本日ご紹介するのは、バイオガイアジャパン株式会社社長の野村慶太郎氏。コロナ禍における政府やマスコミの行動について自身の意見をまとめたFacebookの記事がバズり、話題になっている渦中の人です。老舗創業一族としての生い立ちと今の時代に必要な正しい判断のための知識を教えていただきました。
菌と共に生きる人類へ
見どころ
―母親から子供へ伝える免疫力
ーロイテリ菌が救う夜泣きの苦労
ーロイテリ菌入りのヨーグルトを発売
編:さて、昨日は母乳から赤ちゃんに母親の免疫力が伝わるというお話でした。
野:ロイテリ菌はその母乳由来のプロバイオティクスです。バイオガイア社は1998年に上場したのですが、そのきっかけとなったのは赤ちゃんの夜泣きでした。日本では夜泣きの原因は赤ちゃんの不安感という精神的な理由で片付けられてしまうことがいまだにありますが、違います。赤ちゃんの長い夜泣きで保護者が大変だとよく聞きますが、実はこの赤ちゃんの夜泣きは腹痛が原因だったと突き止めたのが当社です。これはしっかりしたデータがあるのですが、帝王切開で生まれた子供が夜泣きをする割合が高い。それは生まれてくるときに産道を通っていないから。自然分娩ですと母体の産道を通りながらその過程でビフィズス菌などの善玉菌を受け継ぎ、免疫を付けて生まれてきます。表皮常在菌、表皮ブドウ球菌などはおなかの中にいる子どもはあまり持っていません。自然分娩で生まれた赤ちゃんは生後2分くらいからそのような菌がバーッとでき始めて体の中を守っていく準備が整います。しかしながら帝王切開ですとそれが無いんですね。だからどんなに周りの大人が除菌をしたとしても空気中に飛んでいる雑菌などが赤ちゃんのおなかの中に入って腹痛を起こします。大人でいうと食中毒の時に感じる激しい腹痛が赤ちゃんに起きているのです。だから泣き叫んでいる。それを親御さんの忍耐などでやり過ごしていてはいけません。乳児虐待の原因の9割は「赤ちゃんが泣き止まなかったから」というデータがあります。腹痛で泣き叫んでいる赤ちゃんをどうしてよいかわからなくて、追い詰められた親が手を出してしまうんです。
編:夜泣きを収めようと思って長時間揺すったりするケース、聞いたことがあります。
野:そう。でもそれは問題の解決に近づいていないんです。夜泣きは乳児疝痛(コリック)という病気です。約35%の赤ちゃんは腸内細菌形成不全というエビデンスデータがあります。そういう赤ちゃんにロイテリ菌を投与すると急激に腸内細菌のバランスが好転します。ロイテリ菌がいることで腸内に良い菌が繁殖しやすくなるのです。そうすると約98%の子供が夜泣きの時間が3分の1になった結果があります。時間でいうと、毎晩3時間泣いていた子供が30-40分くらいになる。生まれて2歳くらいまでに腸内細菌は出来上がるのですがそれが帝王切開の子だったり、母乳の質がよくなかったりすると腸内細菌が整わないまま大人になります。その場合自然分娩で生まれた人と比較しますと10倍くらいの確立で花粉症や喘息、アトピーなどの症状があります。子供時代から腹痛がよく起きるというのもあります。新生児の夜泣きは治せるし、治してあげないといけないのです。ところがまだまだ夜泣きで病院に行こうという文化が日本には少ない。
オハヨー乳業のロイテリ菌入りヨーグルト
編:赤ちゃんは泣くのが仕事。みたいな言い方しますもんね。
野:そんな仕事あるわけない(笑)。日本小児科学会で我々の研究成果を発表するのですが、病院の先生方がよく言われるのが、「日本では夜泣きで病院にはなかなか来ない」ということです。もっと知識を広めて、夜泣きに苦しむ親子を救いたいと思っています。
編:ロイテリ菌にはハイレベルのエビデンスデータがそろっていると伺いました。
野:エビデンスピラミッドというのがありましてね。医療の世界では新薬を使用するときにドクターの方々が目安とされるものなのですが、レベルは1~7まであります。日本で販売されている健康サプリなどはほとんどがレベル5以下です。ヨーグルトもレベル5。その上のレベル4というのは専門家により一定数の被験者数を取った治験結果が存在するが、その臨床結果は反証されてはいないもの。レベル1というのはメタ解析という多角的に検証され、反証論文も存在せず、理論的に正しいとされているもの。これは統計的な解析や裏付けがきちんとされているもの。このメタ解析レベルのエビデンスを持っている食品というのは日本では当社製品だけです。次のレベル2がヤクルトさんのカゼイ菌シロタ株です。日本企業のヤクルトさんというのはやはり素晴らしいですよね。
編:Facebookに書かれたPCR検査の記事も大きな反響を呼びました。
