倒産寸前の町工場を世界が注目する鋳物ホーロー鍋で立て直したスゴい人!

水を使わずに調理できる無水調理鍋をご存知だろうか。
鋳物ホーロー鍋は近年世界で人気を博しているが、海外製品は密閉性が低い。
この問題点に気づき、遠赤外線の放射熱を放出する鋳物ホーロー鍋作りにチャレンジした人物が、本日登場するスゴい人。
0.01mm単位の精度で削り込む職人技で、今や世界一の密閉性が実現された。

この鍋が生まれたのは、名古屋にある町工場。
「ドビー機」という繊維機械を作るメーカーであったが、世の中の流れで下請け工場となり、倒産寸前まで追い込まれていた。
その状況から、いかにして世界最高峰の鍋が生まれたのだろうか。

さあ…
愛知ドビー株式会社
代表取締役社長
土方邦裕様の登場です!

「もう一度世界に誇れる製品を」

私が幼いころは繊維業界が盛り上がっていて、会社では60人程が働いていました。
しかし景気が悪くなるとドビー機メーカーの立場は厳しくなり、下請けの仕事が増え、従業員も20名弱まで減りました。

大学卒業後商社に入社しましたが、4年経った頃、新たな道へ転職を考え父に相談すると、「同じリスクを取るならうちの会社をやってみたらどうか?」と言われたのです。
自分の代でつぶしたくないという想いもあり、まずは現場に入り、一から技術を覚えました。
会計の勉強をしていた弟に月次決算書を見せると、月2200万円の売上がないと潰れると言われ、それを目標に毎日モノを作っては納品し、次の仕事を貰って帰ってくる日々を5年続け、ようやく赤字を脱しました。
そして、弟に「精密加工部門を見て欲しい」と声を掛けました。
当社は鋳造部門と精密加工部門があるのが強みですが、全く分野が違うので一人では厳しかったのです。
弟と力を合わせ、鋳造と精密加工を行えるという強みを活かして大手の仕事を受注することができ、やっと少しの利益が出ました。

安定するかと思った矢先、リーマン・ショックで売上が激減。
この時、下請けだけでなく自社商品を作ろうと決意しました。
海外でホーロー鍋が流行っているけれど密閉性が悪いと知り、自社の強みを活かせると思いました。
開発は順調に行かず、3年半かかりました。
ただ、100個作ると1個くらい料理ができる鍋ができて、実際に料理をすると驚くほど美味しかったので、諦めることはありませんでした。
品質はじわりじわりと上がって行きました。
完成後は営業はせず、お料理ブロガーに鍋を渡し、使った感想をブログに書いてもらいました。
すると発売前にテレビの取材が入り、月に50個売れれば良いと思っていた所、300個の予約が入りました。
スタートから6ヶ月待ちの商品となり、雑誌やテレビで更に取り上げられる事に。
今では月間4000個製造できるようになり、従業員も80名と父の代を超える事が出来ました。

どん底からのスタートでしたから、とにかくやるしかなかったです。
黒字経営だったら弟も呼ばなかったし、大きなチャレンジもしなかったでしょう。
今でも経営は大変ですが、それ以上に嬉しさもあるし、何より応援してくれるお客様がいることが幸せです。
アジアは進出できたので次はアメリカとフランスに向けて準備をし、世界中に美味しい料理をお届けします。

◆メイド・イン・ジャパンの鋳物・ホーロー鍋、VERMICULAR (バーミキュラ)
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