プラントハンターとして世界を飛び回り植物の魅力を届けるスゴい人!

意気込んだ末、まさかの逮捕…

自分の価値観を壊した、植物との出会い

世界一のクリスマスツリーを日本に!

人類にとって、目に見えないところでお世話になっている植物。
彼らは人類誕生の4億年以上も前から地球に生息し、その種類は40万種を超えるといわれている。
本日登場するスゴい人は、そんな植物を追いかけ、日本全国、世界各国を飛び回るプラントハンター。
幕末より 150年続く花と植木の卸問屋「花宇」の五代目を背負う身でありながら、もともと植物には全く興味がなかったという。
何が彼の心を突き動かしたのだろうか?

さあ…
プラントハンター / そら植物園
代表 西畠 清順様の登場です!

厳しい世界から一転、自由な生活へ

小学2年生から少林寺拳法、中学から高校まで野球をやっていて、男の世界でずっと来たのかなと思います。
本当に一般的な男の子で、冒険好き、ヒーローもの好き、それから強くてかっこいいものに憧れました。
今は大人になって、強くてかっこいいものがウルトラマンやガンダムから巨木に変わったんですけど。
高校卒業後、植物の仕事をする上では英語は必要だろうと思い、オーストラリアに留学しました。
高校3年間は厳しい部活動の規律の中での生活で、朝は4時半集合、昼休みはグラウンド整備をするのが当たり前でした。
ただ、オーストラリアではそういうこともなく、のんびり起きて、昼休みはゆっくりご飯を食べて、放課後も自由。
「こんな天国はない!」と思いましたね。
色々な国の人と自由な空気の中で触れ合ったことは、今の人格に影響したのかなと感じます。

意気込んだ末、まさかの逮捕…

1年半で日本に戻り、家業に入りました。
最初は冬の山にこもって、生け花に使えそうな枝を山から切り出して持ち帰る仕事をしました。
ある時「どうせ枝を切るなら一番を極めたい」と思いました。
富士山の森林限界を超えた先は保護林に指定されている地域で、植物の採取を行うためには許可が必要でした。
そこの枝を切って、逮捕されてしまいました。

仕事って何だ?植物と向き合うきっかけ

プラントハンターとは植物を採りに行って届けることが仕事。
この仕事の本質とは何なんだろう?
逮捕という強烈な体験が、考えるきっかけになりました。
今までは作品を作るために、誰かに頼まれたから、自分たちが食べていくために、などの理由で木を切ったり掘ったりしていました。
それからは、もっと植物をリスペクトして、植物をハンティングすることで植物の環境を守れるような存在になりたいと強く思うようになりました。
後の「そら植物園」の活動にも大きく影響したと思います。
この経験が無ければ、父や誰かの指示のままに山に登って枝を切っている奴になったかもしれない。
そう思ったら、すごく大きな転機でした。

自分の価値観を壊した植物との出会い

もともと植物が「おもろない」と思っていた自分が興味を持つようになったのは、ある事件がきっかけでした。
ある時、興味本位でボルネオ島にある高さ4000メートルのキナバル山に登ったんですよ。2日かけて登った帰りに、世界で一番巨大な食虫植物に出会って「うわー!」ってなって。
猛烈なインパクト、圧倒的な存在感でした。
しかもその植物に出会った場所が雲の上じゃないですか。
異常な環境の中で恋に落ちるような。
それで植物を見る目が変わりました。
あの時のインパクトから、学んだことがあります。
人はきっかけがあって初めて、植物に目覚めるかもしれないということ。
自分が経験したことを、他の人にも経験してもらうきっかけを作りたいと思って、「そら植物園」という活動を起こしました。
まずはみんなに植物に対して“モノゴコロ”ついてもらうきっかけを届けること。
そして、その“モノゴコロ”つくきっかけは、植物は守らなきゃいけないもの、尊いもの、素敵なものなんですよっていう魅力を伝えること。
これを活動の理念にしています。

やりたい仕事がないなら、自らの手で創る

仕事を始めた当初は、植物を海外から輸入して売ることは、ほとんどできませんでした。
たまに行って箱で持ち帰ってくるレベルだったんですよ。
普段の仕事の流れは、国内の農家から植物を仕入れることでした。
ただ、市場とか日本の産地を回っても同じような植物しかなく、かっこいい植物がないなって感じていました。
一方、海外の植物の原産地に行くと、雄大でワイルドで、かっこいい植物がたくさんいるんですよ。
その風景もかっこいい。
休みの日は行けるだけ海外に行って「俺はあの景色を切り取って日本に持って来たい」「この植物の本当の魅力を伝えたい」と。
それで海外から植物の輸入をやりたいって思って。
ただ、最初は親からめちゃくちゃ反対を受けました。
でも絶対にやる!と決めて少しずつ少しずつ始めましたね。
当時はお金がなく、自分の給料を投じて少し売っての繰り返し。
そんなギリギリの中でやりくりしていたのが、次第に何万円、何十万円、何百万円の取引に増えていきましたね。

