“漫才師”
人を一瞬にして笑顔にさせる魔術師。
毎年、新たなスターが生まれる一方で、高みを目指し下積みを続ける芸人はその何百倍もいるという。
本日登場するスゴい人が続けてきた下積み生活は、実に16年に及んだ。
時に焼き肉のタレだけをおかずに生活し、借金もした。
それでも、諦めず掴みとったTHE MANZAI決勝の舞台。
大胆かつ斬新なネタは審査員、観客に衝撃を与えた。
彼はどのような思いで16年間続けてきたのだろうか。
その執念ともいえる思いは、意外にもすごくシンプルなものだった。
さあ・・・お笑い芸人アルコ&ピース平子裕希様の登場です!
「家族」
福島の田舎で育ち、物心ついたときからテレビが大好きでした。
その中で、印象深いのが「男はつらいよ」です。
ある日、寅さん一家に届いたメロンを食べようとするが、寅さんの分がない。
それで大げんかをして、寅さんはまた家を出て行ってしまいました。
それを両親が涙を流しながら大笑いしているのを見て、分かりやすいボケや突っ込みではなく、
空気感で笑わせることのすごさに衝撃を受けました。
それが、お笑い芸人を目指したきっかけかもしれません。
中高で全く勉強ができなかったこともあり、高卒でお笑いの世界に入りました。
それから、16年間。
つい数ヶ月前まで下積み生活は続くことになりました。
芸風がドキュメンタリータッチで亜流。
それが原因か、なかなか仕事に結びつかない。
バイトと掛け持ちするも、ネタ見せや稽古でバイトとの両立もままならない。
今までで10回はバイトをクビになりました。
肉すら買えなくて焼き肉のタレをご飯と炒めて食べていたら、健康診断に引っかかったこともあります。
その頃は、毎朝起きるたびに芸人を辞めようと思っていました。
そんな中、今の妻に「私の貯金があるから」と説得されて結婚。
日払いのバイトで1日6千円の給料をもらう生活。
ついには4年目で貯金が底をついてしまいました。
プレッシャーから一気に前髪が後退しましたね。
昨年末、THE MANZAIを直前にして、これで結果が出なければ芸人をやめて働こうと心に決めていました。
その結果、準優勝することができました。
妻のご両親が見てくれて、「もう少し続けてもいいんじゃないか」と言ってもらえたことが、嬉しかったですね。
今こうして続けられているのは、家族がいたからだと思っています。
自分1人であれば8年前には辞めていたでしょう。
妻がいつも支えてくれたし、妻の両親が僕に内緒で援助していてくれたことも最近知りました。
僕自身、辛いときは、自分の人生をドラマに置き換えて、家族のために頑張っている登場人物に悪い事は起きないだろう。と自分に言い聞かせていました。
無責任なことはいえませんが、夢は、周りの人のためにと考えて動いたときに叶うのではないかと思います。
周りの人のために本気で動けば、後悔もありませんから。