

僕には「マーマンキング」という愛称があって、人魚のような姿をした「ドラゴンクエスト」のキャラクターの名前なのですが、すごくキャッチーで気に入っているんです。
今後は、よりよく身体を使うために、陸上トレーニングなども取り入れた「マーマンメソッド」を勧めていきたいです。
また、水泳教室で全国を回りたいと思っています。
僕が悩んだようなことを、水泳をやっている子どもやトップを目指す選手たちが悩まないよう、自分のキャリアや生い立ち、その相互性も話して伝えていきたいです。

取材を終えて

「挫折はありましたか?」とお聞きした時の「やったことがそのまま結果に出る」という言葉に、思わず唸りました。
言われてみればその通りですが、うまくいかないと、ついつい外に理由を求めてしまいがちです。
ミスや失敗を繰り返さないためには「受け止める勇気を持つこと」と、はっきりと言いきる姿から、前田さんがそれだけ水泳やほかの物事に真剣に取り組んできたことを感じました。
同世代のスゴい人にお会いして、さらに刺激をいただきました。
これから更に活躍されるのを楽しみにしています!

プロフィール

前田康輔(まえだ・こうすけ)
1988年9月28日生まれ。神奈川県出身。マスターズ競技ギネス認定の世界記録保持者。
3歳から双子の兄と水泳を始め、前田ツインズとして名を馳せる。
現在はマスターズ主要大会、トライアスロンレースに出場し、トライアスリートのサポートコーチも務める。

◆instagram http://instagram.com/maekou28

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