近年控えめとなった性表現に切り込んだ映画監督のスゴい人!

本日は、近年では敬遠されがちである「性表現」に切り込んだ映画を、自ら資金を出してまで製作した映画監督のスゴい人が登場する。

最初から映画監督になるつもりは無く、偶然入った映画の世界。
当時の映画業界はひどい労働環境で、監督にまるで奴隷のように扱われたことで、一度は監督にならなければ報われないと感じていた彼。
その生活に1年間耐えたら、根性があると認められて助監督の仕事をやるようになった。
そして、22歳の時に監督デビュー。当時でも異例の抜擢だった。

しかし、その直後に映画界を離れる。「一度は監督に」という想いが叶ったからだ。
そして、転機が訪れる。

さあ…
映画監督
高橋伴明様の登場です!

「この泥あればこそ咲け蓮の華」

一度でも監督が出来ればそれで満足だと思って離れた映画の世界でしたが、何か消化不良みたいなものを感じていました。
とはいえ、もう一度映画監督をやりたいとは思ってはおらず、積極的に映画の世界に戻ろうとも思っていませんでした。
ただ、映画監督をするならばストーリーを作れなければいけないと、シナリオを書くことは続けていました。

数年経ったころ、ある監督から依頼されたシナリオを渡しに行った際に、たまたまそれとは別にオリジナルの作品も持って行ったんです。
そうしたら監督が、依頼したものよりオリジナルの方が気に入ってしまい、そちらを撮りたいと言われ、しかも依頼されたシナリオの方は私が撮るように言われました。
これがきっかけで映画界に戻ることになってしまいました。
それからは監督業一筋でやっているので、考えてみれば不思議な話ですよね(笑)

今までに監督として苦労をしてきたことと言えば、やはり「お金」でしょうか。
映画を撮るには、相当な予算が必要です。
実際に、撮影開始3日で「こりゃ相当な赤字が出るな」なんてこともありました。

今回撮った映画は、自分自身としても20年ぶりに「性表現」にかなり切り込んだ作品にしました。
映画の性質からいっても、通常なら資金にはとても苦労するでしょうね。
でも、自分の老後のために貯めていた資金や身内などからも出してもらい、ほぼ自力で工面しました。

実は、この映画を作ったのは「若者たち」に感じた、ある想いからでした。
現在、京都造形芸術大学教授で映画学科長として教壇に立っているのですが、今の若い学生たちが作る作品を観ると、「性への表現から逃げている」とはっきりと感じました。
映画で描くべきシーンにおいても、性的な部分をとにかく避けている。それが不満でした。
やはり、人間を描くときに性の問題は避けて通れないはずですからね。

そこで、学生たちに「性表現をやり切る現場に立ち会わせたい」という思いから、今回の作品を企画することにしました。
プロの俳優は4人だけ、あとの出演者やスタッフのほとんどは学生という布陣でしたから、通常の映画製作では考えられないミスやトラブルが連発で、それをどうリカバリーしていくか、本当に今までの映画の中で、一番頭を使いましたね(笑)

でも、今回のことで「性表現」とは、「人間を描く」とはどういったものなのか、若い学生たちには短期間でしたけど、しっかり伝えられたと思います。

◆映画『赤い玉、』は、監督・高橋伴明×主演・奥田瑛二(65)で、人生の半分を過ぎようとする男たちが探し続けている“不確かなもの” 、人間が誰しも経験する“老い”が“性”にも追いつく時間を葛藤と焦燥感に苛まれ、それでも求め続けるしかない人生を描いた。

あらすじ:大学で映画撮影の教鞭をとりながら、自らは新作映画の撮影に入れないでいる映画監督・時田修次。
映画とは自らの経験が投影される、そう考えている時田は、まるで自分が映画の登場人物ででもあるかのように人生を流浪しているようにも見える。
新作の脚本にとりかかる時田の私生活には、30代の、理解のある美しい女・唯がいるが、その現実から虚構(映画)の世界に誘うように時田の前に現れる一人の女子高生・律子。
世界の境界さえも喪失していくように、いつしか律子の存在が時田自身の人生を狂わせていく……。

出演:奥田瑛二・不二子・村上由規乃・花岡翔太・土居志央梨・上川周作
柄本佑・高橋惠子

監督・脚本:高橋伴明

公開:2015年9月12日よりテアトル新宿他にて全国ロードショー

◆株式会社ブロウアップ
http://www.blow-up.jp/

◆映画「赤い玉、」公式サイト
http://akaitama.com/

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