悪性リンパ腫と戦いながら人々に勇気を与えるUWF戦士のスゴい人!

運動嫌いのガリ勉君がプロレスラーを目指す!?

常に退路を断ってしまう

病気になって得た最大のモノとは…

プロレス大ブーム時代、89年にUWFに入門した垣原選手。
入団前も波乱万丈。入団後も波乱万丈。
引退後に大好きだったクワガタをモチーフにした「ミヤマ☆仮面」の活動を始めるが「悪性リンパ腫(血液のがん)」に侵されてしまい、今もなお病と戦い続けている。
多くの著名なプロレスラーが集まり2015年8月18日、垣原選手をサポートする為に「Moving On~ カッキーエイド~」が開催された。
常に果敢に戦い続けている垣原選手から勇気を頂こう。

さあ…

カッキー企画 ミヤマ☆仮面
垣原 賢人様の登場です!

運動嫌い、筋肉の少ない少年が、夢はプロレスラー!?

リトルリーグに所属していたのですが、6年間ずっと補欠。
虫が大好きで、毎週自転車で1時間かけて山道をさまよい歩いて昆虫採集をしていました。
中学の部活はきつい練習は避けるため、顧問があまり来ない陸上部へ。
マットでプロレスごっこをしている日々。
100m走の選手でしたが、3年生の時顧問から100m、高飛び、砲丸投げの3種に出てみないかと言われ出場。
100mと砲丸投げが終わり、昼食後の高飛びは面倒くさくなりボイコットしました。
それなのに砲丸投げが何故か1位で、県大会に行く事になりました。県大会に出場する選手は皆ガッチリした体格で、華奢な身体では恥ずかしいと思い、人生で初めて自ら筋トレを始めました。
日々、成長する事も面白くなり、プロレスラーがすごく好きだったので、友達から「レスラーになれるんじゃない?」と言われる様になりました。すっかり夢はプロレスラーです。
ちなみに県大会は最下位でした。

土佐犬のおかげで進学校へ!しかし…

勉強はあまりしていなかったのですが、どうしても犬が欲しいと親に言うと学年400名近くいる中で30位以内に入れば買ってあげると約束されました。
猛勉強して約束した順位に入り、土佐犬を買ってもらいました。
これをきっかけに勉強が好きになりました。プロレスラーになりたいから高校受験はしないと言うと猛反対。
「受験から逃げているのか!?」と言われたので悔しくなり、受験して高校も県内トップの進学校に入学しました。ところが、高校で入った柔道部で投げられ、腰の骨を折って1ヶ月病院で寝たきりに。怪我をしたのはレスラーになりたい気持ちを閉じ込めて学校に通っているせいだと勘違いし、退院してすぐに退学届けを出しました。コルセットも巻いて女の子よりウエストが細く、柔道で投げられて腰の骨を折るような人間が、レスラーになりたいなんてね。
先生も止めるために毎日足を運んでくれました。

上京。そして、運命の出会い

学校を辞めて半年後、腰も治りUWFに履歴書を送ったものの何の音沙汰もない。
普通は高校に行きながらテストに合格したら入団という流れですが、自分は既に退学してしまっている。毎朝学校に行く友達と逆方向に向かい、河原で1人トレーニングしていると、これからの人生がすごく不安に思えてきました。
愛媛から上京しようと決めたのですがツテがなく、祖母の知り合いの更に先の先の知り合いが新聞配達店を営んでいて、拝み倒して受け入れてもらいました。
当然無給で、住む場所とご飯のみを頂いていました。
朝3時に起きて朝刊配達をし、荒川でトレーニングをして夕刊を配達する日々が続いたある時、先輩に「若いのに何で東京に来たのか?」と聞かれたので「プロレスラーを夢見て上京した」と話すと、なんと自分の部屋の前の住人がUWFの入団テストを受けていたというんです!
紹介してもらい早速会いに行きました。

1本の電話が引き寄せた奇跡!

その方は2期生でしたが、補欠合格で入門されていなかったため、同期で入門した選手を紹介してくれました。それが、秋田でローカルヒーローをやっている海老名保さんでした。
すぐに電話をすると「入りたい気持ちがあるなら今スグ動かないとダメだよ!新聞配達をしている場合じゃない!」という言葉に勇気をもらいました。
その帰りに新聞配達の社長に退職のお願いに行ったら相当怒られました。いつも先に退路を断ってしまうのが自分なのです。
実は愛媛にいた頃に2回、UWFに直談判はしていたのですが、門前払いでした。この時は3度目の正直という気持ちで足を運ぶと、月に1、2回しか練習に来ない藤原組長がちゃんこを食べながらお酒を飲んでいました。
藤原組長が自分の姿を見て「坊主どうした?入ってこい!」と言ってくださり、熱い想いをぶつけたら「今からテストをしてやるよ。服を脱げ!」と言われ、天にも昇る心地で鍛えた身体を見せると…
「背中を出せ!グツグツ煮込んだ大根を背中に置くから耐えたら入れてやる!」とアツアツの大根を乗せられ、体中に電流が走ったけど耐え続けました。
「坊主は根性あるから10日後のテストに来い!」とチャンスを手にしたのです。
当時のプロレス団体はどこも練習以外の寮生活も今からは考えられない、想像を絶する厳しさがありました。
期待を背負って入ってきた屈強な選手も1週間ともたない。
でも、自分は全ての退路を絶っている事と憧れのUWFに入れた嬉しさもあり耐えることが出来ました。

ミヤマ☆仮面誕生!

