
格闘技界のプリンス。ついそんな言葉が浮かんでしまう。180cmを超える身長に、端正なマスク。ハードな練習の直後に声をかけても、爽やかな笑顔で応えてくれる。そんな彼は白鳥大珠選手だ。小1で極真空手を始め全日本を獲り空手少年として注目を浴び、その後キックボクシングではRISE WORLD SERIES 2019 -61kgトーナメント王者、第5代RISEライト級王者、RIZIN KICK ワンナイトトーナメント優勝と、数々の輝かしい成績を持つ。一見すると順風満帆な道を歩んできたように見えるが、そこには人知れず大きな挫折も。白鳥大珠様29歳、ここまでの格闘技人生を伺った。
人生一回
人生を変えた運命の着信
そんなある日、友人と居酒屋で飲んでいるとき、知らない番号から着信があったんです。登録されてない番号だったんで、無視して飲み続けました。店を出てから、なんとなくその着信が気になったんです。普段はそんなことしないんですけどふと、折り返しかけてみたら・・・
「那須川だけど」
なんと相手は那須川会長(那須川天心選手の父親・現TEPPEN GYM会長)でした。
一気に酔いがさめましたね(笑)。
かつてキックボクシングをやっていた時に関わっていた方でした。ジムに一度遊びに来いよって。めっちゃ久しぶりに連絡をくださって。そりゃもう、すぐ行きましたよ。そこで久しぶりにキックの練習をしたらめちゃくちゃ楽しくて。全然トレーニングしてない時で身体は鈍っていたので体力的にはきつかったんですけど、そんなこと忘れるくらい楽しくて。ジムで汗を流した瞬間、「これだ」と思いました。ちょうどTEPPEN GYMが設立されたタイミングのときで、また一緒にやらないか?って会長が言ってくれたんです。
すぐに決めちゃいましたね。それまで、どうしようか悩みに悩んで、就職も本気で考えてあれこれ考えていたこと、全部どこかにやっちゃって。その1ヶ月後には実家を出てジムのある千葉に引っ越してしまいました。この時まではいつも応援してくれていた親にも反対されました。心配っていうのもあったろうし、ボクシングを途中で放り投げるのか?っていう想いもあったかもしれません。でも僕はもう就職の話も断って、全てを格闘技に賭けようと決めていました。
アパートで一人暮らしを始めたばかりのときは、お金がないから自分の練習の傍ら、子供たちを教えるトレーナーをしたりしてなんとか家賃を払っていましたね。大変だったけど、やっとキックボクシングを思いっきりできるっていう喜びの方が大きくて、毎日楽しかったです。
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その後2019年「第5代RISEライト級王者」「RISE WORLD SERIES 2019 -61kg トーナメント優勝」、2021年「RIZIN KICKワンナイトトーナメント優勝」とステップを上がり続けている。そして、2025年3月29日に開幕する「RISE ELDORADO 2025」において麻火佑太郎選手とベルトをかけて対戦する。
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あの那須川会長の一本の電話がなければ、そして僕がちゃんと折り返ししていなければ、僕は今ここにいないと思います。まったく別の人生だったでしょう。本当に運命の電話だったと思いますし、その運命を手繰り寄せた自分を信じています。
試合会場に足を運んでほしい
皆さんには、一人でも多く本物の試合を直に観てほしいと思っています。一番安い席でもいい、1度でもいいから会場に足を運んでほしいと思っています。そうするとキックボクシングの面白さが絶対わかるから。Netflixの『オオカミちゃんには騙されない』にタレント出演したのも、キックボクシングを知ってもらって格闘技ファンが少しでも増えてくれたら嬉しいなと思ったからです。僕が格闘技界に貢献できるならと思って出演しました。ドラマの撮影中は試合も控えていたのでスケジュールも自分の調整も本当に難しかったんですけれど。撮影期間はホテルに滞在することも多かったのですが、練習相手に帯同してもらって。撮影が終わった22時頃からホテルの室内で練習しました。慣れない環境ですし、騒音も出さないように気を使ったりなど、それはそれで大変でしたけれど、どんな状況でもキックボクシングに向き合う精神力を養う良い経験となりました。試合を控えた自分にもいい意味でプレッシャーになりました。だって、話題の作品に出演させていただいてたら、試合に負けられなくなるじゃないですか。ドラマに出たから負けたなんて絶対に嫌ですから。どんなに人気が出ようが、やっぱり格闘技では実力が一番大事ですし、格闘家として広く知られたいですから。タレント活動のおかげで僕を知ってくれて、試合も見に行ってみようかと一人でも思ってくれたら本当にうれしいです。
世界的に認められる選手になる
直近の目標としては、まずは3月の試合に勝つこと。昨年は世界チャンピオンに負けてしまったけど、今回は必ずベルトを掴みたいと思っています。格闘技はやっぱりチャンピオンベルトは格別なんです。応援してくださる皆さんにチャンピオンベルトを持っている自分の姿を見せて恩返ししたいです。その先にある世界トーナメントでも優勝したいですね。1年半くらいかけて行われる世界的な大規模のトーナメントなんですが、そこで優勝して世界の格闘技ファンからも知ってもらえる選手になりたいですね。 僕の階級は欧州勢が強い。でも、だからこそ挑戦する価値があると思っています。世界中の格闘技ファンに「白鳥大珠」の名前を覚えてもらう。そして、キックボクシングという競技の魅力をもっと日本中に、そして世界中に広めたい。かつてテレビで観たK-1に憧れた少年が、今度は自分が誰かの憧れになる番です。僕が魔裟斗選手に憧れたように。そのためにも、とにかく結果を出すしかないと思っています。
皆さん、ぜひ会場に足を運んでみてください!
<完>
白鳥大珠様プロフィール (取材時 2025年3月13日時点)
1996年2月2日、身長183cm、体重63cm TEAM TEPPEN所属
戦歴/43戦30勝11敗1分1NC(12KO)
-RISE WORLD SERIES 2019 -61kgトーナメント王者
-第5代RISEライト級王者
-RIZIN KICK ワンナイトトーナメント優勝
-元WPMF日本スーパーフェザー級王者
試合情報
2025年3月29日(土)、東京・両国国技館にて『RISE ELDORADO 2025』が開幕。
第5代RISEスーパーライト級(-65kg)王座決定戦3分5R無制限延長R
同級2位白鳥大珠選手(TEAM TEPPEN)が、同級3位・麻火佑太郎選手(PHOENIX)とベルトをかけて対戦します。
PPV情報
PPVチケット ¥3,200
※アプリからのご購入は別途手数料がかかります。
購入はこちらから
https://abema.tv/live-event/fb8a192a-8093-4058-bedd-14589693a5d3?open_browser=true
チケット購入はこちらから https://rise-rc.com/event/rise_eldorado_2025/