罰が当たった!?恩義を重んじた就職
管理職2000人中で下位5%クビ寸前!!!
超合理的主義の激しい上司がまるで牧師みたいに
本日登場するスゴい人は、インテル株式会社の執行役員時代に、社内における360度評価で100点満点中、たったの20点!を取ってしまいクビ寸前!
しかし、ある事を取り入れることで、翌年は全社員のトップ0.5%にまで昇りつめてしまった!
きっと、今日のスゴい人の経験は多くの部下を持つマネージャー職の人にとってヒントになるはずだ!
是非、今日のスゴい人の経験をヒントにしてほしい!
さあ…
ビジネスコーチ株式会社
HRテック担当顧問 兼 エグゼクティブコーチ 板越 正彦様の登場です!
柔道を通じ精神力を培う
小学生の時は喘息で体も弱く、頭でっかち読書好きでいじめられっこに近い方でした。
その頃の「柔道一直線」というテレビ番組の影響で、中学から柔道を始めました。
柔道部はとても厳しく、最初に40人いた部員は最終的に6人しか残らないくらいでした。
僕は身体が小さかったけれど先鋒で、3年生の時には大阪府3位になれました。
柔道が強くなると、いつの間にか、積極的にいじる側に変わっていました。
勉強の成績もいい方でしたし、柔道で強くなれた事が大きな自信になりました。
どんな時でも「コツコツ諦めなければ必ず成果を掴める!」という事を学びました。
進学校では落ちこぼれ
高校で進学校に進むと、学業の成績は450人中、430位!
これではダメだ!と寝ずに勉強を頑張り過ぎ、校内マラソン大会では男子200人ぐらいで走ったのにドベ(最下位)。
中学の時には勉強もできて走るのも速かったはずが、高校では両方共にドベに近い。
この時はすごく落ち込みました。
それでもコツコツ頑張って、一浪して東大に合格はしたものの、学業では卒論「可」でドベ。
MBAも取りましたがギリギリ合格でドベです。
でも、いいところを高望みして、”ドベ”で引っ張ってもらう方が得るもの(友人や経験など)、が多いなと感じました。
罰が当たった!?恩義を重んじた就職
就職はバブルだったこともあり、学生時代の面白い話をして面接官に気に入られ、大手テレビ局の内定をいただき、かなり天狗になっていました。
大学時代のアイスホッケー部で最後の合宿に行った時。
教会でふざけて「南無妙法蓮華経」と唱えて外に出ると、急に大雨。
大雨の中、後輩が車の中にキーを忘れて閉めたものだからさあ大変。
ずぶ濡れになりなんとか鍵を空けて、寮に着いたのですが、疲れて翌朝にあった内定者の健康診断を寝坊!
それまで寝坊したことなんて一度も無かったんです。
電話をしたものの今回は遠慮してくれと内定を取り消され、教会でのバチが当たったと落ち込みましたね。
「マスコミに落ちたらでいいから、うちに来てください」と言って待ってくれていた会社がありましたので、恩義に報いようと入社したのが化学メーカーのJSRでした。
泥臭い営業時代
JSRには7年いましたが、最初は泥臭い国内営業から始まりました。
プラスチック成型を行っている中小企業のオヤジさんが営業先でした。
頭でっかちでプライドが高い僕は、どぶ板営業なんて嫌だと思った時期もありましたが、ここで成績を上げるしかない!と思い直し4年間営業を頑張りました。
エリアは新潟・燕三条でしたので、雪かきを手伝ったり、忘年会で酔っ払って池に落ちたりして段々可愛がられるようになりました。
なんとか意欲が認められ、会社派遣でMBAも取らせてくれました。
大学時代の友達はカッコイイ一流企業に入っているのに、僕は地味なメーカーで…って最初は落ち込みましたが、前向きに進んできたことが良い結果に繋がりました。
国連機関勤務を経てインテルへ
当時、一度は国連機関で働きたい!という思いがあり、機会をいただきパリの国連で2年働きました。
任期が終わり、たまたま新聞で見たインテルの求人広告に惹かれて応募、つくば採用になりました。
日本人で英語が話せて、大阪的KY(空気が読めない人)で押しが強い僕はインテルと非常に肌が合いました。
当時のインテルの経営陣は、全員競争心が強く、激しいタイプばかりでした。
今で言えば”トランプ”のようなトップが100人いるような、すごい世界で僕は揉まれました。
PCも会社も伸びる良い時期で、役職も上がり、50人近くの部下を持つようになりました。
2000人中で下位5%クビ寸前!!!
