【矢口 昇】靴職人人生56年 世界初の木型を作り上げたスゴい人!

矢口 昇

女性の立ち姿を美しく見せる靴“ハイヒール”。
男性には解りづらいかもしれないが、ヒールを履く辛さがある!
しかし、靴とはこういう物だという固定観念が強すぎて、長年の間、誰もその型を変えようとしなかった。
今日登場する靴職人は、たった3mmヒールをずらすことによって足全体の筋肉が綺麗に使われる木型を開発した。

10cmのヒールで全力疾走できてしまう程、重心の安定性があるのです。
10cmものヒールがあるのに、足全体が地に付いている安心感。

そんな木型を作り上げ、彼は、平成23年度東京マイスター(東京都優秀技術者)知事賞を受賞した。

さあ・・・有限会社シャポージャパン 代表取締役 矢口昇様の登場です!

「靴の道を極める」

戦後は誰もが貧乏で、中学を卒業したら働きに出る時代。
15歳の私は、新庄の駅から就職列車という夜行列車に乗りました。
上野までの車内では、「もう、何があっても家には帰れない」と
男でも泣いている人が沢山いました。

私は工作も図画も苦手でしたが、一番月給の良い靴職人を職業に選びました。
担当したのは、底付けという全てのパーツが集約する最後の工程。

20代前半で「日本一の靴屋になるとはどういうことだろう?」と考え、
「トップレディー(皇后さま)の靴を作ることだ!」という結論に至りました。

その為には、一工程を知るだけではダメ。
全てを知り、良し悪しを判断できる職人になるため、
宮内庁と付き合いのあった銀座ヨシノヤさんの靴を作っているメーカーでベアーシューズさんにお世話になりました。

社長自ら教えて頂き、数年経った時、
「あんたに教える人は日本にはいない。
準備をするからフランスかイタリアに行って来なさい」と言われました。
しかし、行ったらこの会社に永久就職になると悩んでいたら、
「帰って来て翌日辞めたっていいんだ。過去尽くしてくれたお礼だから行って来なさい」と言って頂き、フランスのニースに行きました。

ニースの職場に入った瞬間、悩みを解くヒントが一瞬で見えました。

帰国後、修理から試作品作りまで色々な仕事をさせて頂き、全体が見える職人になることができました。

その後、美智子妃殿下の靴の底付職人として20足以上作る事が出来て、20代の夢を叶えることが出来ました。

フリーになり、大手からの仕事をもらう中、靴の製造工程の機械化のお話を頂きました。
世界の機械を見て回り、オリジナル製造ラインを提案し、靴の品質はみるみる変わりました。

職人としてはトップを極めていたのですが、46歳の時、シューフィッター制度で衝撃を受けました。
20代からずっと腑に落ちない事がありました。
ヒールを履いて歩いている女性の後ろ姿が変だったのです。
足が捻れるように、骨盤が歪みながら歩いているのです。
でも、自分の責任じゃないと言い聞かせていたのです。

しかし、全ては靴の木型が原因でした。

そこから私は人間工学、生理学の勉強をして、
世界の靴業界で数百年疑われることもなく使われ続けてきた木型を
歩きやすく疲れにくい木型に変えることに成功しました。

成功の理由の一つは、下駄とわらじを履いて育った日本人の私だから完成できたのだと思います。

これからは現代そして未来の女性の足元を思い、
この体に良い木型を世界に広め、自分の靴人生を確かなものにしたいです。

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