エンタメを仕事にできるカルチャーを目指し、インフルエンサーを育てるスゴい人DAY1

TwitterにYouTube、TikTokにInstagram。そして2021年には「Clubhouse(クラブハウス)」が登場したSNS。現代はSNSが話題の先行を攫うことも少なくありません。SNSユーザーの中でも多くのフォロワーを獲得しているインフルエンサーは、時に企業からPRを請け負うなど、既存メディアやタレント顔負けの広報力を発揮します。そんなインフルエンサーが所属している事務所を運営し、企業や個人のTIKTOK・YOUTUBEをコンサル・アドバイスしているのが、パフォーマーのロボットのぞみさん。彼は1年で「内山さん」というアカウントをコンサル指導し400万人フォロワーを増加に成功し、様々な一般企業のアカウントもコンサル指導・編集などもしています。今回はご自身のルーツやインフルエンサー事業、今後の展開について伺いました。

 見どころ

-両親がいなくなったのは1歳のとき

-アメリカで心理カウンセラーの免許取得

-TikTokで世界に知られたきっかけは祖母

DAY2を読む

両親に捨てられた自分は愛が欠けていると思っていた

 ──どのような子供時代でしたか。

 沖縄のとても小さな村で産まれました。沖縄本島の北部、山原(やんばる)という地域です。人が全然いない場所で「いつかこの村を出て有名になりたい」と思っている子供でした。両親は、僕が1歳の時に僕を捨てて出ていきました。今は行方も知りません。僕を育ててくれたのは祖母でした。両親がいないことは、僕にとっては、乗った車のオプションにCDプレイヤーがついていなかったというくらいのレベルなんです。ないと少し不便。でも走るには全く問題ない。そんな存在です。

 

──ロボットのぞみという名前は、生い立ちと関係があるのでしょうか。

 人間の心には喜怒哀楽があるじゃないですか。その感情のひとつひとつに、個性があります。例えば、子供が1,000円を無くしたとして、親がどう対応するか。叱るにしても、怒ったり諭したり、一緒に探したり、人によって取る態度は異なります。あくまで、僕個人の考えなのですが、祖母は祖母の育て方があって、僕はそれを受け取ってきました。おばあちゃんという存在は甘やかしてくれます。愛情をたくさん受け取りました。一方で正しいこと、正しくないことが曖昧だったように感じています。

両親はそれぞれ子供とも祖母とも違う別の個性です。でも彼らにどんな違いがあったかも、受け取っていない僕にはわからない。受け取るはずだった親の愛を受け取らなかった僕は、本当の愛を知らないロボットなのかもしれないと思っていました。

ロボットというのは、自分の人生を表しています。世の中の問題に向き合って癒やしていくロボットなんです。

愛を表現するパフォーマー『ロボットのぞみ』の誕生。そしてより飛躍するために心理カウンセラーを目指し、アメリカへ

 ──愛をテーマにしたパフォーマーとして活動されて、どうでしたか?

 2012年、パフォーマンスだけで人の心を癒やしたり、イジメや自殺を止めたりすることは難しいと感じるようになりました。そこで心理カウンセラーの勉強をして、アメリカで免許を取得しました。人の心のことをよく知って、自分のパフォーマンスに還元したかったんです。

 

──アメリカまで勉強しに行かれたんですか! 大変だったのでは。

 いえ、全然楽しかったですよ。人の心のトラウマや恐怖がなぜできるのか。どういう風にすれば、その傷が癒せるのか、知ることができました。

例えば、今、手を振りかざせば、殴られた人がいるなら、経験則で「殴られるかもしれない」と身構えますが、赤ちゃんはそうはならない。それは人間が過去の記憶から行動がつながるからです。これがトラウマです。

そこで、同じ手を振りかざす行動に合わせて、楽しい効果音や歌をつけてみる。こうすることで、記憶に対して、新しい印象を上書きできます。そんなことを学びました。

 

──思い切りがいいですよね。東京に来られた時もそうでしたか。

 祖母と叔父が家族でしたが、残ってやっていこうとは思っていませんでした。出ていくには自分でどうにかするしかないので、パフォーマンスでやっていこうと思いました。東京にはヘブンアーティストという、パフォーマーのための認定審査があるので、免許を取って活動していました。

