アポ無しで東京へ直撃!
初仕事は千葉真一さんと!?
自分で世界を選ぶ
1982年から1985年にかけて放送された特撮テレビドラマ、『宇宙刑事』3部作。
シリーズ2作目の『宇宙刑事シャリバン』、その後の『時空戦士スピルバン』でも主役を演じたのが今回のスゴい人!
特撮ヒーロードラマで、主役を二度担当したことは、快挙とも言える出来事なのだ。
しかし、ある機を境に活躍の場を舞台に移す。
どのような俳優人生を歩んでこられたのか、お話を伺った。
さあ…
俳優/声優
渡洋史様の登場です!
力の有り余っていた少年時代
子どもの頃は、父が国鉄勤めで社宅住まいでした。
子どももいっぱいいて、皆んなでよく遊んだものです。
今日はマラソンだ、短距離競争だって、なんだか良く走っていましたね。
体を動かすのが好きだったこともあって、結構一等賞をとっていました。
小学校ではポートボールクラブで、背も高い方だったんです。
ごっこ遊びでは、運動神経を買われたのか、ヒーロー役が多かった。
小三の頃『人造人間キカイダー』が始まったんですが、これにはシビれた。
迫力のアクションで、宙返り一つとっても違うんですよ。
後からJAC(ジャパンアクションクラブ)の大葉健二さんだったと知りました。
JACとの出会い
『キカイダー01』になって、ビジンダーというキャラが登場するんです。
憧れのお姉さんを具現化したような綺麗な人で、一発で恋しちゃいました。
それが千葉真一さんの秘蔵っ子だった、志穂美悦子さん。
中学生になって、週刊誌で志穂美さんのインタビューを読んだんです。
JACの人たちは、男やもめでむさいけど可愛いの、なんて記事で(笑)
おれでも入れるのかなぁ、と漠然と思い始めました。
本当はすぐにでも行きたかったんですが、父に高校を卒業してからにしろ、と言われて。
その内そんな夢なんか忘れるだろう、という気持ちもあったんでしょう。
でも、僕は全然諦めなかった。
中学ではバスケをやって、高校では体操部に入りました。
ずっとトランポリンを踏んでいて、訝しがられましたね。
新潟の田舎で、JACなんて周りは知らなかったんです。
アポ無しで東京へ直撃!
実は雑誌に載っていた住所を頼りに、東京の事務所に二度ほど行ったことがあるんです。
一度目は高二の頃、中野にいったら引っ越した直後で、もぬけの殻。
二度目は高三の夏休み、六本木のJACまで行ったんですが、新メンバーは来春募集だと言われて。
一週間の予定で上京していたので、さあ何をしようかと思って。
事務所の外階段に座布団が何枚もあったので、勝手に寝泊まりさせてもらったんです(笑)
大久保の稽古場で練習が見られると聞いて、行ってみたら大葉健二さんがいらした。
テレビで見るより細くってカッコよくって。
他にやることもないので何度も稽古場に通っていたら、ついに憧れの志穂美さんに遭遇したんです。
JACに入るにはどうしたら良いんですか、って聞いたら、半年後に来てね、って言われて。
会話ができて感動しましたね。
JAC入門
高校の頃『戦国自衛隊』が発表されて、ブルーリボン賞を取ったんです。
そして真田広之さんが人気になって、JACが一般的に認知されていくんですね。
高校を卒業してJACを受けに行った時は、4000人くらい来ていました。
そのうち3000人くらいは真田広之さんに会いに来た女の子(笑)
合格の40人に入って、いっぺんに道が開けたような気持ちでした。
同期には森永奈緒美さん、矢島由紀さんがおりました。
四月から訓練が始まったんですが、もう猛烈で。
18時半から21時くらいまでシゴかれて、腕が上がらなくなっちゃうんです。
シャンプーを付けても、頭を洗えないんですよ。
一ヶ月経つ頃には、合格者の半数くらいは辞めていきました。
初仕事は千葉真一さんと!?
その頃、河合宏さんが出稽古にいらしていたんです。
中村雅俊さん主演のドラマ『俺はおまわり君』に出られるとかで、アクションもあるという事で。
新宿御苑にあった芸能人が集まるお店に連れて行っていただいて。
渡瀬恒彦さん、とんねるずさん、西城秀樹さん…凄いメンバーですよね。
マスターが新潟出身で可愛がってくれて、常連になりました。
稽古が終わってそこに行くと、誰かと知り合いになれた。
今は無くなっちゃったんですけど、良い思い出です。
入って二ヶ月経った頃、初仕事が決まったんです。
『スタントマン物語』というミュージカルで、訓練しながら出演していました。
その後、千葉真一さんから「付き人をしろ」とお呼びがかかった。
焼酎のCM撮りだったんですが、何をすれば良いのかわからなくて。
田舎でTVで観ていた迫力のある人が、苦虫を噛み潰したような顔で目の前にいるんですよ(笑)
見てればいいんだよ、と仰ったので見ていたら、「手伝え!」って怒られました。
どうやら気に入っていただけたようで、その後も『影の軍団』のアクション吹き替えなどに使っていただきました。
若くして大抜擢!
