シャイだけど目立ちたがり
肉離れ、3往復!
痛み先生
本日登場するスゴい人は、裸足でのフルマラソンの日本記録保持者だ。
裸足で走ることを想像できるだろうか?
怪我をしながらも諦めずに、自己と向き合って走り方を改善。
その経験が今のメソッドに活かされているという。
先の「きねや足袋株式会社・中澤社長の記事」に登場したランニング足袋の共同開発者でもある。
彼の座右の銘は「人間万事塞翁が馬」。
裸足で走る経緯とは?
座右の銘が生まれた背景とは?
さあ…
合同会社エフエイト
代表役員 高岡 尚司様の登場です!
シャイだけど目立ちたがり
僕、シャイなんですけど、目立ちたがりなんです。
小学生くらいの時から、他の人と違うことをして目立ちたいと思っていました。
小学3年生からサッカーを始めて、キーパーを希望。
ユニフォームも違うし、手も使えて、存在感が違うからという理由で!
中学進学後はサッカー部に入部し、キーパーで熊本県の選抜メンバーに。
県大会で評価も高く、ユースチームにも選ばれました。
ただ、キーパーは失点を0点には抑えられるけど、誰かがゴールを決めないと勝てませんよね。
なので、自分で勝敗を決められるようなスポーツをやりたいと思うようになりました。
走りも比較的早い方で、中学3年生の時、地元の熊本県で行われた「第一回全国中学駅伝」に出場。
陸上の特待生として福岡の高校に進学しましたが、怪我ばかりの3年間でした。
それまで走ることが楽しかったのに、高校では厳しい練習ばかりで楽しさがない。
精神的に抑圧された感じもあり、結構病んでいました。
心と身体がリンクすることを実感した浪人時代
志望校だった東京農業大学には陸上で受験したものの不合格。
浪人期間中、中学校の恩師が1年間陸上部を手伝わないか?と誘って下さいました。
実は、高校の陸上部で楽しくないと思ってしまい、走るのをやめようと思っていて。
恩師のおかげで、陸上競技が楽しい!と再び思えるようになりました。
高校で嫌になる程練習したのに結果は出ず、中学で楽しく手伝いながら練習していたら3か月で記録を更新できたんです。
その時、心と身体がリンクすることを実感し、人間の身体って面白いと思うようになりました。
鍼灸の資格を取る
帝京大学に進学後も陸上競技の大会に出たり、走ることを続けていました。
卒業後は地元熊本の高校の教員になる予定だったんですが、足を怪我したことをきっかけに人間の身体について勉強することが面白くなってきて。
その時に出会ったのが東洋医学。
心と身体を大切にしていますし、不思議なことがたくさんあって、すごく興味が湧きました。
例えば、膝が痛い時にその患部を治療しないで、腰の治療をしたりする。
すると痛みが取れて、あれ?痛くない!っていう体験もしたことがあって。
それで鍼灸・マッサージの学校に行き、3年勉強して資格を取りました。
走ることと鍼灸、他の人がやらないアプローチで差別化でき、目立てると思いました。
肉離れ、3往復!
帝京大学の駅伝競走部でトレーナーを始め、学生たちの治療をしていました。
学生たちは怪我と治癒を繰り返していましたが、根本的に良くなっていないんです。
そこで自分の身体を実験台に研究、そのタイミングで『BORN TO RUN』(メキシコの奥地の裸足で走る民族の話)という本に出会いました。
小学生時代、校内も校庭も裸足で過ごす学校だったので裸足に対して抵抗がなくて。
実際裸足で走ってみたら結構いけたので、適切なランニング方法を身につけようと思いました。
裸足で走ることに慣れてきて、ハードなトレーニングを始めたその時、片足ふくらはぎが肉離れ!
