多国籍の人が活躍する新宿エリアを、ボーダーレスな社会へ導くスゴい人!▶森田 應学様DAY2

今日ご紹介するのは株式会社アイロリ・コミュニケーションズ代表の森田様。常に自由な発想でアートと広告のはざまを走り抜けた過去や大久保という多国籍な町で、国内初となる地域と税務署をつなぐ運動会を開催、そして2021年に改訂された新誕生石の企画に携わるなど、真のボーダーレスの実現に取り組む、ボーダーにとらわれない生き方を実現しているそのスタイルを伺いました。

ボーダーレス

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歴史のある地元地域と新しいアイデアをつなげる場を作る

そんなことを重ねながらも、新宿の地元や家業との付き合いは長く続けていました。新宿の自治会、家業の宝石業の組合などです。そんな折、親族と鑑定協会からの紹介でマダガスカルやミャンマーやドイツなど世界各地の宝石鉱山や職人を訪ね、その報告会を頼まれるようになりました。そうした様々な経験をさせていただく中で、地域や業界のつながりの面白さは、まず歴史から始まるということに気づきました。戦後まもなく生まれた組織が現在も存続している事実。そこには規模や収益を拡大するだけの事業にはない、積み重ねた時が築いた価値がある。この長い経験と人のつながりがあるからこそ、地元企業の経営やそこに住む人々の生活環境を改善するという大切な役割があるのだと。今携わっている出来事が20年後、50年後、どう積み重ねた価値になっているのだろう? 歴史のある地域の生業(なりわい)と、新しい価値観とをどう繋げて楽しくしていけるか、そんなことをわいわいと話しながらブレストできるような場所が欲しい。それなら囲炉裏で鍋を囲みながらやろう!と思い立ち、すぐに囲炉裏を購入。それがアイデアと地域をつなげる企画サロンとなり、会社になりました。困りごとも思いつきもざっくばらんに話せる場、囲炉裏にアイデアと人が集まる株式会社iroricommunicationsです。

[高級品・高価なもの]という宝石のイメージを変えたい

2021年12月に、日本では63年ぶりに誕生石を改訂され、新たに10種が追加され29種となりました。全国宝石卸商協同組合、日本ジュエリー協会、山梨県水晶宝飾協同組合によって公式に制定されたものです。テレビなどでも取り上げられて話題になったのですが、実はこの改訂は、僕と宝石関係の友人の二人で「宝石で何か面白いことをやりたいね」と話していたことがきっかけです。それは今回の誕生石のホームページやパンフレットで使われている写真の多くが僕が撮影したものです。“皆が自由に使える素材”として写真を著作権フリーで共有しています。、今回追加された宝石も含めて、宝石には手ごろな価格のものがたくさんあります。宝石のもつ「変わらない良質なもの」をもっと若い人にも身近に楽しんでもらいたいと思っています。

新誕生石はこれだ!

 

 

