2000年11月J-フォン(現ソフトバンクモバイル)から、カメラ付き携帯電話が発売された。
付属カメラで撮影した写真をメールで送る“写メール”の機能は今や世界中の携帯電話やスマートフォンに搭載され、「写メ」と省略されて一般名詞化するほど人々に親しまれている。
本日は、「写メール」を世に送り出し、“ミスター「写メール」”と呼ばれるスゴい人が登場する!
彼は、写メールのみならず未読メールがあることを知らせる「封筒マーク」や電池残量が一目で分かる「電池ピクト」メール送信時には紙飛行機が飛んでいる画像を表示するなど、今では当たり前のように標準化されている数々の機能を生み出した。
“写メール”の大ヒットの秘訣とは?
さあ・・・株式会社モルフォ 取締役 国立佐世保工業高等専門学校 校長顧問 高尾慶二様の登場です!
「撮る・見る・共有する」
父が鍛冶屋をしており、家では農業を営み、味噌やしょうゆも作っていたので、「物を作る」ということがとても身近な環境で育ちました。
自然に自分も「もの作り」に興味を持つようになり、佐世保高専に進学しました。
高専時代に失恋をしたのですが、その子を見返したい、彼女が振り向くくらい大きな事を成し遂げたいという思いが、その後の開発のモチベーションに繋がっていったのかもしれません(笑)
写メールが誕生したのは、マツダからJ-フォンに出向し、その後転籍した後の事でした。
当時のJ-フォンは、資金力で高速通信環境を提供するDocomoやauに負けていました。
ユーザー増のための策として我々の強みはメール機能だったので、メールをさらに進化させる方法を四六時中、夢にも出るほど考えました。
ある時、長崎から出てきた両親を連れて箱根に旅行に行くと、ロープウェーで一緒になった60歳くらいのご婦人が一生懸命メールを打っていたのです。
当時では珍しい光景に思わず目が行きました。
後になって、「あのご婦人は景色の素晴らしさをメールで誰かに伝えていたんじゃないか」と思ったのです。
百聞は一見に如かず。
今見ている景色をそのまま写真に撮って送ることができたら、もっとエモーショナルに相手に伝える事ができる。
これは、メールを進化させることができる方法だと思ったのです。
実は過去にも他社からカメラ付携帯が2回発売されていましたが、不発に終わっていました。
カメラを内蔵したために本体が大きくなってしまったり、アタッチメント式にしたためにすぐに撮影をできなかったりと、見た目にも使いやすさにも難点があったのです。
過去の製品から学び、開発時に3つのことにこだわりました。
「デザインを崩さないこと」
「マナーモードでもシャッター音を鳴らし、盗撮を防止すること」
「自分撮りをできるようにすること」
これらを実現する技術がシャープにあり、私たちは開発を進めました。
同時期にDocomoやauは携帯電話に音楽プレーヤー機能をつけたため、営業責任者からは「こんな物売れるはずが無い」と言われ大喧嘩をしましたが、社長や専務が私たち開発チームを信頼して下さったため、“写メール”を世に送り出すことができました。
「撮る・見る・共有する」各カテゴリーの中でユーザーが欲する機能を全部実現するという、写メール開発当時に自分が立てたビジョンをまだ実現できていないので、今後はモルフォのもつ技術で
その実現を目指します。
そして、母校佐世保高専に恩返しをしたいと思っています。