異業種コラボレーションで新たな道を切り拓く歯科医のスゴい人!
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3度目の挑戦で東京医科歯科大学に合格

自分の病院を持つため、毎日信用金庫に通い続けた

歯科医を子どもたちの憧れる職業に!

本日登場するスゴい人は、国内外に15のクリニックを展開、ドクター80名をかかえる医療法人の理事長。
それだけでなく、世界初の新技術マイクロニードルを用いたヒアルロン酸シートを取り入れ歯科医として初めて東京ガールズコレクションに出展するなど、医療と他業種とのコラボレーションを積極的に行い、注目を集めている。
彼が異種業種とのコラボレーションを通じて実現しようとしていることとは?

さあ…
医療法人社団翠聖会
理事長 高井 智行様の登場です!

先生の隣の特別席

子どもの頃は問題児で、よく怒られていました。
勉強は好きでしたが、授業のペースを乱してばかりいたので、小学校3、4年生くらいまでは、僕の席は先生の机の横の特別席でした。
父の事業の失敗で実家は裕福でなく、家に電話がありませんでした。
電話が無かったので、連絡網が回ってこなくて大雨の中、1時間かけて弟2人を連れて歩いて学校まで行き、初めて休校だったということがわかりました。(笑)
子どもながらに辛い思いをした事も多かったので、その頃から大人になったら漠然と手に職をつけようと思い始めました。
親からは「何でもいいから、とにかく一番になれ」と小さい頃から言われて来ました。

3度目の挑戦で東京医科歯科大学に合格

中学生の頃に歯医者に治療に行って、歯医者ってすごいと思ったことが、歯科医を目指したきっかけでした。
高校生の時には歯科医になると決めていましたね。
ただ、親族に歯科医がいるわけでもなく、財力もないから「歯科大の学費なんて誰が出すの?」という状況でした。
実家の横須賀から通える学費の安い国立大学を探すと、難関の東京医科歯科大学しかなく、2年浪人して3年目でようやく合格することができました。
3年目は、本当に受かるのかな?という気持ちと、負けちゃいけないという気持ちで臨んでいたので、合格してほっとしました。今でも大学入試の夢でうなされます。(笑)
ハングリーにできたことは、親に感謝しています。

自分の病院を持つため、毎日信用金庫に通い続けた

医科歯科大学では、95%の学生が大学院に進んで研究職に就くのですが、僕はお金を稼がないといけなかったので、大学卒業後すぐに働き始めました。
いずれは開業したいという想いはありましたが、丁稚で厳しく教えてもらって技術をつけ、3~5年後には自分の病院を持とうと思っていました。
ある時、働いていた病院の院長先生から、田舎に帰るから病院を譲ってくれるという話をいただきました。
500万円ほど必要だったのですが、当時の貯金は10万円しかなくて、500万円を借りるため、企画書を書いて近くの信用金庫に毎日通いました。
毎日門前払いされるのですが、それでも毎日昼休みに通っていると、1ヵ月程したある時に支店長さんが話を聞いてくれて、500万円を貸してくれることになりました。
今だったら1ヵ月も通い続けることはできないと思いますが、当時は世間知らずなのか馬鹿なのかわからないけれど、「今日は無理です」と言われてもしょげたり恨んだりせず、また明日行こうと思っていました。
その病院は、古くて汚くてエアコンが効かず、天井から水漏れするような病院だったのですが、一国一城の主になったのが嬉しかったですね。
患者さんが来てくれて、治療できることが嬉しくて仕方ないので、毎日朝早くから夜遅くまで、昼休みもとらず、丁寧に話を聞いて治療していました。
のちにその信用金庫はバブル崩壊で併合になって潰れてしまったのですが、最後の日に担当者の人が来た時に、何故あの時お金を貸してくれたのか聞くと「絶対にうまく行くと思った。目が真剣だったから」と言ってくれたのがすごく嬉しく、記憶に残っています。