国と企業と地域をつなぐ国内初の運動会

 地域活動の中でもとくに関係が深い団体が新宿間税会です。間税会は間接税の納税者で組織される税務協力団体で、もとは物品税(いわゆる贅沢税)の納税企業と闇商売を棲み分け、平等な税務執行に協力することを目的に組織されました。当時からの繋がりで、今に続く老舗企業が所属されています。税金というと「取られている」という感覚が市民の中にまだあるのが現実ですが、その使い道を知ること、税制度の改善を国税庁に提言するなどの取り組みをするのもまた間税会の役割です。新宿で会社を作ったことで祖父が立ち上げの時から携わっていた新宿間税会に誘われたわけですが、会員に老舗の企業が多い中、ここでも次第に若者代表のような立ち位置となり、会のイベントや企画や会報誌の編集等を頼まれるようになっていきました。間税会の幹部の方だけでなく税務署の方々と直接お会いする機会も増え、様々な話をする内に、企業との繋がりはあるが地域の商店街や住民の方々との接点がなかなかない、という事などを相談されるようになりました。以前の間接税と違い消費税は企業に限らず大人から子どもまで全ての人々が支払う税ですから、その税金の仕組みや使い道などについてもっとオープンな話しが出来ないか、消費税が持つ地元への社会貢献の一つとして、そして皆が自分と関わりのある問題として税について考える場をもっと広げていけたら、と思うようになりました。そこで企画したのが、子供たちに税金の仕組みや正しい税知識を知ってもらうための運動会「地域と消費税と企業の運動会in新宿」の開催で、税クイズ綱引きや新宿高野提供の「メロンパン」のパン食い競争、借り物競争など、税務署と企業と地域の人たちが一緒になって楽しみ、親睦を深めました。税務署が関わる組織がこのように民間とフランクな交流をするのは実は国内初だそうで、新聞をはじめとする多くのメディアで取り上げられ、国税局より顕彰状もいただきました。このことは東京国税局を通して全国の税務機関に伝わり、話題となりました。その他にも、新宿税務署の改築の際には旧税務署庁舎を使ってリアルスプラトゥーンと題して子供たちも交じってペンキの掛け合いをしたり、新庁舎に子どもたちを招いてスタンプラリーをしたりなど、お固いイメージの税務署がもっと身近になるようなイベントを企画してきました。地域と行政とのボーダーレスな交流です。そんなものは実現するわけがないと思い込んでいたらスタート地点にすら立てない。でも、思いついたらやってみる、話をしてみる。そこで人と人とのつながりが生まれ、扉が開くのだと思います。

運動会の様子。新聞にも掲載されました

 

 

 

 

新しい状況をどんなときも楽しむ

今、脳のがんのステージ4で、頭に機械を装着しています。日本で導入が始まってまだ2年という、非常にレアなもので、通っている大病院でも3人目、約3日間頭に装着し続け、その間は風呂にも入れず遠出も出来ず、外せるのは1日弱。もともと軍事目的で開発されたというこの機械。頭に戦車を乗っけて毎日を過ごしているかのような、そんな無茶苦茶な状態の現在ですが、ここでも前例や常識を覆し、不思議な記録をはじき出す予定です(笑)

奥様が慣れた手つきで装着をサポート

 

心に境界線が無い環境で自由な発想が生まれる

 ボーダーレスはとても大切な指標だと考えています。境界線を意識しない環境があって初めて心が自由になることができ、本当に必要な発想に気づけると考えています。例えば、すごく良い発想だけど外部の人は関係ないとか、みんなが幸せになる仕組みだけど儲からないなど、内外や稼ぎなどの境界線を前提としてしまうことが心をしがらみに閉じ込めてしまう。一旦はそういった境界線を脇において、自由な発想を許容できる柔軟な社会であれば良いのにと思います。僕自身は、学校では席に座ってなければいけないとか、部署間のしがらみとかの身の回りの制約を無視して、学校を脱走したり勝手にイベントを立ち上げたり、無意識にそんな制約を飛び越えて行動していたのかもしれません。今回の脳のガンでの不自由な状態ですら、さらに新しい未来の可能性や面白いことと捉えて楽しんでいけると考えています。大切なのは、心を制限している境界線があるか?損得とか倫理とか上下とかの枠をはめて心を支配しようとするゲームに参加していないか?など、心の現在地を自らに問いかけ、知ることだと思います。価値観が違うことで分断するのではなく、共有できる価値観を探し、ボーダーを取っ払って共に前へ進んでいく方が楽しいし面白い。地元の大久保周辺は、国籍の多様化が著しく、事業経営者に外国籍の方も多くなりました。この新宿で古くからの住民と多様化した現在とのボーダーレスなつなぎ役であり続けたいと思っています。

 

◆プロフィール

森田應学(もりた おうがく)

東京都新宿区出身

多摩美術大学グラフィック科卒

(株)アイロリ・コミュニケーションズ代表

新宿間税会常任理事 青年部長

https://shinjuku-kanzeikai.jp/

東京国税局間税会連合会理事 青年副部長

 

 

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