“奥井海生堂”
明治4年創業。
大本山永平寺、大本山總持寺の御用達昆布処でもある同社は、全国の有名料亭の出し昆布をはじめ株式会社そごう・西武をはじめとする有名百貨店でも各種昆布商品を販売。
その4代目社長である本日登場のスゴい人は、昆布はワインと似ていると語る。
ワインの原料となるぶどうの日照時間が出来を左右するところや、熟成させることで旨味が増すところなど、ワインと共通するところがたくさんあるのだそうだ。
こうした独自の切り口で「コブリエ」としての講演も国内外で行い、日本独自の昆布の旨み文化を伝え続けている。
さあ・・・株式会社奥井海生堂 代表取締役 奥井隆様の登場です!
「昆布の底力」
昔は、昆布は流通がしっかりしていましたので、欲しい物が欲しい時に手に入りました。
しかし私が大学を出た頃には温暖化の影響などもあって昆布の出来が悪くなり、お客様に良いものを届けられなくなってしまいました。
そこで私は、30代の頃に先代までは行ったことの無かった北海道へと渡ることを決めました。
北海道で漁師さんの声を聞き、生きた昆布を見て、昆布を販売することで生活している身として熱いものを感じました。
それ以来、毎年通って漁師さんと話すようになり、環境による昆布の出来の違いなどを知ることができました。
そして私が学んだことを今度は北海道の米の卸売会社であるそうべいさんにお伝えしたところ、新規事業として昆布の取り扱いを始めることになり、私は担当の佐藤さんと二人で、道内のあらゆる昆布を見るため2000kmにおよぶツアーをしました。
このツアーは十数年間続き、こうした地道な活動の結果、良い昆布を仕入れることができるようになりました。
販売に関しても、父は石橋を叩いて渡る人ですので、以前は地元のスーパーとも一切お取引はありませんでした。
ですが、ある時西武百貨店 池袋店さんからお取引の申し出があり、担当の方が熱心に通い詰めてくださったため西武に初めて出店し、広告に掲載されたのをきっかけにほかの百貨店さんにも評判が広まりました。
8年前、パリ日本文化会館で講演をして初めてフランス人に昆布を食品として食べてもらったところ「美味しい」という声をいただき、これはいけると確信を持ったのです。
それ以降、パリの星付きレストランでは何らかの形で昆布を使っていて、近年ではイタリアンなどにも昆布が使われるようになり、世界のベストフィフティーに選ばれたデンマークのnomaをはじめ世界へ輸出しています。
今後、昆布の旨みの文化を伝え続けるためには若い人に伝えなければなりません。
父は、良いものは何もしなくても売れる、という考えですが、私は良いものこそ見た目も良くしようと越前和紙を包装に使用するなどして、より多くの人に手に取っていただけるように努力しています。
私たちの会社に営業はおりません。
営業で取ったお客様は営業でひっくり返される。
それならば、良い昆布を集めることに注力しようという先代の教えに基づき、今は5つ目の昆布倉庫を建設中です。
良い昆布が取れた時に確保してお客様に常に良いものを届けられるよう、これからも努力を続けてまいります。
◆株式会社奥井海生堂
http://www.konbu.jp/
※一部携帯では見られない可能性があります。