頭では分かっていても、やってはいけないことをやってしまう「やんちゃくれ(不良)」だった。
「自分はこんなところにいるべき人間じゃない」という想いから運命が動き出す。
彼は昔から運動能力には自信があった。
体は大きく、小学校で100キロを超えていたけど、足は誰よりも速かった。
「ここから抜け出すためには自分を変えなくてはダメだ」と、親元離れて、敢えて厳しい相撲の世界でどれだけ通用するのか、試したいという想いで相撲部屋の門をたたいた。
それが16歳の時だった。
さあ…
元大関千代大海
佐ノ山龍二様の登場です!
「百錬成鋼」
不良をやっていれば、自分は将来こんな大人になるのだろうと想像できるような、悪い先輩や大人と付き合うようになる。
でも、その中に自分がカッコいいと思えるような、理想とする「姿」は全くなかった。
このままでは、いずれはあんな大人になってしまう。
だから自分磨きのためには修行をしなければ。
それには、厳しい相撲の道が一番だと思った。
喧嘩が強かったり、柔道で実績を挙げていたり、力自慢で大きな体を持っている全国から集まったライバルたち。
そこで自分がどれだけ通用するのかを試したかった。
実際に相撲部屋に入ってみると、先輩力士たちの凄さに驚いた。
もちろん腕力もそうだが、「身体の芯の強さ」や「眼光のするどさ」が違っていた。
ただ、自らを鍛えるために相撲の世界に入ったのだから、負けてなんていられない。
人の3倍、いや5倍は稽古をしたかもしれない。
ひたすら稽古に打ち込み、2年3か月の記録的なスピード出世で十両に昇進することができた。
そして幕内優勝も果たし、大関まで登り詰めた。
しかし、さらなる高みを目指すためには、それまでの「突き押し」だけでなく、「まわしを取り四つに組む相撲」を取り入れるべきではないか?と言われることが多くなった。
そのうえ、師匠は「四つ相撲の神様」と言われた千代の富士(現・九重親方)。
スタイルを変えるために教えを請う方がいいのではとも言われた。
ただ、自分の信じる道は今までやってきた「突き押し」だけ。
まったく迷うことは無かった。
だから、誰に何を言われようと聞く気もなかった。
師匠も自分の性格を分かってくれているから、何も言わなかった。
むしろ「自分の相撲を変えるぐらいなら横綱になれなくてもいい」と本気で思っていた。
自分を曲げるようなかっこ悪いことはしたくなかった。
もし夢を叶えたいと思うなら、そこには意味があるべきだと思う。
覚悟を持って、命を削っても叶えたいと思えるような夢を持った方がいい。
そして、一つ夢を叶えても、そこで満足してはダメだ。
次の夢を目指した方がいい。
夢はいっぱい持っていていい。
それを一つずつ叶えていければいい。
「夢」を叶えるためには、
弱音を吐かない
愚痴を言わない
素直になること
考え方を柔軟にすること
軸を曲げない
自分の理想の「セルフイメージ」を思い続ける
その具体的なプロセスを考え、緻密に実行していく
それが出来たから、今の自分があるんだと思う。
◆九重部屋公式サイト
http://www.kokonoe-beya.com/