寛永12年より380年続く江戸糸あやつり人形劇団結城座。
『国記録選択無形民俗文化財』『東京都の無形文化財』に指定されている、日本唯一の伝統的な江戸糸操り人形の劇団である。
この劇団を率いるスゴい人が、本日登場する。
彼は十代目結城孫三郎の次男として生まれ、4歳で初舞台を踏む。
11歳から歌舞伎、能、狂言の教えを受けながら結城座での人形遣いの修行を重ね、1972年には写し絵家元三代目両川船遊を襲名。
人形遣いとともに、写し絵師の活動も開始した。
そして、1993年十二代目結城孫三郎を襲名。
古典的な糸あやつり人形芝居とともに、新しい作家や演出家との作品作り、海外とのコラボレーションなどにも積極的に取り組んでいる。
伝統を守ると共に新しい物を生み出すスゴい人の考えとは?
さあ・・・公益財団法人江戸糸あやつり人形結城座 十二代目 結城孫三郎様の登場です!
「自分のやりたい事をする」
私は4歳から踊りや歌舞伎、能や狂言を習い、何も考えずにお稽古を続けていたのですが、思春期になると一つの事しかできないつまらない自分が嫌になり、この道から抜け出そうとするようになりました。
しかし、振り返ってみると私にはこれしかできません。
この世界でしか生きられないのです。
この状況を消極的に「与えられたからする」と考えるのではなく、「自分が選択したからする」と考えなければ、先は開けません。
自分で選択したのだと思えるようになったのは、30歳になった頃でしたね。
それまでは、この家を継いで人形遣いになる事に悩み、苦しむ日々が続きましたが、考え方が変わってからは芝居に打ち込めるようになりました。
私は、ただ時代を追いかけるのではいけないと思っています。
歴代の人々と同じ事をしているだけでは、今の時代に求められる物を作ることは出来ません。
ある時、フランスから声がかかり、フランスでコラボレーション公演を行う事になりました。
著名な劇作家のジャン・ジュネの「屏風」を上演したのですが、これは初演で賛否両論の評価を受け、過去に一度しか上演されたことの無い作品でした。
フランス語が全く分からない中で全編フランス語の分厚い台本を覚え、スタッフも俳優も全員フランス人という環境の中で作品を作るのは、本当に大変でしたね。
ケンカをした事もありました。
通常、作品1本の制作に1ヶ月ほどの稽古をするのですが、この作品には半年間の制作期間をかけました。
その間、私達には全く収入がありません。
それでもどうしてもこの作品をやりたくて、大借金をして結城座から6人の役者を連れて、60~80体の人形を持参し、公演をやり遂げたのでした。
私は、「これをやったら絶対にうける、儲かる」といったものや、絶対に成功する事をするのは嫌いなのです。
自ら苦労をする道を選んでいるように見えると思いますが、やりたい事をやらせてもらっています。
今後は、小さい会場で少人数の為の芝居をしたいと思っています。
かすかな動きが分かるくらいの距離で目の前にいる観客の方々に向けて演じてみたいですね。
◆公演情報
宮沢賢治の写し絵劇場
注文の多い料理店~写し絵と人形の饗宴~
2014年3月21日(金)~23日(日)各日14:00開演
全労済ホール/スペース・ゼロ(新宿)
詳細はコチラ↓
http://www.youkiza.jp/sp/miyazawa-kenji/index.html
◆江戸糸あやつり人形劇団 結城座
http://www.youkiza.jp/
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