サラリーマンをしながらも5年連続フィンスイミング日本代表となったスゴい人!

大学は2度行こう

社会人になり水泳と離れる4年間

今やっているスポーツは本当に好きですか?

本日登場するスゴい人はサラリーマンをしながら、フィンスイミングの日本代表に選ばれ続けているスゴい人だ!
フィンスイミングと言えば、2015年に「炎の体育会TV」にてオードリーの春日さんが「フィンスイミングジャパンオープンマスターズ大会」にチャレンジしている姿が放送されて認知度が上がったとは言え、まだまだマイナースポーツである。
マイナースポーツであるがゆえの困難はあるが、フィンスイミングに競技転向することで今日登場するスゴい人は「何の為にスポーツをするのか?」という本質的な一つの回答にたどり着いた!
スポーツに打ち込まれている人にとって、もしかしたら衝撃な回答になるかもしれないが
是非、読んで欲しい。

さあ…
出版社社員・フィンスイミング日本代表
柿添 武文様の登場です!

水泳競技一本

体が弱かったので親がスイミング教室に通わせたのが、僕が2歳の時でした。
中学までは全国大会に出場できなかったので、水泳は辞めようと思っていました。
医者になりたかったので高校は進学校に入り勉強をしようと思っていたのですが、タイムが伸びて全国大会にも出場し表彰台にも登るようになったのです。

大学は2度行こう

医学部を目指し一浪しようと思っていたのですが、現役で一校も受験しないとうるさかったので、同じスイミングクラブから筑波大学に進んだ先輩がいたので体育専門学群を受けました。
この時は入るつもりはなかったです。
大学の先輩から「折角タイムが伸び続けたのだから、オリンピックを目指して頑張ってみないか」と言われたので親には「医者の夢は諦めていないのでひとまず体育専門学群で頑張らせてもらい、卒業したらもう1回医学部に行かせてもらいたい」と伝え体育専門学群に入りました。
当時の筑波大学は部員が50名近くいたのですが、毎年5人前後は日本代表に入れるぐらい強いチームでした。
入学後、トップ選手の中で練習し始めたのですが、到底敵わないとすぐに実感しました。タイムも伸びず、2年生の時に一度、辞めたいと逃げ出したのですが連れ戻されました。
本来は4年の夏まで競技をしなければならないのですが3年の終わりに競技を終え、再受験の準備を始めました。
体育専門学群は卒業し、実家に戻り浪人したものの結果は不合格。

医学部を目指す本当の理由

二浪目は実家を出て高校時代の友人とルームシェアしました。
父は高卒で工場勤務だったのですが、僕のサラリーマンのイメージは父だけでした。
田舎育ちだったので、子どもにも分かるようなお金持ちで社会的地位もあるのは医者しかおらず、更に8つ年上の従兄弟も医学部に進学したこともあり単純に医者を目指していました。
二浪目になると同級生は社会人になり始め、自分がイメージしていたサラリーマン像とは違った働き方があるのだと知り、医者じゃなくても良いと思い就活を始めました。
ただ、周りは大学3年生で僕は彼らの3つ上。
リクナビも卒業年度は既にないのでエントリーさえできませんでした。
社会に一切目を向けていなかったので会社名も殆ど知りませんでした。
年齢制限もクリアーし、受験で参考書を使用していたから名前は知っていた「旺文社」を受け内定を頂きました。

社会人になり水泳と離れる4年間

配属は新規事業部で仕事が忙しいから12月から来てくれと言われ、契約社員で働き始めま
した。
想像を超えた量のデータベース作りが落ち着いたのは3年目あたりでした。
運動を全くしていなくて現役時代より17kg太っていて、仕事も落ち着いたのでダイエットで泳ぎ始めました。
泳ぎだしたら競技者熱が出てきてしまい、はじめは週2日だったのが3日、5日となっていきました。
しかし、週5日も泳いでいるのに競泳では勝てないのです。

フィンスイミングとの出会い

コナミスポーツのチームに入っていたのですが、フィンスイミングをやっている友人と競泳の練習もしていました。
ほとんと練習はせずとも、フィンの試合にも少し出ていたので、フィンの人たちとも仲良くなっていました。
2011年の年末、フィンの合宿に参加し、日本代表選手の練習を見た時に「これは真剣にやれば勝てる!」と思い日本代表を狙おう思ったのです。
2012年1月にFacebookで「日本代表を狙ってやります!」と宣言しました。

