本日登場するスゴい人は、2つの日本記録を持つ登山家のスゴい人!
しかし、これほどスゴい記録を持つ方だが、その名前を初めて聞く人も多いかもしれない。
8000m峰全14座完全登頂を目指し、2012年5月に日本人で初めて成功させた。
更に、8000m峰11座へ無酸素登頂にも成功しており、これは日本人最多記録である。
彼はパートナーが1人か2人という最低限の環境でアタックするという。
世間では1回のアタックに数千万円も掛かるかのように思われているが、決してそんな事はないと彼は語る。
どのような思いで、このような記録を作り上げてきたのだろうか。
さあ…
プロ登山家
竹内洋岳様の登場です!
「山の魅力を伝える」
子どもの頃は祖父の家で暮らし、祖父の影響を強く受けました。
3歳の頃から祖父に連れられ、毎年スキーに行きました。
スキー場は今の様に整備されていなくて、一人用のリフトに乗り、その先はスキー板を担いで山に入って行き、滑って降りてくるのです。
今で言うバックカントリーです。
家族と共に雪山で遊ぶことからスタートし、自然と山になじみました。
山に対するイメージが大きく変わったのは高校の山岳部。
登る山が土山から岩山に変わり、登り方も道具も全く違うものになりました。
更に、顧問の先生から「大学の登山部は登山道でなく壁を登り、雪山にも行く」と聞いて、チャレンジしたくなりました。
大学に入学した年にちょうどヒマラヤに行く計画が立てられました。
子どもの頃からヒマラヤという名前は知っていたものの、目標としていたわけではありませんでしたが、これを機に8000m峰への挑戦が始まりました。
酸素ボンベを使わずアタックすると、人間の潜在能力が引き出されます。
未だに何故、8000mで人間が生きていられるか医学的には解明されていないのです。
ただ、哺乳類の祖先は低酸素時代を生き延びた歴史があり、そのDNAは誰の中にもあるはずなのです。
低酸素エリアでは、通常1分間で動ける距離に数十分掛かることもあります。
時間の流れが明らかに変わるのです。
その中で、感情を抜きにして冷静に判断します。
「引き返す勇気」という言葉は文学的に美しいですが、登山においては「登る」と「引き返す」は同等。
登れるのに登らない理由も、登れないのに登る理由もない。
その判断に感情は伴いません。勇気は必要ないのです。
私の登山は酸素もシェルパ(案内人)も使わず、パートナーも1人か2人。
山登りはいくらでもお金を掛けられますが、私のポリシーは出来るだけ多くのハードルを設けること。
その1つが、掛けるお金を最小限にしてのアタックです。
失敗したら、何故失敗したか、次はどう登るかを楽しめます。
これからも未到の山にチャレンジしていきたいです。
エレベストも測量技術によって世界一と注目され、沢山の人がアタックし、魅力的な山になったのはつい最近のことです。
私が未到の山にチャレンジすることで、その山の魅力が多くの人に伝わり、輝き出す。
こんなに面白いことは他に無いと思います。