舞台の面白さを知って自分の劇団を旗揚げ

──蜷川幸雄さんの舞台にも参加されたと伺いましたが。

ヘブンアーティストのプロデューサーの方が、蜷川さんとお知り合いで、声をかけていただきました。実際に舞台を経験して、面白いなと。

半年後には自分で劇団を立ち上げていました。全くの素人からの挑戦です。誰かの舞台に参加するのではなく、自分で全部やってみたかったんです。

ありがたいことに、観客は300人程度集まりました。ただ評価は散々でしたね。暗転を40秒も使ってしまったり、舞台での面白さは何かということも全くわらからずに作ってしまいましたから。

舞台は何度もやりました。経験を積んでいくと、うまくなっていきます。僕の人生、トライ・アンド・エラーですよ。切替ができる方なので、ネガティブな評価も翌日には別のことを考えていました。

 

──現在はインフルエンサーやパフォーマーの事務所を運営されていますが、人に任せたりしないでパフォーマーもまとめ役もされているのは、全部自分でやりたいという理想があるからでしょうか。

 僕の場合は『広く、浅く』なんですけどね。全部把握していると、やりやすいじゃないですか。指示も出しやすいので。

 

祖母の入院時に上げたTikTokがバズり、世界中に広まっていく

──TikTokのコンサルティングもされていますが、ご自身もTikTokをされていますよね。

 2019年、祖母が急性白血病で他界しました。その看病をしていた時に何もすることがなくて、ふと『この祖母との時間を世の中に発信してみよう』と思い立ったのがきっかけです。そしてこの祖母との生活を撮影した無名の僕の動画が、いきなり再生回数が1日で100万回に到達したんです。

 

──全国区で広まったことをお祖母様はご存知だったんですか?

 知らないですね(笑)。何か撮ってアップしていることは知っていましたが、何か撮ってやっているくらいの認識でした。撮っていても「やめてよ〜笑」というくらいです。広がったのを伝えると喜んでいました。

 

──YouTubeやInstagramではなくてTikTokを選んだのはなぜでしょうか。

 何気なくなんですが、その気負わなさが一番良かったのかもしれません。後に知ったんですが、YouTubeとInstagramとTikTokは、アルゴリズム――伸び方が違います。

Twitterだったらフォロワーがいないと上げた動画を広げる人がいません。Instagramではタグ付けが必要などの対策が必要です。YouTubeは誰かが検索をしてくれないとなかなか伸びません。TikTokはその点、全く違って、動画が良ければ伸びるんです。たまたま僕が上げた動画はTikTokのユーザーに受け入れられるものだったので、バズることになりました。

 

──お祖母様の動画がTikTokで響いたのはなぜでしょうか。

 物語性があるCMのように、TikTokでもそれに近く、短い中にインパクトがある見たくなるものが濃縮された要素が重要です。ショートムービーのようなものをスパッと見せていくことが必要です。わかりやすく言うとYouTubeは番組なので、自分で開かないと出てきません。

TikTokは、みんが評価した動画が流れてくるので、いいものが勝手に視界に入ってくるんです。

 (2DAYに続く) インタビュー・ライター:久世薫

ロボットのぞみ(ろぼっとのぞみ) プロフィール:

インフルエンサーが多数所属している株式会社RPGエンターテインメント代表。プロデュースやコンサルをはじめ、活動内容は多岐にわたる。自身もパフォーマーであり、演出家・蜷川幸雄氏の舞台に出演したことをきっかけに劇団を立ち上げる。世の中の問題をテーマとしたパフォーマンスで知られており、テレビや舞台、各種メディアで活躍。現在では学校も設立し、パフォーマー育成にも注力している。

 

公式サイト:https://www.robotnozomi.com/

Twitter:https://twitter.com/ROBOT_NOZOMI

公式ブログ〜のぞみの日記〜:https://ameblo.jp/robot-story/

ロボットのぞみTV:https://www.youtube.com/user/ROBOTNOZOMITVCH

 RPGエンターテインメント:https://www.rpg-entertainment.com/

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