本日登場するスゴい人は、宮城県仙台市で元禄元年より320年以上続く歴史ある企業を受け継ぎ、大変革を成功させたスゴい人。
仙台伊達家御用酒蔵「勝山」、杜の都の迎賓館「仙台 勝山館」、日本料理「醇泉」、本格石窯ナポリピッツァ「ピッツェリア・パドリーノ」、手作り無添加ソーセージ「仙台勝山館ソーセージ」と多角的な経営を行い、伝統ある同社を守り続けると共に、新規事業や変革にも積極的に取り組んでいる。
彼は2002年より同社の代表取締役に就任し、すぐに改革に着手して、ウェディング事業は2年以内で270%の売上増を実現するなど、各事業で改革を成功させた。
中でも日本酒事業は、既存の商品をすべて終売するという大改革で、社内からの反対も大きかったという。
彼が改革にかけた想いとは?
さあ…
仙台 勝山館
代表取締役社長
伊澤泰平様の登場です!
「決断」
男5人兄弟の5番目に生まれ、昔から独立志向で、将来は東京で事業をしたいと思っていました。
そのため、大学を卒業後は富士銀行(現みずほ銀行)に勤めていましたが、32歳の時に父に呼び戻されて社長として会社を継ぐことになり、変革の日々が始まりました。
当時、会社全体に不採算の事業や商品がありました。
日本酒も例外ではなく、38種あった商品がそれぞればらばらのネーミングやボトルを使用しており、ブランドの一貫性がなくなっていたことが不採算の原因となっていました。
私はブランドの再構築のため、すべての商品の販売を辞めることを決めました。
売上の85%を占めていた本醸造、吟醸、大吟醸の生産を辞め、ラベルやボトルもすべて統一し、純米、純米吟醸、純米大吟醸、そしてフラッグシップの純米大吟醸遠心しぼりのたった4種類に絞りました。
工場移転の際に工場の生産規模を6分の1以下に縮小し、大量生産から少量の高級品種を製造する工房のようにシフトしました。
この大変革に、社内からの反対もありました。
しかし視点は今ではなく、30年後、50年後の未来を見据えて、変わる余裕も無くなるほど苦しくなる前に、まだ余裕がある今、変革をしようと説得しました。
これは私がアウトサイダーで、企業に浸かっていないからこそできたことだと思います。
決断以外に変革はありません。みんなが心地良い、曖昧な決定では変革はできませんので、反対されるくらいで良いのです。
最初の2年間は赤字を覚悟して、社内の他事業で赤字分を補いながらブランドの切り替えをし、新たな4種類で勝負をかけました。
その結果、一貫した“勝山ブランド”を確立することができ、全日空のファーストクラス・ビジネスクラスに2年間3品種が採用されるなどブランドが認められ、現在では順調に成長しています。
父からは「お前は何でもぶっ壊す」と言われますが、核となる部分を受け継いでDNAを残していますし、創造的破壊だと私は考えています。
老舗企業というのは、看板や先代の築いた信用のもとでチャレンジし続けて生き残ってきた企業だと思うのです。
現状維持は衰退です。常に変化していなければ、周囲の変化において行かれてしまいますので、変わっていないようで変化し、最高の品質を維持し続けているのです。
現在は、つくり手として若手社員を育て、未来のために技術の伝承をしています。
今後は品質最優先で、より高級品種の比重を大きくすると同時に、海外へ積極的に展開していきたいと考えています。
◆仙台 勝山館
http://www.shozankan.com/
◆伊達家御用達 勝山
http://www.katsu-yama.com/