走るペースを落としたり休んだりして痛みが取れたので、少し走ろうと思った瞬間、もう片方のふくらはぎの肉離れ。
結局ふくらはぎの肉離れを左右交互に3往復。
3往復肉離れは非常に辛いものがあり、裸足で走るのがダメなのか?と思いました。
でも自分の怪我も治せないようじゃ鍼灸師として仕事にならない、人のことも治せない。
何かしら解決方法を見出さないと、自分も胸を張って仕事ができない。
この経験がなかったら、今のメソッドまでたどり着けなかったと思います。
人間の機能を活性化させるシューズ
今いろんなメーカーが、パフォーマンスアップ、タイムを出すためのシューズを作っています。
シューズの機能以前に、人間の機能を活性化させるべきだと思うんです。
それを共に話しているのが、きねや足袋株式会社の中澤社長。
彼との出会いは、うちのスタッフが天然ゴムにこだわって作っている足袋を調べてくれたことからです。
元々、裸足で走るのが困難な所は海外メーカーの高額なシューズを履いていたんですね。
でも裸足なら0円だし、昔オリンピックで足袋で走った人がいたことも思い出し、足袋に注目。
ネットで購入した地下足袋が好感触で、ある日、若いスタッフをきねや足袋の工場見学に忍び込ませて(笑)
こんな若い子がなぜ?と鋭い感性で気づいた中澤さんと直接会えたのは、間も無くのことでした。
そして生まれたのがランニング足袋「無敵」です。
今は中澤さんと「アクティベーションフットウエアー」というカテゴリーを作り、人間の機能を活性化させるシューズを目指しています。
僕が持っているスキルと中澤さんの足袋でタッグを組めば、子どもから高齢者のためのフットウエアができると思っています。
痛み先生
今の僕の活動の根本になりますが、痛みや失敗というのは1つの「情報」です。
痛みを諦めてしまったらそこで終わります。
痛みや失敗をフィードバックしながら、どう改善するかが大切なんだと思います。
よく僕は「痛み先生」という話をするのですが、痛みというのは先生であり、そういう走りは良くないよ、ってことを教えてくれます。
それを真摯に受け止めて、走り方を変えていくことで、パフォーマンスアップが見込める。
これは自分が身をもって体験したことなので、胸を張って言えることです。
僕のコーチングでは、裸足で走ることだけを推しているわけではありません。
走り方にフォーカスして、痛みや悩みを抱えている方のために、走り方の見直しのサポートに力を入れています。
大人になるとどうしても体が硬くなるので、できれば小学生くらいから走り方の指導をしたいですね。
スイミングだとスイミングスクールに通いますよね。
ランニングって意識しなくてもできることなので、教えてもらおうという環境にならないんですよね。
親も安心できるような環境を作っていきたいと思います。
これからの取り組み
今一番やりたいことは、治療院、合宿所を併設した低酸素環境を作れるトレーニング施設を作ることです。
現在のベースである熊本で施設環境を作り、そこから世界を目指すアスリートを作りたい。
オリンピックアスリートを育て、さらにクラブチーム、プロのランナーを育てたいです。
実業団に所属するのではなく、自立した選手を作り、サポートする環境を整えたいと思っています。
現在マラソンにおいては、世界に対して日本人は後手を踏んでいる状態です。
ランナーの努力の方向を最適化してあげることも僕の仕事だと思っています。
きねや足袋のランニング足袋を組み入れながら、もっと元気な足を増やしていきたいです。
取材を終えて
ランニングをする人が増え、各地でマラソン大会も増えている。
ラントレーニングも沢山あると思うが、走る人は一度、高岡さんのトレーニングを受けてみると良い。
痛みが出てしまう方は尚の事。
正しい身体の使い方を知ることで、無理なく楽に走れるようになる。
そして、タイムに関しても間違いなく伸びる。
身体を使ったスポーツはきちんとした知識のもと始めるべきなので、小学校などでも高岡メソッドを導入して欲しい。
プロフィール
高岡尚司(たかおか・しょうじ)
1978年8月生まれ、熊本県出身。高校から陸上競技をはじめ、主に中距離選手として活躍。大学卒業後、鍼灸マッサージ師を志して専門学校へ。現在は治療院等で勤務する傍ら、自身の生み出したランニングメソッド『ゼロベースランニング』をもとに、ランニング指導などを行う。裸足でのフルマラソン日本記録(2時間45分39秒)保持者
【経歴】
・熊本国府高校 陸上部 長距離ブロックコーチ
・鍼灸あん摩マッサージ指圧師
・エフエイト Bodywork Lab 代表
【過去の主なレース成績】
・第79回関東学生陸上競技対抗選手権大会 2部1500m 2位 3分50秒74
・2012湘南国際マラソン 2時間45分39秒(裸足フルマラソン日本最高)
・2013年 UTMF/STY 11位
・第5回道志村トレイルレース 6位
◆ホームページ https://www.takaokashoji.com/
◆ランニング教本シリーズ https://www.zerobaserunning.jp/ゼロベースランニングとは/ランニング教本/
◆『ゼロベースランニング』(実業之日本社) http://amzn.to/2ESq7X5