草月流いけばなを軸にした空間表現で世界から称賛されるスゴい人!

家元・勅使河原宏氏からの言葉

いけばなのプロセス、準備段階が好き

テーブルウェア・フェスティバルにむけて

本日登場するスゴい人は、草月流で研鑽を積み、いけばなを軸にした空間構成をパーティ会場、ホテルのロビー、ショーウインドウなどに進出させた。
そうした活動が評価され、ピエールカルダン・マキシム賞をはじめ数々の賞を受賞。
音楽とのコラボレーションなど、他分野との交流も積極的に行う。
日本の伝統文化を守り、発展させるスゴい人の言葉をお届けします。

さあ…
竹中 麗湖様の登場です!

草月アートプランニングのチーフデザイナーとして

私は、自分で職業を選んだ感じはありません。
草月流でいけばなをまじめにやっていて、感性をかわれて、人が私に場を与えたことがきっかけになったの。
勅使河原霞先生の助手をずっとしていて。
霞先生が亡くなった後、勅使河原宏先生が家元になって、宏先生はもともと映画監督で自分の周りにいる人を育てた。
宏先生がつくった会社が、草月アートプランニングで、私はそこのチーフデザイナーだったの。
いけばなは伝統文化で、草月は自由な精神で自由な表現をする流派だから、アートプランニングは外との交流も積極的にした。
アーティストとして「イッセイミヤケを着なさい」と先生に言われて、それからずっとイッセイミヤケを着ているけれど、着るものもトータルでデザイナーとしての形を作ったのが宏先生だった。

家元・勅使河原宏氏からの言葉

たくさん作品を作ってきたけれど、一番記憶に残っているのは、日本橋高島屋のピエール・カルダンのウインドウディスプレイ。
宏先生は厳しい家元で、よくできて当たり前だから、それまで一度も褒められたことはなかった。
先生がよく泊まっていたニューオータニのディスプレイも「これでもか、これでもか」とやっていたけれど、それでも「まあまあね」としか言われなかった。
ピエール・カルダンのディスプレイをしたのが、先生の亡くなる半年くらい前で、車からウインドウを見て、「よく育ったな」と言っていたと後から聞いて。
私にとって一番記憶に残る作品になった。

自然がお手本

私はニューオータニのディスプレイを25年くらいやっているけれど、毎回違うことを考えています。
考えが進化するから、新しいものが生まれる。
二度と同じことをしないのが、私のコンセプト。
そのために、時代に取り残されないようにすること、いつまでも時代を知っていることが必要。
時代によって良いものも、美しいものも変化する。
全て変化しているから、進化し続けることが必要。
私は展覧会も見るけれど、自然に勝る美は無いと思うから、自然を見ている。
自然がお手本、自然から学ぶ。
それが私の美の感覚を創っている。
目の前の空間を見ていても、山、川、光、風などの要素から、空間構成を考える。
坂本龍一さんの映像を見たけれど、視覚に訴えるのではなく脳に訴える、人工的ではない自然物のような映像で。
光と影、点、線、面など、あらゆる美学に対するものが出てきて、言葉にできない、魂が奪われるような感覚になった。
美しいものに惹かれて、自分の魂がどこかに行ってしまうような感覚。
私は美しいものを生む、美しい空間に仕立てるのが本来の姿。

いけばなのプロセス、準備段階が好き

私は困難ほど楽しいと思う性格。
困難を乗り越えた先には、何かが生まれるから。
失敗しても、次から次へとやるから、気にしていられない。
もっとこうしたら…と思ったら、次に良くすればいい。
仕事の楽しさは、新たなものが生まれる喜び。
私はプロセス、準備段階が好きで、できあがったものに私の魂が入るから楽しみ。

こだわりと、出会いを大切にすること

夢を叶えるには、こだわり続けること。
こだわり続けた先に夢が叶うけれど、ぼーっとしていたら夢は来ない。
誰と出会い、どういう行為をして、どういう風にいたかによって自分が育つ。
だから出会いによって夢が叶うとも言える。
人との出会いって幅ができるからね。
私は色々な方とコラボレーションしているけれど、色々なものに興味をもって、幅広く色々な人に会わないと。
「出会いに乾杯」と私の本にも書いているけれど、出会いが私を活かしている。
誰と出会うかによって私の行動が変わる。

テーブルウェア・フェスティバルにむけて

先日、アートディレクターの永井裕明さんの個展を見に行って、平面構成をやると決めたの。
その日に会ったカメラマンに「平面構成をやるけど、ギャラリー山小屋はどう?」と言ったら、「やりましょうやりましょう」と言って、平面の空間構成の展覧会をすることになった。
考えていたら、もう夜遅いから寝ようとしていたのに、思い出してこれも作れる、あれも作れる、こういう方法もある、と思ったら眠れなくて。
考えないようにするんだけど、考えることが好きなのか、考えが止まらなくてもう辞められないのよ。
起きてちょっとメモ書きして、何とか眠ったけれど、アイデアを出すのが好きなのかな。
いけばなは空間構成、心のおもてなし。
だから大きい空間に行っても、精神は同じ。
植物を通して心を届けるのが私の仕事。
2月に東京ドームでテーブルウェア・フェスティバルをするけれど、2006年から始めて、2年に1回やっていて、今年で6回目。
東儀秀樹さんや黒柳徹子さんも参加していて、私は竹浪比呂央さんの照明「KAKERA」やいろいろな作家さんとコラボレーションしてコーディネートをするから、楽しみにしていて。
ぜひ見に来てください。

取材を終えて

二度と同じことをしないと仰っていましたが、作品集を拝見すると本当にその言葉通り、幅広く様々な表現をされていて、もちろんそのどれもが素敵で、何度も「素敵―…」と言ってしまいました。
おしゃれで、格好良くて、女性のあこがれる素敵な女性でした。
ねぶた師の竹浪比呂央さんと同日に取材をさせていただきましたが、メッセージボードに記入していただいた「美」の文字が偶然一致したことを始め、お二人の想いや考え方は共通している部分がいくつもありました。
そんなお二人のコラボレーションが見られるテーブルウェア・フェスティバルは必見です。
楽しみにしています。

プロフィール

竹中 麗湖(たけなか・れいこ)
勅使河原霞(二代家元)のもとで研鑽を積み、勅使河原宏(三代家元)の思想であった、「いけばなの枠にとらわれない、植物を使った自由な表現」を追究。いけばなを日常空間から解放し、公共空間、能舞台、パーティ会場などさまざまな空間に進出させた。そうした活動が評価され、ピエールカルダン・マキシム賞をはじめ数々の賞を受賞。その一方で、欧米・アジア・オセアニア・南米諸国を訪問、その土地原生の植物を使って制作やデモンストレーションを披露し、文化交流の一翼を担う。
著書に『かんたんいけばな』『いけばな全書』『暮らしを彩る花をいける』(ブティック社)、『白・青・赤』(草月出版)、『はなの宇宙』(草土出版)、『The Works』(青幻舎)、『はじめての簡単いけばな』(世界文化社)、『やさしい、いけばなの基本』(世界文化社)など多数

◆テーブルウェア・フェスティバル2018~暮らしを彩る器展~
2018年2月4日(日)~2月12日(月) 10:00~19:00(入場は閉場の1時間前まで)
会場:東京ドーム
https://www.tokyo-dome.co.jp/tableware/

◆やさしい、いけばなの基本(Amazon) http://amzn.to/2Donv1w

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう