
明治神宮の雅楽で使われる太鼓、三社祭で使用されている浅草神社のお神輿。宮内庁御用達として雅楽器を納め、国立劇場、国立能楽堂も御用達。国技館の相撲太鼓、歌舞伎座の鳴り物は全て宮本卯之助のもの。150年も前から、日本の佳き(よき)伝統と共にものづくりの技術と心を伝えてきた。この人たちがいるからこそ日本のお祭り文化が守られている。さあ・・・株式会社宮本卯之助商店代表取締役 宮本卯之助様の登場です。「義を重んずる心で、技術を継承する」家を継ぐことは小さい頃から当たり前だと思っていました。小さい頃から、長男という立場を祖父から徹底的に教え込まれました。食事は他の兄弟より1品多いですし、座る場所も違いました。差別化することで長男であることを意識せざるを得ませんし、この家を継ぐという意識を芽生えさせる日本の風習だったと思います。戦後は日本を元気にしようとお祭りが復興して、お神輿などがたくさん作られるようになりました。しかし、東京オリンピックの時に高速道路や道路拡張になりまして、お祭りはもう東京ではできないだろうという風潮が広がり、東京にあるお神輿は地方に売られ、昭和39年から5年間くらいお神輿が1台も売れなくなりました。その時は、本当にピンチでした。「もうお神輿は売れないかもしれない」と父と心配した時期がありましたが「お祭りはなくならない。日本人には祭る心がある」と信じていました。老舗というのは一つの製品だけを作り続けているというのが多いです。一つのものを続けるということが継続ということになります。老舗として継続するためには、我慢も必要だと思います。今年で150周年を向かえますが、私どもの太鼓館で雅楽をテーマとした特別展を行っています。世界中の太鼓をこのような形で展示できていますのも世界初です。太鼓を扱う老舗として世界の太鼓にも貢献できたらと思っております。