日本代表を狙うと宣言し手にする

日本代表を狙うと決めてからは、競技用の生活に切り替えました。
大学時代、オリンピックを目指し実際に活躍している選手をスゴくカッコいいと思っていました。
サラリーマンになり、僕にしかできない何かを作りたいと、ずっと思っていました。
今、僕が事業のキーマンだとしても、僕が抜けても事業はまわり続けるんですよね。
僕じゃなくても事業が回ってしまうことがつまらないと思ったのです。
逆に代表選手は完全に個人の能力に依存するので、僕の存在価値がそこにあるのが面白いと思うんです。
フィンの練習はプールのコースを貸し切るので夜19時からなど、時間が決まってしまい夜は残業できないので、早朝6時に出勤するようにしました。
フィンを着けないと技術練習はできませんが、パワーを付けたければウエイトトレーニングをし、心肺機能を上げるには競泳をするなど最初から切り分けたトレーニングをしました。
実際にFacebookにも全ての練習メニューを公開し、代表を狙う道筋を楽しんでもらうようにしました。
翌2013年5月の選考では日本新記録で優勝し、代表に選ばれました。
その後、今年まで5年連続で日本代表になっています。

今やっているスポーツは本当に好きですか?

学生時代、妹はヨットをしていたのですが、競技人口が少ない所で国体に出て何が面白いのかとバカにしている自分がいました。
今、フィンスイミングに競技転向して競技普及のため環境を整えたり、後継者育成の楽しさなどマイナースポーツならではの楽しさを知りました。
競泳の関係者の知り合いは多いので、競泳の大会でデモンストレーションをさせてもらったりしています。
近年はスポーツ科学的にも競技は兼ねたほうが良いと言われているので、若い子達には競泳チームの許可が下りれば競技を兼ねてチャレンジしてほしいです。
スポーツって、最初に始めたスポーツを続ける傾向が強いのです。
他の人より早く始めたから上手かったり、体が早熟なだけで周りより長けていたりする事もあります。
ですが、折角ここまでやってきたのだから!という考えをみんなが貫くのは違うと思うのです。
競泳から離れてやっと理解したことなのですが、僕は水泳を好きでやっていたわけではなく、「勝ちたい」という思いが先でした。
仮にバスケットを頑張っていても代表にはなれない人が、バスケは好きだから辞めないと言ったとします。
その人に「バレーに転向したら日本代表になれるよ!」となったら、好きと言ったバスケを続けるか悩む選手って結構いると思うのです。
自分の心の底にある欲望を把握して、競技に臨むべきだと思います。
ちなみに競泳において、学童記録を持っていてオリンピックに行けたのは萩野選手だけと言われています。
基本的に学童記録は早熟だから出せるということが多いです。
小学生が並ぶ中、ひとり身長が180cmあれば、技術が高くなくとも、それはやはり圧倒的に有利で勝ちやすいのです。
まず、そのことをちゃんと親もまわりの大人も認識して欲しい。
体の成長が止まり始めた時に、それまでのトレーニングだけに固執せず、違う方法でのチャレンジを促すような指導をしていってもらいたいです。
毎日20km近くも泳いでいた学生時代より、月3~4回しか泳いでいない今の僕は速く泳げているのですから。
スポーツに対しては、まだまだ誤った解釈があふれています。
それを少しずつ変えていけるようなお手伝いをできたらいいなと思っています。

取材を終えて

柿添選手の思考はアスリートと言うよりコンサルティング思考に近い!
フィンスイミングで世界選手権に選ばれると遠征費数十万円、ジャージ代数万円などは基本的に全て自腹だそうだ。
数年前までは費用面の問題で選ばれても辞退する選手もいたそうだ。
水泳とは一切関係ない職業に付き日本代表として活躍している選手は現在では柿添選手含めごくわずかだという。
競泳の1.5倍のスピードが出るフィンスイムは水を切り裂く感覚が楽しいという。
「今やっているスポーツではなく他のスポーツならオリンピックにいけますよ」と言われたらどれだけの選手が迷うかと考えると本当にそのスポーツを好きで努力しているのか。勝利を通じて自分の存在意義を確認したいのかは誰も触れない。
触れたくない真実のように思えた。

プロフィール

柿添 武文(かきぞえ・たけふみ)

◆公式ホームページ http://kakizoe.minato.jp.net/

◆twitter https://twitter.com/kakkies03

◆facebook https://www.facebook.com/takefumikakizoe19821203/

主な実績
フィンスイミング
2010/11/7 短水路400mビーフィン 日本記録
2011/2/27 4×100mビーフィン 日本記録
2013/5/12 400mサーフィス 日本記録
2013/8/7 800mサーフィス 日本記録
2013/11/23 短水路800mサーフィス 日本記録
2014/5/11 800mサーフィス 日本記録
2014/11/6 4×200サーフィスリレー日本記録
2014/11/22 短水路400mサーフィス 日本記録
2015/11/7 4×200mサーフィスリレー 日本記録
2016/6/26 4×200サーフィスリレー日本記録
2016/11/19 短水路400mビーフィン 日本記録
チャレンジ
2012/7/28 伊豆大島~茅ヶ崎66km泳断成功

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