野:そうそう。自分でも驚きました。今はもう友達が5000人を超えていて新しい友達が作れません。寂しいものです(笑)。今の政府やマスコミの報道の在り方には疑問が多いです。PCR陽性が出ただけの人を感染者と呼び、その累計を報道していますが本当に把握しなければならないのは今現在の罹患者数です。我々菌を扱う業界ではずっと以前から普通にPCR検査というものを使っていますが、これは単なる遺伝子同定のための検査にすぎません。病院で先生が治療方針を立てる時に、その原因菌やウイルスが何かを特定する必要がありますから、それに大変役立つのがPCR検査なのです。PCRは擬陽性がでるのでよろしくないという意見を聞きますが、それは逆に言うと擬陽性が出てしまうほどにPCR検査というのは敏感で高性能な検査なのです。医者にしてみたら擬陽性が出れば治療方針の可能性が見いだせるわけですから。擬陽性が出るから再検査するわけです。政府は今たくさんの国民にPCR検査をしていますが、その検査の瞬間までにコロナというウイルスに罹患していなかったという事実を知る作業を永遠にしているにすぎない。何の意味があるんでしょうか。その1分後にコロナにかかっているかもしれないのに。やはり最後は自身の持つ免疫力が病気の行方を左右します。コロナにかかる人、かからない人がいるわけですから。PCR検査をしても免疫力はあがらないし、コロナを治療できるわけではないです。コロナでもなんでも、最後は自分の免疫力が頼りです。
編:従来からインフルエンザに聞くということで季節になるとヨーグルトなどの乳酸菌食品が売り切れたりする現象は起きています。食べ物で免疫力を上げるという意識が日本人にはありますよね。
野:我々乳酸菌を扱うメーカーとしてはその製品を通じて人々の健康に寄与したいという思いがあるわけですが、いかんせんヨーグルトという製品は糖尿病の方や高脂血症の方は接触制限があるのでどんなに良い菌が入っていても食べられないんです。糖分や脂肪分がありますから、医療には不向きです。ですからチチヤスを退職した後、ヨーグルトではなく乳酸菌そのものを扱いたいという思いがありました。そこでロイテリ菌を錠剤にしたり、カプセルにしたりして病院に販売できるように作りました。ロイテリ菌は世界で最も信頼性の高い、高レベルのエビデンスがある乳酸菌です。病院や医者などの医療業界ではそれなりに知名度がありますが、コンシューマープロダクトという点ではまだまだこれからの製品です。
編:御社ではロイテリ菌で人間の免疫力をサポートする商品開発をされているのですね。
野:当社は菌、微生物、いわゆるバクテリアを売っている会社です。従来の薬では治らない病気を治すことを目的に事業を行っています。いわゆるアルツハイマー、認知症というものは現代医学ではまだ治療法が確立されていません。それを治すヒントは人体の中にあるバクテリアやウイルスが持っているということが少しずつ分かってきました。といってもまだまだ道半ばなんですが。ちなみに人体の細胞の9割は体の中にある微生物の細胞です。そして人体の遺伝子の99%はその微生物の遺伝子です。我々由来の遺伝子なんて1%に過ぎないわけです。我々が自分の体だと思っているそれは微生物の集積物ですから。だから微生物の目線で見れば、人間の体は自分たちが住み、繁殖するための家にすぎません。人間のモノではないという見方さえできます。だから何か不具合が起きた時に人間の体を治療しようとするのではなく、99%を占める微生物による影響を治療するという発想の転換をすることで今までブラックボックスだった分野における新しい治療法や予防法が次々に発見されてきています。パーキンソン病もガンもそうです。答えは実は人体常在菌に結構あったわけです。このような菌による新しい治療法が発見されていくのは菌屋としてはうれしいです。今後もロイテリ菌による腸内細菌のバランスを赤ちゃんの頃から整える知識と習慣が日本に根付き、腹痛で苦しむ赤ちゃんを救い、夜泣きで苦しむ親を救い、人類の免疫力を高めることに貢献したいと考えています。
編:示唆に富むお話ありがとうございました。
野:こちらこそありがとうございました。
子ども用、大人用とサプリの種類も豊富
◆野村慶太郎氏 プロフィール
広島県出身。チチヤス株式会社の創業家5代目長男として生まれる。中央大学法学部在学中に20歳で貿易会社企業。チチヤス㈱の国際事業部担当・事業再生担当役員を経て2003年最高執行責任者に就任。総額235億の事業再生決了後、2006年同社退任。同年、バイオガイアジャパン株式会社代表取締役に就任。
バイオガイアジャパン株式会社
公式サイト:https://www.biogaia.jp/
L.ロイテリ菌を含む当社製品はこちらから購入できます。
https://www.biogaia.jp/product/
ロイテリヨーグルト(オハヨー乳業)はスーパーで購入いただけます。