もし、あなたが外国人から日本の文化や伝統のことについて問われたら誇りを持って正しく答えることが出来ますか?日本には、後世に伝えていくべき文化や伝統がたくさんある。本日登場のスゴい人!は、伝統芸能の一つ、日本舞踊において文化庁芸術祭新人賞をはじめ数々の賞を受賞。 皇太子殿下御成婚の祝典舞踊として『鶴寿千歳』を踊られた。人間国宝に選ばれた祖父の名を継いだ本日のスゴい人!
さあ・・・花柳寿楽様の登場です!
「舞踊家としての品格」
4歳の時に日本舞踊を始め初舞台は歌舞伎座で経験させて頂きました。学生の頃、時々お稽古をさぼりながらも(笑)日本舞踊は続けていて、高校生の時には蜷川作品に出演する機会を得て大学生の頃は年間3本ペースで出演させて頂きました。私が大学に進学する際、父からは「何か他にやりたいことがあるなら踊りをやめてもいい、ただ、“嫌いだからやめる”というのは許さない」と言われ、自分の本当にやりたいことは何かとを漠然と考えていましたが、「人前で何かを表現したり、創り出したりするのが好き」 という事には気付いていましたね。
私が21歳のときに父が他界。これが私の人生の転機でした。この時、祖父の花柳壽楽は70歳。高齢でしたが、まだまだ体は元気に動く。10年間、みっちり踊りを教えてもらえれば何とか後を継げるのではないか、そう思えた時、後を継ぐ意志が固まっていきました。
祖父は、特に“品の良さ”と“芸の格”を大切にしていました。たとえ自分と釣り合っていなくとも上手な人と踊る事、大きな舞台で踊る事でそれ相応の品や大きさが身に付いてくるという教えです。
もう一つ、祖父からの教えに“踊りの3つの柱”というものがあります。
教える事、踊る事、作る事の3つの柱です。
教えるというのは、“天才的”で無い方がよいのかもしれません
。一つの動作を覚えるのに、特に苦労もせず覚えられてしまうとその動作をうまくお弟子さんに伝えることが出来ません。覚えるまでに紆余曲折あった方が、色々な角度から教える事が出来ますよね。踊る事が出来ても、教える事は苦手、創作ができても踊れない、どれか一つが欠けてもダメで、この3つの柱を均等に大きくしていくことが重要だと教わりました。
しかし私の上をいく父親の、更に上にいる祖父。
その祖父から踊りを指導されるのですから、本当に大変でしたね。
海外公演などで外国の方と話をすると例えば、英国では幅広い世代が“シェイクスピア”等の自国の文化に誇りを持ちよく知っているのに、日本人は伝統芸能を語れない人がほとんど。
非常に悲しい事ですよね。
これからは若い世代の方が、日本舞踊等の伝統芸能に興味を持って頂けるような活動も行なっていきたいですね。
そして祖父“壽楽”の名を本当の意味で襲名できるようこれからも日々精進して参ります。