2015年、54歳という若さでこの世を去った川島なお美さんが最後まで立ち続けた舞台「パルレ」をご存知だろうか。
「パルレ」は韓国オリジナルミュージカルであり、今年で11年目のロングラン作品。
パルレ(洗濯)をキーワードに生きる素晴らしさを歌い上げる。
韓国では数々の賞に輝き、中学・高校の国語文学の教科書にも採用されている。
そんな国民的なミュージカルに日本人が主演していたのをご存知だろうか?
全編韓国語のセリフで舞台に立つ。
彼の出演日の集客の高さは、彼の歌と演技への評価でもあった。
音楽と無縁の野球少年だった彼だが、劇団四季を受験し、50倍の難関を通過してしまった。
劇団四季で活躍した後、彼は世界に羽ばたき高い評価を受けている。
彼はどの様にしてチャンスを手にしたのだろうか?
さあ…
俳優
野島直人様の登場です!
「ピンチをチャンスに」
川島なお美さんと一緒に、日本公演の初演キャストとして「パルレ」の舞台に立ちました。
公演中、シーンの途中で伴奏が突然止まってしまうトラブルが発生。
咄嗟にアカペラで相手役の女優さんと歌い切りました。
奇跡的に復旧したオーケストラと最後は見事にピッチが合い、演出家には新演出だと思われた程でした。
その演技を買われ、韓国での2000回公演にゲストとして誘われたのです。
演技は全て韓国語だと、後から知りました。
話したこともない韓国語。本番は1ヶ月後。
とにかく、猛勉強しました。
舞台の中の台詞は日常会話が中心でしたので、実際に韓国で試したりもしました。
2000回公演の後はレギュラー公演1週間。
次は1ヶ月、そして3ヶ月と4回出演させて頂きました。
非常に厳しい歌の先生と大喧嘩し、気持ちが収まらず家まで歩いて帰る途中、傘も持っていない中、突然雨に降られたのです。
「ソウルに来て5年。故郷に家族を残し家族のために頑張るんだ」というシーンとまさに一緒で、思わず苦しい気持ちになり、涙が溢れて来ました。
その後、舞台上でも同じ気持ちで涙を流せるようになり、演技がリアルになりました。
最初は勿論アウェー感もありました。
演出家に「私が認めた俳優なんだからちゃんと頑張りなさい」と言われ、プレッシャーはありましたが、ここ一番は昔から強かったので自分の表現をそのまま出したら、皆さんが受け入れてくれました。
一番評価されたのは歌です。
韓国の方は強い声で上のキーまで歌うので、滑らかにソフトに歌うのが大変珍しかったようです。
恥ずかしいのですが、キーチェックまでも皆さん聞きに来られたりしていました。
逆境に強かったり、求められた事に対して1mmでも上の結果を残そうという姿勢は、子どもの頃の病気の影響もあるかもしれません。
ペルテス病にかかり、何年も歩けず大好きな野球も出来ませんでした。
だから、子どもの頃から短期間で死ぬほど練習していました。
朝早く起きてジムに行き、発声練習も終えてから、稽古場に向かいます。
主演のヴィンセント役で出演させていただく、9月から始まるミュージカル「ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ」は、ゴッホとその弟のテオが交わした約700通にもおよぶ書簡をベースに、二人の半生を描いた韓国で再演を重ねている人気作の日本初演です。
感情の起伏が激しく、気が狂うシーンもあるので、演じた後はどれが自分なのかわからなくなる時があります。
そんな時はジムで冷静に振り返り、自分を取り戻します。
今は、未来の為の準備より、目の前にあることを一生懸命生き重ねていく事が、未来に繋がっていく時代だと感じています。
自分を充実させて高めることで、良いタイミングで物事は整って行くのだと思います。
◆ミュージカル「ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ」
https://musical-gogh.themedia.jp/
<プレビュー公演>
日程:2016年9月2日(金)
会場:かめありリリオホール
<東京公演>
日程:2016年9月7日(水)~24日(土)
会場:紀伊國屋サザンシアター
※野島直人出演スケジュールは公式サイトをご覧ください。
◆所属事務所「パシフィックボイス」HP
http://www.pacvoice.com/