昇進した人は、自分が育ってきた経験を部下にも強要しがちです。
自分は厳しい世界を経てきたんだから、部下たちにも同じように厳しくていい!という様に。
部下に対して、歓迎パーティーやBBQを開催したり、いつも「大丈夫です!」という返事が戻ってきていたので安心していました。
しかし!部下も含めた「360度評価」をすると100点満点中20点。
管理職の合格は80点以上です。
全世界におけるインテルの営業部門のリーダーの中で下位5%の最低評価を受け、クビ寸前の数字が出て、上司が驚くほどでした。
部下からの評価があまりにも低いため、納得できず、眠れないくらい腹がたちました。
また天狗になっていたのですね。
「なりたくてなる天狗はいない」と言いますが、俺はなんでもできる人間だ!という全能感満載でした。
超合理的主義の上司がまるで牧師みたいに
最低評価を受けた後、なんとかしたいとビジネス書を読み漁り、セミナーにも参加しました。
そんな時、ある人の激変を思い出しました。
効率第一、無駄なものは一切受け付けない!という超合理的主義なエグゼクティブVP(上級副社長)です。
彼は約600万円かけてコーチングを受け、それまで「何でできないんだ!俺はそんな答えなんて聞きたくない!」と詰め寄る激しい性格だったのに、「君はどう思う?いいね!」と牧師のように穏やかになっていたのです。
コーチングの威力を知ると共に、コーチングを受けることは上に立つ人間にとって必須のスキルだと再確認しました。
実際に自分がコーチングを受けるよりも、教えられる立場になった方が早いと思い、資格を取りました。
コーチングを実践した翌年の360度評価ではなんとか合格点に届き、全従業員の上位0.5%が参加できるリーダーサミットに2年連続で参加できました。
21年インテルで働き、55歳で退職し、コーチングの道に進みました。
激しい時代を生き抜いてきたオレオレ管理職たちがコーチングを受けて、自慢話や苦労話を控え、部下の意見を傾聴し始めると、組織が目に見えて上手くまわりはじめました。
コーチングの重要性
コーチングには、相手の課題をじっくり聞く力と、気づきの質問をする洞察力が必要です。
つい周りと比較して落ち込んでしまう若い人には「誰とも比較しないで!昔の自分よりこれだけ成長しているよ!」と励まします。
自分では分からない強みや変化を上司が探し出し、気づかせてあげる事で自信を持てます。
一昔前は部活動や色々な社会の中で揉まれる機会がたくさんありましたが、今では競争・葛藤の機会があまりないので、逆に社会に出てから、人間関係に悩んだり、価値観の違いを受け入れられないことも多いのです。
お互いの違いを認め、受け入れることが大切です。
今後、日本の企業をはじめ学校にも、コーチングが必ず必要になっていくと信じています。
取材を終えて
板越さんは全身からエネルギーが漲り、パワフルに仕事をされてきたのだと一瞬でわかる方だった。
インテル時代、本場のコーチングを受けた上司の変化を目の当たりにし、ご自身も相当な金額を投資して学んだコーチングで評価を180度変えてしまった。
今まさに日本は大きな変化の時代に入ってきているが、価値観の違いが大きく生じている世代間を超えた組織づくりにはコーチングは最適である。
板越さんはプライベートで週に1~2回はゴルフをされ、週末はなんと!シニアのアイスホッケーをされているという。
著書である『上司のすごいひと言』はコーチングを知らない人でもスグに実践に移せるように具体的な事例が沢山書かれている。是非、手にとって読んでみて欲しい。
プロフィール
板越正彦(いたごし・まさひこ)
ひと言の声がけで部下のパフォーマンスを劇的に上げる「最新コーチング」のスペシャリスト。元インテル株式会社(日本法人)執行役員。
1960年生まれ。東京大学文学部心理学科卒業。在学中に某テレビ局への就職を決めたが、健康診断当日に寝坊し内定取消の憂き目に。
卒業後、化学メーカーJSRに入社し7年勤務。サンダーバード大学院にてMBAを取得後、国連UNESCO勤務を経て、94年にインテルに入社し、21年間勤務。
シリコンバレー本部での勤務を含めて15以上のセクターで活躍した。
インテルでは順調に業績を上げ本部長に昇格。
ところが、昇格直後に部下から受けた「360度フィードバック」で100点満点中20点と、全世界における営業本部のリーダー中下位5%に含まれる最低評価を受け、クビ寸前に。
そこからコーチングを学び、部下との付き合い方を変え始める。一人ひとりの部下が大事にしている価値観(ワクワクポイント)を知り、ひと言で刺激する手法「最新コーチング」を取り入れたところ、評価が大幅アップ。
同社のトップ0.5%だけが参加できる「リーダーシップサミット」に2年連続選出された。
インテル在職中の2012年より、3年間で約1000人を対象にワークショップやコーチングで成果を上げ、独立。
現在は企業やベンチャー向けにコーチングを行うほか、跡見学園女子大学兼任講師も務め、最新コーチングのメソッドを世に広めている。
気づきハック(コーチングブログ)
https://www.kizukihack.com/blog
BUSINESS COACH
http://www.businesscoach.co.jp
『部下が自分で考えて動き出す 上司のすごいひと言』(かんき出版)
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