本日登場するスゴい人は、小惑星探査機「はやぶさ」のプロジェクトマネージャーとしてプロジェクトを率いたスゴい人。
映画などにもなり、その名前を聞いたことがある方も多いでしょう。
2003年5月9日に打ち上げられた「はやぶさ」は、2005年夏に小惑星イトカワに到達し、その表面を詳しく観測してサンプル採集を試みた後、2010年6月13日22時51分、60億kmの旅を終え、地球に大気圏再突入。
世界で初めて月以外の天体からのサンプルリターンに成功した。
本日登場するスゴい人は、旧宇宙科学研究所 宇宙航行システム研究系教授、宇宙航行システム研究系研究主幹、深宇宙探査センター長などを歴任。
現在は国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構シニアフェローを務める。
さあ…
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
シニアフェロー
川口淳一郎様の登場です!
「できる理由を考える」
子どもの頃から、宇宙船や宇宙探査機など、宇宙の乗り物に興味がありました。
宇宙という非常に遠い所へ人工天体を正確に飛ばし、通信するというところに惹かれていました。
しかし、大学までは機械を専門に学んでいて、宇宙を専門分野にしたのは大学院に入る時からでした。
宇宙開発の世界ではプロジェクトの卵が多数あり、そのうち本格的にプロジェクトとなるのはごくわずかです。
プロジェクトに携わるまでの日々の活動は、これらのプロジェクトの卵たちをプロジェクトになるかどうか検討することです。
チームははじめ、有志から始まります。
私たちにはお金はありませんが、時間だけは自由ですから、時間をかけてアイデアを持ち寄り、独自の研究調査活動を行います。
そしてプロジェクトとして発案し、認められれば正式にプロジェクトとしての活動が始まります。
はやぶさのプロジェクトは約15年間のプロジェクトでした。
このプロジェクトはリスクだらけでしたから、よくプロジェクトが立ち上がってくれたという想いがあります。
当時はバブル後でしたが、まだバブルの余韻があったこともあり、偶然うまく転がって、時代も出会った方々もよく、幸運に恵まれてプロジェクトを立ち上げることができました。
一人の人間が宇宙開発に係れる機会はそう多くないので、千載一遇のチャンスに巡り合い、このプロジェクトをできた事が嬉しかったですね。
大変なことは沢山ありましたが、苦労をする状況に自分がいることさえも幸せでありがたく、常に感謝をしていました。
今はアドバイザーとして、人材育成のために、プロジェクトの卵を支援しています。
人材育成は、何かを教えることではなく、環境を提供することです。
現在活動している「はやぶさ2」のプロジェクトチームのメンバーも、はやぶさという前例があるからこそ「できる」と思うし、「できなくてはならない」とも思うでしょう。
環境が意識を育てるのです。
現在の日本はリスクばかりを考えて縮みあがってしまっていて、若い人には私たちの時代より更に機会が激減しているように思います。
人を育てるためには、小さい失敗をさせることが大切です。そのためには余裕を持っていなければなりません。
失敗してこそ身に付く事があると思います。
◆研究室ホームページ
http://www.hayabusa.isas.jaxa.jp/kawalab/
◆著書
はやぶさ式思考法: 創造的仕事のための24章 (新潮文庫)
http://www.amazon.co.jp/dp/4101272514