日本人女性で初めてニュルブルクリンク24時間レースでクラス2位を獲得したスゴい人!

男女が同じ条件の中で闘う自動車競技の世界。
はじめは大学の部活動の勧誘を断りきれず、自動車部に入部しただけだった。
そんな彼女がツーリングカーのトップカテゴリー、グループAに出場を果たし、96年のN1耐久ではシリーズチャンピオンに輝いた。さらに、ニュルブルクリンク24時間レースなど海外レースにも参戦し、05年にはクラス2位を獲得した。
競技者は男性ばかりの世界。
体力面での差だけでなく、「女性」であるだけで悔しい思いをした事もあった。
しかし、今では、レース人生において女であることは“良いことも悪いこともプラスマイナスゼロ”だと彼女は語る。
彼女の強さの秘訣とは?
さあ・・・レーサー、自動車評論家 佐藤久実様の登場です!

「好きだから頑張れる」

OBの先輩から、女性だけのレースがあると聞いたのが、レースに出場したきっかけでした。
そのレースは、ライセンスとスーツとヘルメットという最低限の準備と費用で出られると聞き、「これは一生に一度のチャンスだ」と思って出場を決めました。
知識も無かったけれど、人と順位を競うことや、走る時の公道とは違う感覚がとにかく楽しくて面白くて。
そのうえ、ビギナーズラックで3位に入賞しシャンパンファイトまでして、一気にのめりこんでしまいました。
レース前に教わった先生にコンタクトを取って「レースをやりたい」と熱く語り、チームへの所属が決まりました。
最初の頃は恵まれた環境の中で楽しく走っていましたが、ステップアップして所属していたチームから外に出たときに、厳しさを実感しました。
「乗らせてください」とお願いしても、「うちのチームでは女は乗せない」と、「遅いから」ではなく「女だから」という理由で断られるのは、本当に悔しかったですね。
折角入ったチームでも、男性がほとんど口をきいてくれなかったこともありました。
でも、レースが好きで自分で選んでこの世界にいるので、言い訳はできません。
それに、私は負けん気が強い性格です。
ある時、私のレースの記録を見たメンバーが認めてくれて、「今までごめん」ってメールをくれたんです。
それからは、誰よりも味方になってくれました。
バブル崩壊で日本のレースが縮小していた頃にお声がけを頂いて出場した、
ニュルブルクリンク24時間レース。
初めての24時間レースで一周25kmもある過酷なコースでしたが、すぐに「出ます」と答えました。
このレースに出た事は日本で1年間戦うよりも得る物が大きくて、私にとってとても良い経験となりました。
2001年で本格的な国内レースへのシリーズ出場はやめましたが、今でもこのレースには出場しています。
私は、長いレース人生を通して見て女で良かった事も、女だから苦しんだ事もあり、プラスマイナス0だと思っています。
今では、「女は良いよな」と言われても「悔しかったら女になってみろ!」って笑って返せますね。
私は、駆け出しの頃にチームで大事に育てて頂いて、地道にステップアップすることが出来ました。
チームには本当に感謝しています。
今後は、私が育てていただいたように、後進のドライバーたちがレースを出来る環境を作る事を目指しています。

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