2006年首の怪我をきっかけに引退し、子どもの頃から好きだったクワガタで何かできないか?と考えました。
現役中も地方遠征の後は夜のネオンではなく山にクワガタとりに行っていた程、好きなんです。
クワガタ専門誌にもレスラーと明かさずに連載をもっていました。子ども達にクワガタを戦わせる事をきっかけに、森に興味を持ってもらい、生物多様性を知ってもらうイベントを作り上げました。

充実した日々が一転。悪性リンパ腫と診断…

2014年、イベントの仕事が片付いて病院に行くと、「悪性リンパ腫」だと診断されました。
医者が驚くほどに全身に転移していて、状態は酷かったです。一番効く抗がん剤は、心臓の状態が良くないため使えないと言われましたが、抗がん剤が奇跡的に効き、今は身体を動かすことが出来るようになりました。
病気をするまで感謝する人間ではなかったですね。本当に人間の命は有限だと痛感しています。
プロレスを引退し、別の道を歩んでいたので、「カッキー・エイド」イベントの話は直前まで断っていました。人に頼ることを避けたかったのです。
ただ、最後に受けた理由は、同じ病気で苦しんでいる人に少しでも名前が売れている自分が表に立つことで希望の光を与えられればと。

これからも戦い続ける

どこかで自分だけは大丈夫だと思っている所もあったのですが
先日、元時天空 間垣親方が同じ病で亡くなり、リアルな死が鼻先までやってきました。
2017年3月26日、「希望の光になる」という決意のもと久しぶりにリングに立つ予定でした(野外イベントだったため雨天により中止)。
現役当時からすると恥ずかしいぐらいの身体です。
そんな身体なのに本物のプロレスラーと戦っている姿を見せることで、同じ病気の人達の不安を減らし勇気を与えて行きたいのです。リングで戦う姿から何かを感じ取ってくれれば嬉しいです。
今年をスタートに毎年やり続ける事でミヤマ☆仮面だけでは届かない事を、多くの人に届けていくのが自分の今の使命です。
今では病気になって良かったと思えます。
いつ再発するかわからない状態ですが、感謝する気持ちが上がったと同時に幸福度も上がり1秒1秒大切に命を使えています。

取材を終えて・・・・・

取材のアポイント電話で聞いた垣原選手の声は「なんてこの人は心が透き通っているのだろう!」と感じた程に人柄の良さが現れていました。実際にお会いすると、前田選手や高田選手のモノマネを交えながら、ユーモアたっぷりに面白おかしく当時のお話をしてくれました。
入院中、自分の身体がだんだんと痩せ細り、身体の大きなお相撲さんの中継を見ることで勇気を貰っていたといいます。身体も大きく年齢も若い元時天空 間垣親方が同じ病気で亡くなったニュースは「死を鼻先まで突きつけられました」と言うと同時に手のひらを鼻の先数ミリまで近づけた姿は、脳裏に焼き付きました。
人は必ず死ぬとはわかっていても日々を大切になかなか出来ないものです。
垣原選手がこれからも戦い続ける姿から【有限である人生に日々、感謝して生きて行こう!】と思えるきっかけを有難く頂こうと思います。

プロフィール

垣原賢人(かきはら・まさひと)
新生UWF第3回新人テストに合格し89年6月「U.W.F.」に入門。

91年2月「UWFインターナショナル」の設立に参加。
96年7月 第11代WAR認定世界6人タッグ王者チームに輝きベルトを巻く
99年5月「全日本プロレス」入団
2000年8月新団体「ノア」の旗揚げに参加したが離脱後の同年10月よりフリーとして「全日本プロレス」に電撃復帰。
2002年2月「新日本プロレスに入団」
2003年6月ベスト・オブ・ザ・スーパージュニアXで初優勝
2006年 5月引退

昆虫キャラクター「ミヤマ☆仮面」として始動。
キャンピングカーで全国を回りながら虫目線で環境保全を子供達に伝える昆虫イベントを展開している。
2014年、養老孟司先生らと森林再生プロジェクト「養老の森」を立ち上げる。
2016年、三世代がハッピーになれる体験型イベント「森のプロレス」を設立。
ミヤマ☆仮面(垣原賢人)オフィシャルブログ https://blogs.yahoo.co.jp/miyamakamen
Uの青春 カッキーの闘いはまだ終わらない http://amzn.to/2nlgen2

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