異業種コラボレーションで目指すもの

アメリカでは、歯科医は子どもたちのなりたい職業のナンバー1、2を独占しています。
ステータスはもちろんのこと、何より尊敬されているのです。
日本には歯科医が10万人いて、歯科医院はコンビニの5.5万ヶ所を上回る6.8ヶ所もあります。
一部地域では、ワーキングプワーや斜陽産業とも言われ始めてきました。
そこで、異業種とコラボレーションすることで、今まで歯科医院に来なかった人達にも目を向けてもらいたいと考えました。
世界初の新技術マイクロニードルを用いたヒアルロン酸シートもその1つです。
この商品は痛みなく、安心・安全にヒアルロン酸を使用し、より笑顔に自信を持ってもらいたいという歯科医師の想いから作られました。
ヒアルロン酸注入と言うと、注射が主流で痛くて高いイメージがあります。マイクロニードルは細かな針が(1シート1300本位)直接肌に浸透して、ヒアルロン酸を角質の奥まで届けます。
歯科のホワイトニングと同時に行えるので、短時間で目元、口元が美しく変身します。
将来的にこのマイクロニードルは「貼るだけ」という簡便さから、インフルエンザや各種ワクチンの接種、糖尿病患者のインシュリン注射等の代替として医学的応用を目指し、大学と連携して研究に取り組んでいます。
注射を用いた医療の時代が来るかもしれません。
ミクロの針が無限の可能性を秘めているなんて、夢があっていいと思います。

諦めない、へこたれない

今考えると、人生の節目節目でキーになる人に出会えたことは幸運だったと思います。
僕のポリシーは絶対「諦めない」「へこたれない」こと。
失うものは何もなかったので、失敗してもまた一から頑張ろうと、どんなことが起きても前向きに進めました。
若い人こそハングリーに、一度きりの人生なので、自分で自分を縛らないでやりたいことに挑戦してほしいです。

歯科医を子どもたちの憧れる職業に!

僕は経営者でもありますが、日々の診療を何より大切にしています。
今も週5日は診療をしていて、それは続けて行きたいと思っています。
診療をしている時は余計なことを考えないので、一人一人の患者さんに真剣に向き合うことで嫌なことを忘れられるのです。
もちろん体力的には疲れますが、診療の時間がなくなったらストレスが溜まってしまうでしょうね。
24年前、ボロボロの病院で診ていた患者さんが今も来てくれていること。
昔に入れた歯が今も機能していることは嬉しいです。
若い先生達には僕らの仕事は「自分の命を削って」「歯を削る」んだと、削った歯は戻らないので、真剣勝負だと教えています。
僕は人生最後まで歯科に関わって行きたいと思っています。
現在、口の中の細菌が心臓病やその他の疾患の原因になっていることが分かり、歯科治療の重要性が再び認識されるようになってきました。
日本でもアメリカの様に子どもたちの憧れの職業になる様に、残りの歯科医師人生、がんばりたいと思っています。

取材を終えて・・・

歯科界のことを考え、今までにない思考で新しいことを取り入れ、歯科医が子どもたちから尊敬され、憧れる職業にしていきたいと常に考え行動する高井さんは、心から歯科医という仕事が好きなんだと感じる事ができました。
たとえ忙しくなっても、経営者としてではなく現役の医師としてこだわり続けることや人に対するやさしさや温かさに感銘を受けました。
そんな高井さんだからこそ、開業当時から来ているお客さんが今でも通ってくる。
今回、取材を通じて、その理由が少しわかった気がしました。


プロフィール

高井智行(たかい・ともゆき)
1966年8月21日生まれ
昭和60年県立横須賀高校卒業(小泉元総理の母校)
平成5年国立東京医科歯科大学歯学部卒業
平成17年医療法人社団翠聖会設立
平成24年東京医科歯科大学大学院にて歯科博士号取得
現在に至る。

◆医療法人社団翠聖会ホームページ http://www.suiseikai.com/
◆PINK&WHITEホームページ http://www.pink-white.jp/

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