昨日に引き続き今日のスゴい人は元タカラジェンヌのRICOさん。生まれながらに家族に宝塚入団を定められていながら、天真爛漫な性格と天賦の才能で宝塚の常識にとらわれない生き方をしているスゴい人です。今は声優としてディズニーアニメでの数々の重要ポジションを務められている彼女の半生と、これからを伺いました。
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タイトル:笑!!
・タカラジェンヌとしての生活
・退団後、ディズニー声優に場抜擢される
宝塚入団後の充実した生活
娘役になってからは本当にほっとして、本来の自分の居場所に戻れたような安心感を得ました。164cmの身長は当時の娘役としては高い方だったのですが、私が所属していた星組は男役が高身長揃いの組でしたので、あまり問題にはならなかったのでありがたかったです。それでもドレスの時には低めのパンプスを履いたりはしていました。
宝塚の生活は厳しい稽古や忙しい公演の合間に上級生に美味しいものを食べに連れて行ってもらうのが楽しみであり、息抜きでした。当時はネットなんてありませんから、私たちが近所のお店でお酒を飲んでいても何の問題もありませんでした。ファンの方たちも温かく見守ってくれたり、タカラジェンヌさん御用達のお店なんてことでファンの方も利用してくれたりしてね。ただ、今はインターネットやSNSがありますからそうもいかないですよね。写真を撮られてアップされたりしますから、今の現役のタカラジェンヌさんは外に出にくくて大変だと聞きます。
歌好きの私は、宝塚でも歌手としての役回りが多く、それはとても光栄なことでした。退団公演も、作曲家の寺田瀧雄先生が作ってくださった「恋の花歌舞伎」を歌わせて頂きました。歌というのは私は3分間のドラマだと思っています。短い時間の中で歌詞と音楽で伝えるストーリがありますから。歌を歌う上で、役者の私としては歌を演じ、歌詞を伝えることを大切に思っております。
退団後、帰京
25歳の時、劇団8年目で、宝塚を退団しました。何も知らないまま宝塚に入った私は8年かけて宝塚を大好きになっていたし、宝塚で演じながらたくさんの経験もさせていただきました。その一方で役者として、男性俳優と芝居をしてみたい!と思ったんです。退団後は、東京に戻ってきましたので、事務所に配属して一人の役者として活動を始めました。ディズニーアニメ ライオンキングの声優オーディションを受け、ナラ役に選んでいただきました。これは本当に人気の大作でしたから、結果が出るまで1年かかりましてね。もう気持ちを切り替えていたころに最終オーディションのご連絡をいただいたんです。私にとっては最初の声優の仕事で、まったく未知の世界でした。台本を読みながら、キャラクターの画面を見ながら、秒数制限もあります。耳からは英語のセリフが入ってくるわけです。声優のお仕事というのは相当なマルチタスクです。初めは困惑してしまって、目が2つしかないのに、どこを見たらいいですか?と思っていました。宝塚では経験がありませんでしたから、まったく新しいチャレンジでした。声優という仕事はその後結婚、出産をしても無理なく続けられるお仕事となりました。なかなか育児をしながら1か月舞台の仕事を続けるのは難しいですからね。
宝塚での経験が支える、外の世界での活躍
今でも心がけているのは、演出家の演出に忠実に演じるという気持ちです。1週間、1か月の公演において、お客様は演者を見に来てくださるのですから、演出家の演出をその時その時、急に変えたり、大きなアドリブを突然入れたりするのではなく、初日までに演出家の指導をきちんと身につけてお客様にはいつも完璧な演技を見ていただく。幕が上がればそこからは演者の力量であり、責任です。そこで「みせる」ではなく「魅せる」。お客様への「魅せ方」。どんな衣装だろうが、どんな配役であろうが全力で魅せていく。ここは本当に大切にしています。これはやはり大好きな宝塚で培われた考えであるかもしれません。
ディズニー声優として活躍
2017年に美女と野獣の初代ミセスポット役の方が引退をされるということでオーディションがあり、運よく合格することができました。ミセスポットは歌唱力がとても重要な役どころですから、声の色もさることながら歌も歌える声優という点では宝塚での経験は大いに役立ったと思います。初代ミセスポット役の福田公子さんも元タカラジェンヌなんですよ! 2代続けて元タカラジェンヌが声優を務めさせていただいています。今でもディズニーのお仕事をいただいていまして、プリンセスソフィアでは赤い鳥ロビンや、ペンダントの中の悪役ヴォ―をやりました。私、悪役をいただく事がわりと多いんですよ(笑)。子どもが小さい時に、自宅で悪役の野太い声で練習していますとね、「ママ、また悪役なのー?」と子どもに指摘されたりしていました(笑)
これからの活動について
今はコロナの影響で無観客配信ライブが多いですが、改めてお客様に教えていただくことは大きかったなと思います。そこにいるお客様の反応、笑い声や、悲しみの情景を共有したりなどの生のリアクションから学ぶことがたくさんあります。お客様がいることがどれだけ演者にとって大切だったのかとつくづくと思います。
毎年11月に赤坂のBflatバースデーライブをやるのですが、今年はやっぱり中止にしました。芝居も中止になりましたし、今まで生きてきた中では今が一番つらい時期ですね。また演じることが、歌うことが思いっきりできるようになった時、この今の辛さから解放されて、死ぬ瞬間まで女優として演じていけるような人生でありたいです。
舞台もやっていきたいと思っています。実は喜劇をもっとやりたいと考えています。三谷幸喜さんの作品は本当に憧れで、夢ですね。私自身が楽しみながら、お客様を楽しませられるような舞台を作りたい。だから理想としては、舞台はハッピーエンドで終わってほしいんです。終わった後にお客さんが明るい気持ちで劇場を後にできるような、明日への力になるような舞台をお見せしたいです。
◆プロフィール
RICO (華村 りこ)
世田谷区出身。テアトル・エコー所属
宝塚歌劇団 星組 68期生、劇団芸名 桜 里湖(さくら りこ)
<吹き替え> ライオンキング・美女と野獣・アナと雪の女王・ちいさなプリンセスソフィア、アバローのプリンセスエレナなど
RICO公式サイト http://rico11.wpblog.jp/
◆舞台予告
オンライン舞台「だめんず・ウォーカー2020」
日時 2020年10月30日〜11月1日《全9公演》
原作 倉田真由美/演出 歳岡孝士
公式HP https://www.bungei.org/