「おどりを使って筋力の衰えを少しでも防ごう」という目的で、日本舞踊の西川流三世家元・西川右近氏と中京大学体育学部長・湯浅景元教授との合同研究によって考案された踊り“NOSS”
日本(Nippon)・踊り(Odori)・スポーツ(Sports)・サイエンス(Science)の頭文字をとって命名された。
彼は伝統ある日本舞踊・西川流を受け継ぐ家元でありながら、この新しい踊りを生み出し、現在では、厚生労働省のモデル事業として全国5都市で実践されている。
家元を継承した彼だからこそ分かった踊りの世界の現状とNOSSの役割とは?
さあ・・・日本舞踊 西川流 三世家元 西川右近様の登場です!
「おどりを身近に」
子どもの頃は、踊りが嫌いでした。
女の子ばかりの中で踊りをするのはちゃらちゃらしている気がして、他の子のように遊びたいという気持ちもありました。
初めは、おやつやおもちゃで釣られてお稽古をしていましたね。
でも、舞台に立ってお客さんの目を意識した時に、急に踊りが楽しくなりました。
お客さんはとても正直で、面白い時には大きな拍手をくださり、惹かれない時には反応がないものです。
父は、あまり哲学的なことは言わない人でしたので、技術的なことを主に習いました。
家元業を継いでみて、踊りの世界がいかに閉鎖的で外から見ると敷居が高い世界かということを知りました。
こうした理由もあり、芸道の人口はどんどん減りつつあるのです。
芸道の人口が減っていっている中で、今までどおりの教え方をしていては先がありません。
伝統ある流派を守ることに加えて、踊りをもっと習いやすくすることも家元の役目だと、私は考えました。
そうして出来たのが、日本舞踊を運動化したNOSSです。
私が心臓の病気をした時に体力回復のために医師から「歩きなさい」と言われて、ただ歩くのはつまらないと思って、踊りを考えました。
不思議なもので、踊りをしていると、昔から踊りで鍛えた筋力も徐々に回復していきました。
3歳から習ってきた踊りが病気回復に役立ったのです。
それから、中京大学の湯浅教授と共同で研究を進め、平成17年からNOSSとして普及活動を始めました。
日本の伝統芸能には、習う場所はあっても教え方を教える場所はありません。
よく、「技術は教わる物ではなく、見て盗みなさい」などと言いますが、踊りの技術は盗めても、教え方は盗めないのです。
NOSSでは、インストラクターの資格制度を作り、今では全国に700人のインストラクターがいます。
多いところでは100人以上の生徒が参加する講習会を開催するなどして、それぞれのインストラクターがNOSSを広めているのです。
デイサービスや大学など、老若男女幅広い層の方々にお伝えしています。
家元というのは、免状を発行する場所です。
ですから、免状を持っている人がいる限りは、家元を絶やしてはいけない。
それが、家元として一番大事な責任だと思っています。
今後も、伝統を守り抜くとともに、より多くの人に踊りに親しんでもらえるよう活動を続けてまいります。
◆NOSSホームページ
http://noss.jp/
◆日本舞踊西川流ホームページ
http://nishikawa-ryu.com/index.html
◆右近の日記(ブログ)
http://blogs.yahoo.co.jp/ukon_odori2005
※上記サイトは、一部携帯では見られない可能性があります。