機が熟す、そのときまで

仕事が増えたきっかけにプレゼンテーションがあったと思います。
自分は仕事を始めてから10年間、一切表に出ませんでした。
貯めて貯めて、いつか自分の言葉で語るときは、自分の足で立てるときにしようと思っていたんです。
今だろうなって思うときがいつか来るだろうと。
人って自分のやっていることを宣伝したくて、実力も伴ってない時期から表に出ちゃうと思うんですよ。
ただ、自分の中で「これは違う」と思い、30歳になったらちゃんと出ようと決めました。
みんなは、一つの植物に対してデザインや結果を売るんですよ。
でも僕の場合は、なぜ運んでくるのか、どうやって運んでくるのかという背景をプレゼンテーションしました。
それは植物業界にはなかったことなんです。
それを始めたのが30歳くらいで、年間取引量が2トンだったのが20トンになり200トンへと増えていきました。

辛いことはない、全部オイシイ

肉体的に辛い、精神的に辛い、金銭的に辛いとかは慣れすぎていて、あんまりないですね。
やばいなってくらい仕事が溜まっていても、結局この状況を冷静に見たら「これはオイシイよな」って思うから。
だいたいの現代人は贅沢病になっていて、原始人だったらそんなこと言っていられないじゃないですか。
俺だけがしんどいわけじゃない。
多分あの人はもっと崖っぷちだろうなって思ったら、辛いとか、チャンスを得た・失ったとか、一喜一憂しなくても、好きな植物を使って毎日仕事ができること自体が自分にとっては究極の状態だから。
ただ、一つだけ言うと嫉妬かな。
植物界は嫉妬とパクリが多くて、それはものすごく受けていると思います。
でも、人生って面白いことだけにならないんですね。
理不尽なものに出会うのが当たり前なんですよ。
理不尽なものが許せないって思っている時点で、まだまだ経験不足なだけだと思っています。

世界一のクリスマスツリーを日本に!

これから実現したいことの1つは植物で世界を変えること。
もう1つは今年の年末に、世界一のクリスマスツリーを神戸に立てるプロジェクトです。
今は、ニューヨークのロックフェラーセンターのツリーが一番でかくて、全米が生中継して世界中が放送するんです。
その翌日、それ以上にでかいのを公開する予定です。
船をチャーターして、富山からあすなろの木を運んできます。
人類史上最大の樹木輸送プロジェクト、是非多くの人に見ていただきたいです。
歴史上の事件にしようと思っています。

取材を終えて

西畠さんは、自分が数年前にテレビ番組で拝見した時、「この人のエネルギーは何だ!?会ってみたい!」と思った人である。
取材依頼をさせて頂き、快諾頂いたがあまりにスケジュールが忙しいため取材実現まで半年近く、そして取材時間も30分だった。
西畠さんとお会いした瞬間に素晴らしい人だと一瞬にして感じぐらい雄大なエネルギーを持っていた。
取材場所は「そら植物園」がある代々木ヴィレッジだったが、まるで植物園の様である。
植物を輸入する時は検疫を通すため、葉も根についている土も全て落とすのだという。
まるで手足を失った状態であるが日本に運ばれ芽吹く瞬間を目にすると一瞬にして生命の力強さに感動を覚える。
この感動体験を表現している「そら植物園」は素晴らしい活動だ。

プロフィール

西畠 清順(にしはた・せいじゅん)
そら植物園(株代表取締役社長。21歳より日本各地・世界各国を旅してさまざまな植物を収集するプラントハンターとしてキャリアをスタートさせ、今では年間250トンもの植物を輸出入し、日本はもとより海外の貴族や王族、植物園、政府機関、企業などに届けている。2012年、ひとの心に植物を植える活動・そら植物園を設立し、名前を公表して活動を開始。初プロジェクトとなる「共存」をテーマにした、世界各国の植物が森を形成している代々木ヴィレッジの庭を手掛け、その後の都会の緑化事業に大きな影響を与えた。
2017年末、開港150年を迎える神戸にて、世界一のクリスマスツリープロジェクトを立ち上げ、現在人類史上最大の生命輸送プロジェクトとして進行中。

◆そら植物園株式会社 http://from-sora.com
◆目指せ!世界一のクリスマスツリープロジェクト http://soratree.jp

著書
◆『プラントハンター 命を懸けて花を追う』(徳間書店) http://amzn.to/2gJ8m1p 
◆『教えてくれたのは、植物でした 人生を花やかにするヒント』(徳間書店)  http://amzn.to/2yM5wzC
◆『そらみみ植物園』(東京書籍)  http://amzn.to/2zGZfSC
◆『はつみみ植物園』(東京書籍)  http://amzn.to/2yL3ksb

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