ディズニー作品の声優を多数つとめる元タカラジェンヌのスゴい人!DAY1

今日ご紹介するのは元タカラジェンヌのRICOさん。生まれながらに家族に宝塚入団を定められていながら、天真爛漫な性格と天賦の才能で宝塚の常識にとらわれない生き方をしているスゴい人です。今は声優としてディズニーアニメでの数々の重要ポジションを務められている彼女の半生と、これからを伺いました。

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タイトル:笑!!

・ 生まれながらに定められていた宝塚入団
・ 宝塚について何も知らないまま、入学
・ ウルフカットの呪い

音楽一家に生まれて

祖父母との3世代の家で育ちました。大人はみんな音楽に携わっている家庭でした。祖父はキングレコード所属の童謡作曲家、父は「NHK朝ドラ」など、劇伴の作曲家、桑原研郎です。母は東京室内楽協会という会社のインスペクター。祖母は日本舞踊の先生で、紫流という流派を起こした人でした。私が幼少の頃には祖父が自宅で音楽教室をやっていて、歌とピアノ、祖母は日本舞踊のお教室をやっていました。ですから生まれたときからピアノや邦楽を聞いて育ちました。3歳から私も歌や踊りを躾けられました。ですから着物を着て、カツラを被って発表会というのを子供の時から経験しております。その影響からか、歌手になりたくて、アイドル歌手に憧れて、スター誕生に出たいと思っていました。

生まれながらに決まっていた宝塚入り

我が家は東京都世田谷区だったのですが祖父母に、「女の子が生まれたら宝塚に入れる」と決められていたんです。ですから幼い頃から「あなたは宝塚に入るのよ」と暗示のように繰り返し声かけられていました。宝塚を受験するほとんどの方が宝塚に憧れ、タカラジェンヌのファンであるのですが、実は私はあまりそういった感覚を持ち合わせていませんでした。もちろん舞台を観劇していましたから、楽しそうだとか、芸事というものには興味がありましたから抵抗なく宝塚への入学となったのですが。

ただ、だからというか、事前に調べておくというようなことは一切やっておりませんでしたので、実際に音楽学校へ入学してからの様々な厳しい規則に直面してびっくりしましたね。上級生の名前も知りませんでしたし、宝塚音楽学校のことも全く知りませんでしたから、「これはとんでもないところに来てしまったぞ」と思いましたねー。

 

 

何も知らないで合格してしまった現実

本気で宝塚にあこがれて、一生懸命努力して入学してきた同期生とは温度感みたいなものが違うんですよね。なかには親の反対を押し切って入ってこられる方もいるんですから、当然、私だけ浮いているというかね、やる気はもちろんあるんですけど(笑)。
寮の部屋にはね、みなさん憧れの上級生のポスターとか貼っているわけです、私だけでしたね、郷ひろみさんのポスター貼っていたのは(笑)先生にさえ、「あなたはなんで宝塚に入ったの?」と不思議がられました(笑)。本当に失礼な話なんですけど、当時のスターだった、大地真央さんさえ知らなかったんですよ!一人だけ浮世離れした感じでした。実をいうと、中学3年で一度受験して失敗しているんです。そのため地元の女子校に入学し、高校1年で再受験して合格しました。その1年だけ通った高校が楽しくてねー。友達もたくさんできて、宝塚のことも忘れていたくらい。でも、祖父母の願いでしたから。
翌年に受験して合格したという経緯です。もちろん今は宝塚に入れてもらって本当に感謝していますし、退団の時には宝塚が大好きになっていました。今の私を支えてくれているのは間違いなく宝塚での経験で、この先の人生も変わらないと思います。

宝塚に入学してから毎朝、朝の7時から1時間半の掃除をするような厳しい規律の中での寮生活が始まりました。私は寮委員に任命され、無数にある寮生活の規則を入寮初日から頭に叩き込む必要がありましたし、寮委員として同期寮生のまとめ役にならざるを得ませんでした。それまで祖父母に可愛がられて過ごし、のほほんとした生活が一変したのです。「これはとんでもないところに来てしまった」と思いましたね(笑)。家族に勧められるままに来た宝塚が、こんなに厳しい場所だとは誰も教えてくれなかったぞ!と思いました(笑)しかしながらこの上下関係の中で学ぶ礼儀やルールを尊ぶ姿勢というのは非常に大切だったと今は思います。上級生からの、いい意味での指導をたくさんいただけたことも、支えあえる仲間に出会えたこともすべてが人生の糧です。

髪形ってそんなに重要だったの!?

私はもともと娘役が希望でして、2年の音楽学校の間、ずっと娘役として授業を受けていました。声もソプラノでしたし、演劇ももちろん娘役でした。当時は、少し背が高いけれど、娘役を目指しているという設定に迷いは全くなかったんです。ところが本科生の最後の試験の前に何を思ったか(今では忘れてしまったのですが…)すごくボーイッシュなウルフカットにしてしまいました!最後の試験の時には劇団の先生も審査員としていらっしゃるのに・・・。 だから同期生にも「そんな髪形で娘役なんて言えないよ、おかしいよ!」と言われたので、どうしよう…と思いながら受けた試験の時に思わず、「男役です!」と言ってしまったんです(笑)それまで文化祭も、(卒業公演)もすべて娘役だったのに!だから急にやったこともない低い声で男役を演じてね(笑)。背が高い娘役という設定から背の低い男役という急転直下。そのまま宝塚には男役として入団したんです。初舞台と、星組配属後の一公演だけ男役をやりました。娘役としてかん高い声で、「お姉さま~」っていう話し方で授業を受けてきたのにね。急に男役としてすごく低い声で「おい、君ぃ」と話さなきゃならない。歩き方だって全く違うわけです。もう嫌で嫌でしょうがなくてね。その二公演のあと、やっぱり娘役にしてくださいと劇団にお願いしました。劇団からは、「娘役になったら、男役には戻れませんよ」と言われました。宝塚で男役というのは、花形スターですからね。でも私はずっと娘役で生きてきた人でしたから、明るい声で生き生きしながら「はい!全く大丈夫です!」と。本当に私は異端児で変わり者でした(笑)ウルフカットの呪いです(笑)

 

◆プロフィール

RICO (華村 りこ)

世田谷区出身。テアトル・エコー所属

宝塚歌劇団 星組 68期生、劇団芸名 桜 里湖(さくら りこ)

<吹き替え> ライオンキング・美女と野獣・アナと雪の女王・ちいさなプリンセスソフィア、アバローのプリンセスエレナなど

RICO公式サイト http://rico11.wpblog.jp/

 

◆舞台予告

オンライン舞台「だめんず・ウォーカー2020

日時 20201030日〜111日《全9公演》

原作 倉田真由美/演出 歳岡孝士

公式HP https://www.bungei.org/

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