千代田区紀尾井町に一軒の料亭がある。
84年前に創業し、かつて川端康成や湯川秀樹が愛したと言われる福田家。
そこで、30年に渡り女将を務めてきた本日登場のスゴい人。
歴代の首相やフランスのミッテラン大統領やジョージH・Wブッシュ大統領など海外の国賓を魅了してきた福田家には、日本独特のおもてなしへのこだわりがあった。
日本が世界に誇る料亭文化のおもてなしの心とは?
さあ・・・福田家女将 福田恵美子様の登場です!
「おもてなしの心」
父親が外務省で勤務しておりましたので、22歳までは両親についてアメリカ、ブラジル、イタリアなどで生活しておりました。
海外の学校と日本の学校の通っていた期間は半分ずつで、転校を繰り返し、短い間ですがニューヨークの国連本部やティファニーで働いてから日本に戻ってきましたので、日本の料亭のことはよく知りませんでした。
その後、23歳の時に結婚して福田家に入ったので、馴染むのには苦労しました。
最初は正座や着物の着付けもできませんでしたから。
でも、海外で外から見ることで、日本の四季、日本料理の繊細さや季節感のあるしつらえの美しさなど日本にしかない良さを感じることができましたし、純日本的な本物に対する憧れも持っておりました。
子育てが少し落ち着いて30代になってからお店のお手伝いを始めたのですが、義母が肝臓病で早く亡くなり、急に女将として働かなくてはいけなくなりました。
お客様にも“あなた大学生のバイト?”と言われてしまうほど慣れない手つきで、最初のころは苦労しました。
療養中の義母にしつらえ、接客や作法について教えていただいたり、ベテランの仲居さんに色々指導してもらい仕事を覚えていきました。
毎日がチャレンジの連続で、総理大臣や国賓級の方がいらっしゃる時はたいへんなプレッシャーでした。
フランスのミッテラン大統領やジョージ・ブッシュ大統領、デンマークの女王様など海外からもさまざまなお客様を迎えさせていただきました。
幼少期から父の仕事の関係で外国の方の接客には慣れておりましたが、お金をいただいて、おもてなしをお手元のお客様とともに行うのは大きな違いと責任がありました。
料亭というのは、日本独自の文化です。
料亭は、お料理をお出しするだけでなく、お部屋のしつらえ、サービスする順番や車の並べ方にいたるまで細やかな気配りをすることで、気持ちよくお過ごしいただける空間を提供します。
お料理を召し上がる前にお仕事の打ち合わせをされたり、報道陣の方にサービスして記念写真を撮ってからお部屋に入ることもあるので、状況に応じて事前の支度が7割、当日が3割と言えるくらい、あらかじめ色々なことを想定してお客さまをお迎えします。
時代とともに料亭の数は少なくなってきておりますが、世界遺産にも認定された和食をはじめとする日本の季節感豊かな料亭文化を引き継いで守っていきたいと思っております。
そのためには、今までの伝統を守りつつ、若い方や海外の方にも魅力を知っていただけるような新たなチャレンジが必要です。
皆さまもどんなお仕事でも壁にぶつかることがあると思いますが、枠に捉われず、色々なことに毎日挑戦して、少しずつでもよいので前へ進んで行ってください。
◆紀尾井町 福田家ホームページ
http://www.kioicho-fukudaya.jp/
※一部携帯では見られない可能性があります。