大葉さんの『宇宙刑事ギャバン』が終わる頃、千葉さんから次番組のオーディションの話がありました。
他にもたくさん居るんだろうと思って行ってみたら、会場は私一人だけ。
19歳で『宇宙刑事シャリバン』に大抜擢されました。
社長の推薦もあったみたいですが、受かるなんて思ってもいなかった。
演じている間はハードでしたね。
睡眠時間は平均2時間で、たまの休みは一日寝ているくらい。
今みたいにインターネットもなくて、ファンがいるのか、面白がられているのか、すごく知りたかった。
アクション、お芝居、なるだけ自分が観て面白いものにしようとはしました。
ここで手を残すと格好いいとか、大葉さんは微動だにしないな、とか、撮影後は一人反省会でしたね。
ヒーローから舞台俳優へ
24歳の時、二度目の主役『時空戦士スピルバン』が終わって、「ヒーローはこれが限界かな」と考え始めた。
大人の芝居もやっていきたいという思いもあり、East West Playersというアメリカの劇団に勉強しに行くことにしたんです。
帰国後はミュージカル『スターライトエクスプレス』のオーディションに受かり、出演が決まりました。
全国をツアーで回れたのは楽しかったですね。
自分で世界を選ぶ
挫折というほどのものでは無いんですが、目をつけられて大変だったことがあります。
練習生の頃、千葉さんに名前入りのジャージをいただいて、生意気だと思われたり(笑)
付き人にしたら売り出してもらえる、というのもあったので、やっかみ半分というか。
現場で何か尋ねても、僕だけ教えてもらえなかったりね。
ほとんど孤立状態だった時がありました。
ここはダメでも、他に趣味を作るとか、外にでて友達をつくるとか。
楽しいことを捕まえて、自分で世界を選ぶべきなんじゃないかな、と思います。
最近は体をいたわりつつやっていこうと思っております。
まだまだアクションもやりたいですし、子ども達に新しいものを見せたい思いもありますし、SFドラマも作りたい。
海外の反応も知りたいです。
新たな所を目指してやっていきたいと思っております。
取材を終えて
『宇宙刑事シャリバン』『時空戦士スピルバン』は、放映終了して40年近く経っているが、未だに愛されている作品だ。
「長く記憶に残る作品に参加できたのは誇りに思っていますが、これからの作品にも注目してもらいたいですね。子どもも大人も楽しめるような作品を作っていきたいです」と、意気込みを語ってくださった。
声優、舞台と幅広く活動されていらっしゃる俳優・渡洋史さんの新しい挑戦を、ワクワクしながらお待ちしたい。
プロフィール
渡 洋史(わたり・ひろし)
俳優
新潟県出身。
1981年、ジャパンアクションクラブ(JAC)入会。
舞台、スタント等で経験を積む。
1983年『宇宙刑事シャリバン』で主役デビュー。
多くの宇宙刑事シリーズ、メタルヒーローシリーズに出演。
1986年『時空戦士スピルバン』で二度目の主役を果たす。
1988年、演技を学ぶために渡米。
1989年世界的ミュージカル『スターライト・エクスプレス』日本ツアーで、「新幹線ハシモト」役に選ばれ、その後も映画、舞台、声優等、精力的に活動している。
舞台最新作は『くるくると死と嫉妬2018』。
大ヒットシリーズ『アンフェア』の原作者・秦建日子が、臓器移植や無差別殺人など現代に蔓延る問題を取り上げ、愛とは、正義とは何かを問いかけた話題作。
演出には多くのプロデュース企画も行う笹浦暢大、総合演出として唐十郎が育てた唯一の演出家、中野敦之が控える。
主演の鳳恵弥、山本圭壱、秋夢乃をはじめ、北村優衣、屋久島アイドルかずみーぬなど若手の注目株も出演。
中野テアトルBON BONで2018年6月6日(水)より6月10日(日)まで。
メインビジュアル・麻宮騎亜
◆くるくると死と嫉妬2018 公演情報
http://stage.corich.jp/stage/91795
◆くるくると死と嫉妬2018 チケット予約
http://ticket.corich.jp/apply/91795/010/
◆公式Twitter
https://twitter.com/watari164
◆渡洋史の公式ブログ「渡りに船」
https://ameblo.jp/watari-hiroshi/
◆しぃぼるとぷろだくしょん(所属事務所)公式サイト
http://www.siebold.co.jp/
◆宇宙刑事シャリバン Blu-ray BOX
https://amzn.to/2I8ydYv